著者
永木 正和 木立 真直 納口 るり子 茂野 隆一 松下 秀介 川村 保 広政 幸生 長谷部 正 坪井 伸広
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

1.国内研究本年度は研究最終年度にあたるため、各分担者間の研究分担課題の最終微調整、課題の確認、補足的な調査活動、および研究会での研究成果の報告を内容とする活動を行った。国内調査等は個別補完的に行うものとし、小規模にとどめた。2.海外交流、海外調査(1)韓国の農産物・食品流通は日本と類似の展開が認められている。わが国の韓国からの輸入依存が高まる可能性が高いとの認識から、以前より韓国の研究者集団(韓国生鮮農産物新流通研究会)と交流をもっていたが、相互研究発表の形でソウルにおいて「日韓共同シンポジューム」を開催した。情報システムと物流システム(特にロジスティックス)の構築が主要な議論となった。(2)日韓シンポジュームの後は韓国農村で生鮮野菜の流通システムを調査した。3.秋以降は数次の研究会(主に筑波大学にて)(1)筑波大学で公開研究会を開催し、分担者は順次研究報告した。最後の2月の研究会では、本研究全体の統一コンセプトの再確認、ならびに総体的な結論について討論した。(2)研究成果を要約的に言及すると、方法論的には産業組織論であるが、主として川下に切り口を置くアプローチをとった。ちょう度、食品の安全性問題や風評被害が発生した時期であり、これまで市場経済学やマーケッティング経済学ではあまり重視されてこなかった「製品品質の1つとしての安全性」、「製品に付加する1つのサービスとしての安心」を市場流通させるための不可欠な商品属性であることを見いだし、これを取引理論、情報理論を手がかりにした経済学理論を構築した。また、経済学の範疇を超えて、消費者倫理に関しても、一定の考え方を提示できた。(3)ホーム・スキャン・データ等の新しいデータ利用等から、この時期に発生した食品の品質事故問題、また伝統食品対遺伝子組み換え食品の対比での商品の認証や差別化流通に関するタイムリーな消費者行動の実証分析をなし得た。(4)消費者行動の多様化に対応して国内流通・加工業が顧客をターゲット化しており、それが商品に付随する品質やサービスの多様化、市場を主導している小売り市場の多様化、海外からの原料農産物積極輸入の背景が解明された。国内小売業の競争戦略、品質管理戦略に端を発して流通システムが海外からの輸入急増を導いていた。海外での市場再編動向の最新事情も入手した。4.本研究の成果と公表の仕方今年(平成14年)6月末を目処にして専門著書としての公刊を予定している。各分担者はさらなる研究成果の精緻化と推敲に取り組んでいるところである。
著者
高木 敬彦 峡谷 香澄 遠藤 治 後藤 純雄 光崎 研一 村田 元秀 松下 秀鶴
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.193-199, 1992-04-15

相模原市の大気の汚染度を変異原性の面から把握するため浮遊粉じんを1年間定期的に採取し調べた. 浮遊粉じん量は季節別に有意差はみられなかったが, その溶媒抽出物(タール状物質)の冬期の濃度は他の季節に対して有意に高いことが判った. 変異原性はTA100, TA98株の両菌株に対してS-9mix添加の有無にかかわらずみられることや, その高さは採取日により数倍〜数十倍大きく変動し, 日曜日, 盆, 正月など産業活動の低い時期には変異原性も低くなる傾向を示した. 季節別では冬期が夏期や春期に比べて有意に高いことが判った. また, S-9mix無添加系が添加系よりも高い日が比較的多く認められたことからTA98NR株を用いてニトロアレーン類の存在を調べた結果, その存在は冬期よりも夏期に多いことが判った.