著者
島岡 明生 谷口 守 松中 亮治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
no.786, pp.135-144, 2005-04-20
被引用文献数
6 2

今後わが国は今までに経験のない人口減少状況の中で交通環境の改善, 都心部の活性化などの課題に対応することが求められる. そのための都市づくりのコンセプトとしてコンパクトシティが着目されているが, 実証的な観点にたつ都市の具体的な撤退戦略については展望がない. 本研究では, 地方中心都市を対象に, 人口減少をどのような分布と構成で受け入れる必要があるかを実データに基づき, 詳細な地区レベルで検討した. ガソリン消費量などのサステイナビリティに関連する多様な指標で評価を行った結果, ただ単に都市構造をインフラ面からコンパクトにするだけでは改善は望めず, 抜本的な行動変容の促進とあわせた政策パッケージの導入必要性が示された.
著者
村尾 俊道 藤井 聡 中川 大 松中 亮治 大庭 哲治
出版者
日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.103-108, 2009-10-25
参考文献数
12
被引用文献数
1

本研究では、京都都市圏での通勤交通における課題を明らかにするとともに、京都府での実際のプロジェクトを紹介することを通じ、職場MMの実行過程に着目し成功要因や課題を整理する。その結果、実施に至る準備段階においての関係者間の合意、組織の意思形成が重要であることを明らかにするとともに職場MM成功のための知見を提供した。これは、今後、職場MMを他地域で展開される際に極めて有益な知見となる。
著者
青山 吉隆 中川 大 松中 亮治 柄谷 友香 田中 啓一
出版者
広島工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

近年においては従来の大量消費型ライフスタイルから,都市における生活の質「都市アメニティ」を重視したライフスタイルへの転換期を迎えている。この「都市アメニティ」は,人々の生活の豊かさと環境保全の共生を図っていくうえで重要な概念となっている。そこで,本研究では,都市アメニティの維持・拡大と環境が共生した都市社会システムを構築するための施策体系を明らかにする。具体的には,まず「都市アメニティ」の概念を体系化・計量化する。また,都市アメニティの利害関係者の構成を明らかにすると共に,受益と負担に対する施策の提示と目標に向けた実現可能性についての合意形成を目指した。本研究の成果をまとめると以下の通りである。1.都市アメニティを,「ある空間に存在する多種多様な都市の要素の量・質・配置に対して、ある都市活動を行うに際して大多数の人々が主観的に感じる共通の価値」と定義し,空間アメニティ・アメニティ機能・アメニティ要素といった階層構造として提示した。2.京都市北部における学校・緑地・神社仏閣・墓地の4つのアメニティ要素を対象に,その影響範囲を明らかにした。さらに,京都市都心部において,面的集積を保持した京町家の近隣外部効果は土地資産価値を高める傾向があること,京町家の影響範囲よりも中高層建築物のほうがより広範囲な学区レベルに及んだこと,中高層建築物の集積が土地資産価値を低める傾向にあること,以上3点を明らかにした。3.京町家まちなみ保全の活動に対して,周囲の協力の割合が高いほど,個別地域住民の協力選択確率が高まること,調査対象とした元学区19のうち,16の地域では潜在的な保全可能性を担保していること,これを担保していない3つの元学区に対しては,社会的相互作用の視点から,保全可能性を確保するための方策案を各元学区の特性に応じて提示した。
著者
谷口 守 松中 亮治 平野 全宏
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.121-126, 2008-10-15
被引用文献数
8 3

自動車利用を原因とするCO2削減のため、都市のコンパクト化の必要性が指摘されている。しかし、マクロなレベルでは人口高密化の効果は検証されているが、「串とお団子」などの都市構造誘導策自体によるCO2削減効果は統計的に検証されていない。本論文では1987~2005年の4時点における全国38都市における居住者一人当たりの自動車CO2排出量を実際の居住者の交通行動データに基づいて算出し、その結果に対して簡便なモデル構築を通じて都市構造自体が自動車CO2排出に及ぼす影響を独自に抽出した。分析の結果、我が国の都市における一人当たり自動車CO2排出量は地方都市を中心に時系列的に増大していることが示された。また、都市構造パターンに応じて自動車CO2排出量に有意な差があることが明らかとなり、高密化策ほどではないが都市構造誘導策もその有効性が統計的に初めて検証された。