著者
足澤 萌奈美 脇田 雅大 上床 尚 阿部 恵 松島 理明 矢部 一郎
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.291-297, 2023 (Released:2023-05-27)
参考文献数
18

症例は50代男性.受診3年前から寒冷での皮膚変色を自覚し,2ヶ月前より微熱,体重減少,夜間の盗汗などのB症状と四肢異常感覚・表在覚鈍麻が加わった.血液検査で炎症反応亢進,リウマトイド因子(rheumatoid factor,以下RFと略記)高値,補体低下を認め,クリオグロブリン陽性であった.画像検査で全身リンパ節腫大がみられ,頸部リンパ節生検,筋生検を施行した.病理組織診で節性辺縁帯リンパ腫,クリオグロブリン血症性血管炎(cryoglobulinemic vasculitis,以下CVと略記)の診断となり,化学療法,ステロイド療法で症状は軽快した.CVは稀な免疫複合体性小血管炎であるが,血管炎を疑った際には鑑別に挙げ,RFや補体の測定を考慮し,感染症,膠原病,血液疾患などの原因疾患を検索すべきである.
著者
松島 理 松島 成夫
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.1350-1356,038, 2003-09-01 (Released:2010-10-27)
参考文献数
17

有限要素法によって, 段ボール箱側板 (幅L=240-302.5mm, 高さ207.5mm) の手かけ穴 (平行部の長さΔL0=0.0-62.5mm, 穴側端は半円弧: 半径r=12.5mm) に一様持上げ応力Pが働く場合の弾性応力解析をおこない, その応力状態を議論した。絶対値の大きい幅および高さ方向の垂直応力σx, σyおよびせん断応力は穴の上辺および側端付近に集中する。|σx|の最大値は, ΔL0<1.6rでは穴上辺に, ΔL0>1.6rでは板上辺の中央泣置にある。|σy|の最大値は, ΔL0<1.6rでは穴上辺に, ΔL0>1.6rでは穴側端にある。τxyは負で, |τxy|の最大値は, ΔL0<1.6rでは穴上辺に, ΔL0>1.6では穴側端からr/2上部位置にある。ΔL0の増加に伴って, σx, σyの最大値は増加し, σ γの最小値の絶対値は減少する。そして, ΔL0の増加に伴って, σx, σyの最小値の絶対値は減少, 増加する。
著者
松島 理明 高橋 育子 保前 英希
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.147-151, 2012 (Released:2012-03-28)
参考文献数
16

症例は53歳の女性である.貧血に対する1カ月の鉄剤内服でHb 3.5g/dl が8.9g/dl と改善した.入院当日頭痛や痙攣を主訴に救急搬送され,搬入後痙攣重積となった.高血圧を呈し,脳MRIで両側後頭葉などに異常信号をみとめた.髄液蛋白は上昇していた.人工呼吸管理下のチアミラール持続静注で痙攣は収束し,意識状態の改善,脳MRI異常の消退をみとめ,posterior reversible encephalopathy syndrome(PRES)と診断した.PRESの背景として高血圧や薬剤性などがあるが,本症例のように比較的急速な貧血補正で発症するばあいもある.貧血補正の際は慎重さを要する症例が存在する.
著者
長沼 亮滋 矢部 一郎 高橋 育子 松島 理明 加納 崇裕 佐々木 秀直
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.83-87, 2018 (Released:2018-02-28)
参考文献数
27
被引用文献数
2

3,4-diaminopyridine(3,4-DAP)を投与した9例のランバート・イートン筋無力症症候群患者の治療効果について後方視的に検討した.3,4-DAPは筋力低下と自律神経異常症に対し有効である一方,傍腫瘍性小脳変性症の小脳性運動失調に無効であった.有効例8例の投与期間は15~149ヵ月であった.3例が10年以上投与しており,長期間安全に投与できた.2例が小細胞肺癌(small cell lung carcinoma; SCLC)により死亡し,1例がSCLCの悪化で投与中止した.副作用が生じた2例のうち1例は投与中止したが1例は減量し投与継続した.維持用量や副作用の生じた用量には個人差があり,慎重な用量決定を必要とした.