著者
石井 隆 葉山久世 加藤ゆき 篠田授樹 池内俊雄 松本令以 萩原 康夫
出版者
日本野鳥の会 神奈川支部
雑誌
BINOS (ISSN:13451227)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.9-20, 2013-12-01 (Released:2014-11-10)
参考文献数
2
被引用文献数
1

1 2012 年以降の野生化したカナダガンの有害捕獲について報告した。2 山梨県富士河口町河口湖での、袋網捕獲で必要な手続きをまとめた。鳥獣保護法、自然公園法、河川法、土地所有者の許可等が必要で、約1 年の準備期間を要した。3 袋網作成の材料の検討を行い、袋網設置までの手順をまとめた。4 6 月14 日からの袋網設置の準備作業についてまとめた。5 6 月29 日の袋網捕獲の記録をまとめた。カヌー 6 艘、動力船1 艘、地上チーム10 名の体制で捕獲を行った。6 捕獲した個体の安楽殺は静脈経由で麻酔薬を投与し、電解質液を注入して心停止させた。7 袋網捕獲にあたっての留意点をまとめた。網の設置場所、規格、水上での追い込み等に関して記載した。
著者
松本 令以
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1-5, 2013-03-29 (Released:2018-05-04)
参考文献数
14

動物園は,レクリエーション施設としてだけではなく,社会教育施設として,調査研究機関として,また自然環境や野生生物の保全のための中核施設として社会的に位置づけられており,飼育係,獣医師,教育普及担当者などの動物系技術職員がそれぞれの専門業務を行うとともに,動物学,獣医学,教育学などの分野の様々な研究を自ら,あるいは大学などの研究機関と共同して行っている。横浜市立動物園では,(独)国際協力機構(JICA)の支援を得たウガンダ野生生物教育センターへの技術協力,同じくJICAの支援を得たインドネシア・バリ島へのカンムリシロムクの野生復帰,横浜市内で野生絶滅したミヤコタナゴの飼育下繁殖など,いくつかの野生生物保全活動も行っている。一般市民からは,動物園は単なるレクリエーション施設として捉えられがちであり,飼育係といえば,単に動物の世話をする人というイメージも強い。しかし動物園は,立派な自然科学系博物館であり,そこに働く動物系技術職員は学芸員と同等の業務を行っている。特に公立動物園では,管理運営の大部分が市民の税金を用いて行われているため,市民に対する社会教育,自然環境や野生生物の保全思想の普及啓発などの公益的成果をあげることが期待されている。
著者
松本 令以 植田 美弥 村田 浩一 比嘉 由紀子 沢辺 京子 津田 良夫 小林 睦生 佐藤 雪太 増井 光子
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.79-86, 2010 (Released:2011-03-01)
参考文献数
52

蚊媒介性感染症のベクターとなる蚊の生息状況解明を目的として,2005年5月から5か月間,横浜市立よこはま動物園内においてドライアイストラップ,グラビッドトラップおよびスウィーピング法を用いた捕集調査を行った。その結果,アカイエカ種群蚊(Culex pipiens group),ヒトスジシマカ(Aedes albopictus),トラフカクイカ(Lutzia vorax)など計9属14種2,623個体が捕集された。アカイエカ種群蚊およびヒトスジシマカが捕集蚊全体の約85%を占め,これらの蚊が園内における優占種であると考えられた。神奈川県内で生息が確認されている蚊26種のうち53.8%にあたる種が捕集されたことから,本動物園およびその周辺地域は,各種蚊が選好する多様な環境で構成されていると考えられた。なお,捕集蚊の10.6%で吸血が認められ,動物園動物を吸血源としている可能性が示唆された。動物園動物の蚊媒介性感染症を制御し,希少種の生息域外保全を行うためには,蚊種の生態に応じた防除対策が必要である。