著者
浅川 直之 大塚 純 角 将一 水谷 立美 吉澤 和彦 古田 富雄 松本 常男 栗田 晃伸 鈴木 勝也 鈴木 倫 小林 稔秀 金子 公幸 船橋 英行 兼田 憲昌 加藤 幾雄 内田 和美
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第37回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.260, 2010 (Released:2010-08-18)

【目的】ペントバルビタール(PB)ナトリウム製剤は実験動物の全身麻酔薬として広く使用されている。我々はヒト・動物用医薬品であ るネンブタール注射液(NT)を繁用していたが,近年,販売中止となったことから,動物用医薬品であるソムノペンチル(SP)を使用す ることとした。しかし,NTとSPでは成分含量や添加物が異なること,これまでNTを用いたマウスの麻酔において,成書で謳われて いる至適投与用量(saline希釈,50 mg/kg,腹腔内投与)を投与しても十分な麻酔効果が得られない個体が出現することから,SPの使 用に先立ち,マウスにおけるSPの最適な麻酔法を確立するため,まず麻酔用量の検討を行った。さらに,マウスでは製剤を希釈して 投与する必要があることから,希釈溶媒をsalineからNTおよびSPの添加物であるEtOH(10%)に変更して比較検討を行った。また, 上記検討において得られた最適な麻酔用量を用いて,希釈溶媒による麻酔効果の差を体内動態の面から解析した。 【方法】10%EtOHまたはsalineで希釈した各用量(50.5,64.8および84.3 mg/kg)のSPを8週齢のCrlj:CD1(ICR)マウスに腹腔内投与 し,麻酔深度の判定基準に従って麻酔効果を比較した。また,最適な麻酔用量(salineまたは10%EtOH希釈)での血漿中および脳中PB 濃度をHPLCを用いて測定し,薬物動態学的解析を行った。 【結果および考察】10%EtOHで希釈したSP 64.8 mg/kgを腹腔内投与する麻酔条件がその効果の確実性,持続性の面から最適であっ た。また,64.8 mg/kgでは,脳のT1/2(消失半減期),AUC(濃度-時間曲線下面積)およびMRT(平均滞留時間)はsaline希釈と比べて 10%EtOH希釈で高値傾向を示したが,血漿中濃度推移は顕著な差が認められなかった。このことから,マウスでのSP投与では,希 釈溶媒がPBの脳移行性に影響を与え,10%EtOHはsalineよりもSPの麻酔効果を増強させることが明らかとなった。
著者
三浦 剛史 松本 常男 野村 敏 田中 伸幸 清水 建策 粟屋 ひとみ 塚本 勝彦 松永 尚文
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.361-367, 1999-08-20
被引用文献数
4

当科に入院したIII,IV期肺癌患者73例に対する病状説明の過去2年間の内容を検討した.肺癌であるということは全体の71%で患者本人に伝えられていたが,予後について説明されたのは11%に過ぎなかった.入院時のアンケート調査では患者本人の91%が告知希望であったが,52%の家族は反対していた.患者,家族ともに告知を希望していた群では全例で病名が伝えられていた。本人の希望はあるものの当初は告知に反対であった家族の59%で説得に成功して病名告知がなされた,非告知の症例では腺癌およびPS2以上の症例が比較的多かった.