著者
渡邊 肇子 福水 道郎 林 雅晴
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.364-366, 2018 (Released:2018-09-28)
参考文献数
9

メラトニンは種々の睡眠障害の治療に使われるが, 本邦では製造販売承認されていないため, 海外のサプリメントを輸入し使われることが多い. 今回, 海外で販売されているメラトニンサプリメントの品質評価を行い, メラトニンサプリメントは含量や溶出性が様々で品質が一定でないことを確認した. サプリメントは健康維持や増進目的で使われるため品質が一定でないこともあり, 治療目的で使う場合は, 品質や有効性, 安全性が確認された医薬品としてのメラトニン製剤の開発が望まれる.
著者
千葉 雄大 松村 修 寺尾 富夫 高橋 能彦 渡邊 肇
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.455-464, 2009-10
被引用文献数
1

深水栽培による籾数制御と草姿の改善により、水稲の登熟期における高温による白未熟粒の発生抑制を試みた。2004年から2007年に、水稲3品種(初星、ササニシキ、コシヒカリ)を分げつ盛期から最高分げつ期にかけて水深18cmで深水処理し、生育、収量と白未熟粒割合を調査した。深水処理により、2次分げつおよび上位1次分げつといった弱小分げつが減少して、強勢な下位の1次分げつの穂を中心とした分げつ構成となり、有効茎歩合が高まった。その結果、深水処理により穂数は減少したが、一穂籾数と玄米千粒重が増加し、年次変動はみられたが、慣行栽培と同程度の収量が得られた。深水処理により白未熟粒発生が抑制され、特に、乳白粒の発生を顕著に抑制した。また、深水栽培は、オープントップチャンバーによる高温処理においても白未熟粒発生を抑制し、高温による品質低下防止に効果があった。この効果は、高温登熟耐性の弱い品種ほど顕著であった。しかし、深水処理は茎数を減少させるため、十分な茎数が確保できない場合には減収した。このため、高品質米の収量確保には、有効茎数を確保してから深水処理を開始することが必要であり、深水処理開始時の茎数が330本/m2程度確保できれば、慣行栽培と同程度の収量と、白未熟粒発生抑制の両立が期待できる。
著者
辻 恵 渡邊 肇子 井合 瑞江
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.266, 2015

はじめに短腸症候群は小児における小腸機能障害の最多原因である。小腸移植の対象であるが、我が国の移植医療の現状では未だ経静脈栄養を半永久的に必要とする病態であり、家族・本人の抱える負担は大きい。われわれは先天性多発小腸閉鎖術後に短腸症候群となった脳性麻痺児に長期経静脈栄養管理を行った例を経験し、発達支援と管理上の問題点について検討する。症例34週2870g、Apgar scor5/7で出生。臍帯損傷による重症貧血、DICを認めた。先天性多発小腸閉鎖の診断で日齢16に回盲部を含む小腸を大量切除し残存小腸は6cmであった。短腸症候群のため中心静脈栄養管理が開始された。脳室周囲白質軟化症、症候性てんかんを合併。2歳1カ月で在宅へ移行したが、自宅での養育困難となり3歳5カ月で当施設入所。入所時の発達レベルは定頸までで、発語なし、刺激による啼泣が多く情緒不安定さが見られた。この時点で中心静脈ルート入れ替えの既往がすでに5回あった。使用したすべての中心静脈に血栓形成を認め、入所後も感染と閉塞、入れ替えを繰り返した。6歳8カ月時、左鎖骨下静脈の血栓除去術と中心静脈カテーテル再挿入後、抗血小板薬内服を開始したところ消化管出血から出血性ショック、敗血症となり集中治療を要した。6歳10カ月現在、経静脈栄養主体で少量の経腸栄養と経口摂取を併用し安定が得られている。未だ移動運動は不可であるがあやし笑い、聴覚刺激に対する表情変化や上肢の探索行動がみられ緩徐ながらも知的発達が見られている。考察脳性麻痺に加え中心静脈ライン維持の困難さは、在宅養育の難しさを容易に想像させる。度重なるカテーテル感染の完全制御は困難でエタノールロックなどの特殊対応をせざるを得ず医療依存的な状態といえる。今後は残存小腸の延長術も検討されており、安定したエネルギー供給と発達促進が期待される。多臓器に障害を抱えた本児への包括的対応が発達発育支援に不可欠であると考えられた。