著者
松永 和人 一ノ瀬 正和
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.8, pp.2219-2225, 2012 (Released:2013-08-10)
参考文献数
7

呼吸器系は,肺,胸壁,肺循環,中枢神経系から構成される.呼吸中枢は,肺胞のガス交換である換気を調節する.換気障害は,中枢神経の呼吸ドライブ,呼吸神経筋,肺換気の障害により生じ,低酸素血症を伴う高二酸化炭素血症の原因となる.最近,増加している睡眠時無呼吸症候群は,心血管・脳血管の障害や糖尿病と深く関連する.さらに,Churg-Strauss症候群は呼吸器と脳神経を系統的に障害する血管炎症候群として重要である.
著者
松永 和人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.6, pp.950-956, 2016-06-10 (Released:2017-06-10)
参考文献数
10

喘息の病像は多様であるが,気道の慢性炎症は一貫した特徴である.呼気一酸化窒素濃度は,気道の好酸球性炎症を捕捉するバイオマーカーである.喘息を疑わせる呼吸器症状に加え,気道炎症の存在は喘息の診断を支持する.本稿では,気道における一酸化窒素(nitric oxide:NO)の産生機序,呼気NO濃度測定の方法と留意点,喘息の診断や慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)の鑑別における呼気NO濃度測定の役割について最近の話題を提供する.
著者
税所 篤行 高砂 美和子 若林 和貴 秋山 真里 幸田 恭治 髙崎 彰久 松永 和人 石田 博 北原 隆志
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.141, no.7, pp.971-978, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)
参考文献数
14

To reduce the number of falls caused by hypnotic agents, the standardization of insomnia treatment was carried out at Yamaguchi University Hospital from April 2019. There were concerns that medical costs would increase due to the selected medicines―suvorexant and eszopiclone―being more expensive than conventional benzodiazepines. In this study, the standardization of insomnia treatment was evaluated by pharmacoeconomics. The costs of the hypnotic agents was considered, as was the cost of examination/treatment following falls. Effectiveness was evaluated as the incidence of falls within 24 hours of taking hypnotic agents. This analysis took the public healthcare payer's perspective. Propensity score matching based on patient background, showed that, per hospitalization the medicine costs of the recommended group increased by 1,020 yen, however, the examination/treatment costs following falls decreased by 487 yen when compared with the non-recommended group. Overall, the recommended group incurred costs of 533 yen more per hospitalization for patients prescribed hypnotic agents compared to the non-recommended group, but the incidence of falls for the recommended group was significantly lower than that in the non-recommended group (1.9% vs. 6.3%; p<0.01). These results suggest that in order to prevent the incidence of falls by 1 case, it is necessary to increase costs by 12,086 yen which is the subthreshold cost for switching to the recommended medicine as standardization. The selection of recommended medicines may be a cost-effectiveness option compared with non-recommended medicines.
著者
松永 和人 中西 裕二 片多 順
出版者
福岡大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

松永は,仏教が定着していない鹿児島県徳之島において,死の儀礼にかかわって「神葬祭」の研究調査を実施し,死者が死後神となるプロセスを分析した。当地において家内部には先祖神のみが祭られ,死者と先祖神とのかかわりにおいて死の観念上よくいわれている死の穢れということはいえず,死の穢れの概念は,本土と比較するとき,ムラの氏神に祭られている神その他外来神とのかかわりで認められるということがいえそうである。そのために,死の穢れの観念を神の種類との関係において分析的にみる必要があるということが研究調査の一つの結果である。片多は,人口100万人以上の社会としては世界一長寿である沖縄を調査地に,長寿の社会文化的要点を分析し,とくに健康と長寿を祝う沖縄に独特の儀礼を焦点に研究した。その結果,数え年85歳,97歳に行われる儀礼が,天寿を全うし安らかに死を迎える準備として機能していることが判明した。また,このような長寿儀礼は沖縄の伝統文化が生みだした人生終末期の儀礼であり,(1)仮葬儀の意味合いをもつ,(2)この機会に人々のつながりが再確認,再強化される,(3)長寿者の死への移行をスムースにする,などから長寿から死への通過儀礼としてとらえられることを提起した。中西は,沖縄において数え年の13歳から97歳まで12年毎に行われるトゥシビ-と呼ばれる年祝いの儀礼に注目し,中でも88歳のトウカチ,97歳のカジマヤ-の現地調査を行った。具体的には沖縄県北部の名護市と本部市をフィールドに,長寿を祝う儀礼についての民俗知識や観念についての聞き取り調査と参与観察を実施した。その結果,長寿儀礼の中に高齢者をめぐるコミュニティーの紐帯の強さを確認できた。しかし,その伝統が儀礼を家単位で行う傾向とともに弱体化する可能性を示唆した。また,長寿者に「アヤカル」という観念と行為を長寿以外の文脈でみていくことが今後の課題として残された。
著者
浅見 麻紀 松永 和人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.6, pp.1134-1140, 2019-06-10 (Released:2020-06-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1

喘息の病態は多様であり,好酸球,好中球等の炎症細胞や気道構成細胞及び種々の液性因子が関与する気道の慢性炎症が本態である.呼気一酸化窒素(fractional exhaled nitric oxide:FeNO),喀痰好酸球比率は気道の好酸球性炎症を反映し,喘息の診断や管理に応用することができる.末梢血好酸球数が高値の場合は増悪のリスクが高い.検査の簡便さ及び非侵襲性から,気道炎症のモニタリングとしては,呼気NO濃度測定が今後ますます用いられることが予想される.