著者
鈴木 慎太郎 田中 明彦 岸野(大木) 康成 村田 泰規 楠本 壮二郎 石田 博雄 安藤 浩一 白井 崇生 大西 司 相良 博典 瀧本 雅文
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.118-124, 2016-03-25 (Released:2016-03-30)
参考文献数
5
被引用文献数
1

背景.数多くの健康食品が販売されており,医薬品と併用している場合も少なくない.なかでも滋養強壮を謳った「にんにく卵黄」は盛んに広告されており,愛飲者も相当数が見込まれる健康食品である.症例.69歳男性.4年前から「にんにく卵黄」を服用し続けていた.数週間前から労作時の呼吸困難と乾性咳嗽を自覚し,近医で肺炎の診断にて抗菌薬と副腎皮質ステロイドを投与されるも改善せず,当科を紹介受診した.胸部X線およびCT上,両側中下肺野,末梢側優位のすりガラス影を認めた.気管支肺胞洗浄液でリンパ球優位の細胞増加を認め,気管支肺生検ではリンパ球主体の炎症と軽症の器質化肺炎様の所見を認めた.「にんにく卵黄」の服用中止により速やかに改善し,リンパ球刺激試験でも同商品で陽性反応を示したため,同食品による肺障害を強く疑った.結論.健康食品やサプリメントの摂取歴についても,問診で詳細に聴取することが大変重要である.
著者
石田 博幸
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.220-223, 1983

大学生はもちろん,小中学校の児童生徒も音が有限の速度を持って伝播してゆくということを花火大会の花火,雷等を通し体験しており,多くの教師も改めてこのことを見せる必要はないと考えている.しかしこれらの経験は,全てワンポイントの現象,即ち一点から発した光と音の知覚される時間の差なのであって,音の伝播の有限の速さは,その「くいちがい」への説明として納得しているに過ぎない.この報告では,数mおきに並んだ学生がピストルの音を聞くと同時に旗を振り上げるという実験を通して,音の波頭が移動してゆくのを直接観測した結果を示し,その物理(理科)教育への意義を考察する.
著者
石田 博子 小野木 雄三
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.94, pp.21-26, 2006-09-12
被引用文献数
1

一般向け医学サイトで病名を精度良く検索するには、医学用語が必要とされる。しかし、一般ユーザーは医学用語を使用しないため、検索語は日常会話内となる。そこで、日常の言葉で検索精度を向上させるため、自らの病名説明語のうち、受容器官で動機づけられた感覚における日本語での概念形成手段としての比喩表現である擬態語・擬音語に着目する。本研究では、病名解説文書を利用し自然言語処理により擬態語・擬音語と受容器・感覚との関係を得ることを目的とした。擬態語・擬音語との共起語の関連度をKL-距離(Kullback-Leibler Divergence)によって抽出し、神経生理学的感覚分類に基づき受容器・感覚を分類した。また、別の一般向け医学コーパスで本手法の分類によるカバー率を確認した。To retrieve a disorder name properly on medical site for general user, it still requires medical terms. While it is assumed that people use only ordinary spoken language for retrieval, user's ordinary expression as Japanese metaphor of sense such as an imitative word caused by reception in organ can directly influence effect. The purpose of this study was to obtain relation among imitative word, site and sense with disorder discription by natural language processing. The extract with relevance ratio between imitative word and co-occurring tems was made by KL-Divergence, and the classification was premised on neurophysiological clue. Then we checked how many terms could be covered with another data by this method.
著者
税所 篤行 高砂 美和子 若林 和貴 秋山 真里 幸田 恭治 髙崎 彰久 松永 和人 石田 博 北原 隆志
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.141, no.7, pp.971-978, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)
参考文献数
14

To reduce the number of falls caused by hypnotic agents, the standardization of insomnia treatment was carried out at Yamaguchi University Hospital from April 2019. There were concerns that medical costs would increase due to the selected medicines―suvorexant and eszopiclone―being more expensive than conventional benzodiazepines. In this study, the standardization of insomnia treatment was evaluated by pharmacoeconomics. The costs of the hypnotic agents was considered, as was the cost of examination/treatment following falls. Effectiveness was evaluated as the incidence of falls within 24 hours of taking hypnotic agents. This analysis took the public healthcare payer's perspective. Propensity score matching based on patient background, showed that, per hospitalization the medicine costs of the recommended group increased by 1,020 yen, however, the examination/treatment costs following falls decreased by 487 yen when compared with the non-recommended group. Overall, the recommended group incurred costs of 533 yen more per hospitalization for patients prescribed hypnotic agents compared to the non-recommended group, but the incidence of falls for the recommended group was significantly lower than that in the non-recommended group (1.9% vs. 6.3%; p<0.01). These results suggest that in order to prevent the incidence of falls by 1 case, it is necessary to increase costs by 12,086 yen which is the subthreshold cost for switching to the recommended medicine as standardization. The selection of recommended medicines may be a cost-effectiveness option compared with non-recommended medicines.
著者
石田 博幸
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1994

国際教育援助を考えるとき、自然科学は世界共通であり、日本の理科教育がそのまま世界に通用すると思われがちである。しかし、児童の持つ初期科学概念が自然、社会、言語、文化宗教的な環境によって、大きく異なり、場合によっては互いに、一方には存在しない概念を、他方では当然の既有の概念として持っていることもある。このことを裏づけるために日本、タイ、ラオス、中国、ロシア、ホンジュラスの小学生に対して共通のアンケートを依頼し、その結果を検討した。各国における調査は、過去、及び現在の本学への留学生や、報告者の知人等に依頼した。結果、多くデータから貴重な情報が得られた。この研究結果は、国際教育協力に関る際には、自然科学といえども、その国、地方を理解した上で、協力にあたるべきであることを結論している。調査地域と調査数は6ケ国、11地域、1582名に及んだ。調査形式は,記述欄を含む選択式で、内容は、太陽、熱、光など、主に地域の気候環境をテーマとし、第2回調査においては、宗教、生命観を主題に設定し、概念地図方式も取り入れた。データ処理はMS-Windows上でMS-Visual BASICを使った。データ処理は多岐にわたる。その関係を見るための他種類のデータ解析・表示プログラムを作成した。単純統計をとった場合、特に大きな差がないケースも、個々の回答の組み合わせをみると、差が顕在化してくる。このような新しいデーター解析法によって、従来、単純に集計されていた研究データーからも新しい情報を汲み出せる可能性があることを示した。結果から作成した概念地図において気候環境、およびそこから派生している言語、宗教文化の差を色濃く表している結果がえられた。このように得られた知見は多く、おおむね報告者の仮説を裏付ける結果が出た。成果は5回の学会、8編の論文として公表した。
著者
野間 研一 村川 和重 石本 栄作 石田 克浩 石田 博厚 和泉 良平
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.236-240, 1991-03-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
4

Ramsay Hunt症候群は,顔面神経麻痺,内耳神経症状,外耳道,耳介周辺部の疱疹を三兆候としているが,帯状疱疹と顔面神経麻痺出現の時期についての詳細な報告は見当たらない.我々は,ウイルス性髄膜炎を併発した,三叉神経第2枝帯状疱疹例に対し,早期より抗ウイルス剤の投与および神経ブロック療法を施行し,順調に経過していたにもかかわらず,発症3週間後に遅発性顔面神経麻痺を生じた症例を経験した.顔面神経麻痺出現時には,すでに皮疹および疼痛はほぼ消失しており,VZV感染と顔面神経麻痺の因果関係は明確にできなかった.また,従来は,Ramsay Hunt症候群の治療として抗ウイルス剤の投与や星状神経節ブロックが施行されているが,今回の症例では,顔面神経麻痺出現前より,これらの治療を行なっていたが,その出現を防止できなかった.
著者
新関 泰夫 渡辺 勇 大久保 仁 石田 博義 山本 修三 水越 鉄理 渡辺 行雄
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 補冊 (ISSN:09121870)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.Supplement8, pp.104-115, 1986-12-05 (Released:2012-11-27)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

Registered cases of Ménière's Disease collected by the Committee members were studied and classified according to the age of onset and the duration of the disease. The influence of each factors on the vestibular symptoms and hearing impairment was analyzed. Next, the influence of these two factors on the hearing loss of the affected side was studied in 120 cases of definite Ménière's Disease.The results of this study were as follows:1) The hearing impairment of the affected side increased gradually with the age of onset and the duration of the disease.2) The vestibular symptoms of Ménière's disease were not significantly affected by these two factors.
著者
大久保 仁 渡辺 勇 石川 紀彦 渋沢 三伸 石田 博義 大柿 徹 大木 幹文 羽成 敬一
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.495-499, 1985

The Eustachian tube opens and closes in response to swallowing movements. Sonotubometry records these opening and closing movements as changes in sound pressure. Moreover, it shows that the timing of the opening and closing of the Eustachian tube varies with the material swallowed (saliva, Barium, liquid, etc.) even in healthy adults. These differences effect the interpretation of the test results. We considered that the soft palate might have some relationship to nasal closure when the nasopharynx is closed in response to swallowing movements.<br>Since the contribution of the soft palate to nasopharyngeal closing can be estimated by observing pressure changes, its relationship to the tubal opening and closing time was examined by combining various swallowing movements with sonotubometry during Toynbee's maneuver. It was found that the incease in intranasal pressure during saliva swallowing was lower than that during liquid swallowing; however, its decrease was greater. This may indicate that the soft palate is moved more voluntarily during swallowing behavior which requires an increased negative pressure of the pharynx. It was further estimated that the movement of various muscular groups involved in the tubal opening may also be activated, ultimately providing more positive results sonotubometry.
著者
鈴木 慎太郎 田中 明彦 岸野(大木) 康成 村田 泰規 楠本 壮二郎 石田 博雄 安藤 浩一 白井 崇生 大西 司 相良 博典 瀧本 雅文
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.118-124, 2016

背景.数多くの健康食品が販売されており,医薬品と併用している場合も少なくない.なかでも滋養強壮を謳った「にんにく卵黄」は盛んに広告されており,愛飲者も相当数が見込まれる健康食品である.症例.69歳男性.4年前から「にんにく卵黄」を服用し続けていた.数週間前から労作時の呼吸困難と乾性咳嗽を自覚し,近医で肺炎の診断にて抗菌薬と副腎皮質ステロイドを投与されるも改善せず,当科を紹介受診した.胸部X線およびCT上,両側中下肺野,末梢側優位のすりガラス影を認めた.気管支肺胞洗浄液でリンパ球優位の細胞増加を認め,気管支肺生検ではリンパ球主体の炎症と軽症の器質化肺炎様の所見を認めた.「にんにく卵黄」の服用中止により速やかに改善し,リンパ球刺激試験でも同商品で陽性反応を示したため,同食品による肺障害を強く疑った.結論.健康食品やサプリメントの摂取歴についても,問診で詳細に聴取することが大変重要である.
著者
石川 澄 奥原 義保 合地 明 木村 映善 津久間 秀彦 田中 武志 岩田 則和 石田 博 横井 英人 森川 富昭 花田 英輔 原 量宏 井上 裕二 太田 吉夫 岡田 宏基 森口 博基 石原 謙 近藤 博史 北添 康弘 畠山 豊 渡部 輝明 中島 典昭 栗原 幸男 片岡 浩巳 岩崎 泰昌 野々村 辰彦 園田 武治 中野 直樹 稲岡 則子 堀 信浩
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

現在の医療記録の電子化は記録を利用することを軽視していないか?電子医療記録の利用ができない、あるいは利用がしにくい要因を分析した結果、患者の診断・治療と評価のために蓄えられる情報の信憑性に問題があるのではないかと仮定した。年2回のワークショップに於ける議論や日本医療機能評価機構の情報機器・IT化部会の協力で行ったアンケート評価に基づき、情報の信憑性を阻害する因子をソフト的、ハード的、および人為的要因に分けて分析した。更に分析結果から「患者がどのようになったら良いのか」という医療のゴールに向かって診療と治療が行われる過程で「記録」にどのような要件と問題点が存在するかを検討した。結果、電子医療記録の信憑性を阻害する要因は、次の4段階の構造モデルに分類された。すなわち、データレベルにおける「正確性」と「連続性」の確保を基盤とすること、データを系統別に分け長期にわたり視認できる「通覧性」を確保すること、そして目標達成にむけてその道筋を誰もが理解できる形で表現して「物語性」を確保すること、である。そしてモデルの各段階におけるソフト、ハード面、および人為的に複合する解決策の提案を行った。
著者
石田 博幸
出版者
中部大学
雑誌
現代教育学部紀要 (ISSN:18833802)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.37-43, 2009-03

児童が教室に入ってくる前にも、各種概念について、白紙なのではなく、各自の概念を持っている。概念の獲得過程は、生活や自然の中から現象や事物が認識され、まわりからその名前や呼び方を知らされて、容易に獲得するものと、例えば、"従兄"や"凶器"のように、事物のみの把握では、獲得されず、社会的な説明が加わって初めて概念が獲得されるものがある。この前者を自然的獲得概念、後者を、社会的獲得概念と呼ぶことにする。実は、自然科学概念の中にも、はっきり区別しがたいが、この2種類があり、その概念を伝える方法も異なってくる。その違いは、各国で、その国の自然環境、社会環境、歴史的環境、宗教的環境によってことなる。したがって、特に、国際社会での理科(科学)教育に携わったり、外国から来た児童を扱かったりする者は、この違いを意識しながら、教育に当たるべきであることを提唱する。
著者
下妻 晃二郎 能登 真一 齋藤 信也 五十嵐 中 白岩 健 福田 敬 坂巻 弘之 石田 博 後藤 玲子 児玉 聡 赤沢 学 池田 俊也 國澤 進 田倉 智之 冨田 奈穂子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

経済状況の低迷が続く多くの先進国においては、公的医療資源の適切な配分は、費用対効果などの合理的な社会的価値判断に基づいて行われている。日本では従来そのような仕組みがなかったが、2016年度から、高額な医療用製品を対象に政策への施行的導入が予定されている。本研究では費用対効果分析による効率性の向上にむけて技術的課題の解決を図り、同時に、効率性の追求だけでは疎かになりがちな公平性の確保を図るために考慮すべき、倫理社会的要素の明確化とそれを政策において考慮する仕組み作りを検討した。