著者
松浦 俊治 水田 祥代 増本 幸二 田口 智章
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.697-702, 2004-08-20 (Released:2017-01-01)
参考文献数
28

症例は2歳9ヵ月,男児.上気道炎にて近医受診時,肝腫大,肝機能障害を指摘された.肝炎を疑われ保存的治療を行われたが,症状の改善をみず,肝生検にて原発性硬化性腸管炎(PSC)が疑われたため,当院へ紹介となった.当院でのCT,MRCPでは,肝内胆管の数珠状変化と総胆管の壁肥厚を,前医における肝生検では門脈域の線維化と炎症細胞浸潤,偽胆管の増生を認めていたため,PSCと診断された.また,肝機能障害を指摘された頃より時折血便を認め,注腸造影および大腸ファイバーにて,全大腸に全周性の浅いびらんを認めたため,潰瘍性大腸炎(UC)と診断され,以後5-ASA (5-aminosalicylic acid)投与を開始した.PSCに対し保存的治療を行ったが,肝硬変へと移行したため,5歳2ヵ月時,家族の希望にて生体肝移植目的で他院へ紹介となった.小児期発症のPSCにおけるUC合併例は稀であり,文献的考察を加えて報告する.
著者
川久保 尚徳 林田 真 松浦 俊治 田口 智章
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.931-936, 2012
参考文献数
21

症例は3歳男児,墓石の下敷きになっている所を発見された.腹部造影CT検査で高度肝損傷と膵損傷を認めたため,加療目的に当院に搬送された.出血コントロールのため緊急transcatheter arterial embolization (TAE)を行い保存的に経過をみたが,その後肝内胆汁性嚢胞と膵仮性嚢胞を合併したため,経皮的肝嚢胞ドレナージ術および経皮経胃膵嚢胞ドレナージ術を施行した.肝嚢胞および膵仮性嚢胞はともに縮小した.ドレナージチューブ抜去後も肝嚢胞および膵仮性嚢胞の再形成を認めず,受傷後39日目に退院となった.小児における肝外傷および膵外傷の治療方針に関しては一定の見解は出ておらず,若干の文献的考察を加え報告する.
著者
濱田 裕子 藤田 紋佳 瀬藤 乃理子 木下 義晶 古賀 友紀 落合 正行 賀来 典之 松浦 俊治 北尾 真梨 笹月 桃子 京極 新治 山下 郁代
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

子どもを亡くした家族の悲嘆に関するケアニーズを明らかにし、アクションリサーチによって悲嘆に対するサポートプログラムを作成することを目的に研究を実施した。子どもを亡くした家族に個別インタビューを行った結果、子どもの疾患や年齢によって、家族のケアニーズの特徴は異なったものの、共通していたのは【子どものことをなかったことにしたくない】、【子どもの事を知ってほしい】、【ありのままの自分でよいことの保証】、【気持ちを表出できる場がほしい】などであった。グリーフケアプログラムの試案として、フォーカスグループインタビューを4回、グリーフの集いを1回実施するとともに、グリーフサポートブックを作成した。