著者
林田 真志
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.226-235, 2015 (Released:2015-08-31)
参考文献数
16
被引用文献数
1

聴覚障害者と健聴者を対象として,リズムの時間構造と強度アクセント,日常での音楽鑑賞時間を変数としたリズム再生課題を実施した.連続する音刺激でリズムを構成し,隣接する音刺激間の時間間隔(inter-stimulus interval; ISI)の比を基に3タイプのリズムの再生を求めた結果,両対象者の再生率はISI比1:2のリズムで最も高く,1:3,1:2:3の順で低くなった.日常での音楽鑑賞時間を基に,聴覚障害者を鑑賞群と非鑑賞群に分けて分析した結果,ISI比1:3と1:2:3のリズムにおいて,鑑賞群のリズム再生率が非鑑賞群を上回った.また,強度アクセントの付与によって,特に非鑑賞群のリズム再生率が顕著に向上した.以上の結果から,聴覚障害の有無を問わずリズム再生の難易傾向は類似していること,音楽鑑賞時間や強度アクセントの付与がリズム再生に効果的な影響を及ぼすことが明らかになった.

2 0 0 0 OA 飲酒と健康

著者
林田 真梨子 木下 健司
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.1, pp.2-10, 2014 (Released:2018-02-16)
参考文献数
7
被引用文献数
1 3

武庫川女子大学バイオサイエンス研究所では,2010年より久里浜医療センター監修のもとアルコール体質遺伝子検査および飲酒習慣に関するスクリーニングテストを実施している。それによって,未成年者に対しては飲酒防止のための健康教育,成人に対しては適切な飲酒習慣の指導を行っている。また,この活動には,我々にとって身近なアルコール体質検査を通じ,遺伝子診断によるオーダーメイド医療の普及・理解に向けた啓蒙を行うといった目的も含まれている。アルコール体質を5タイプに分類し,それぞれ留意すべきポイントがまとめられているので,読者の日々の健康管理に役立てられたい。
著者
菊地 翁輝 齋藤 大祐 池崎 修 三井 達也 三浦 みき 櫻庭 彰人 林田 真理 徳永 健吾 小山 元一 森 秀明 久松 理一 高橋 信一
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.69-72, 2016-06-11 (Released:2016-07-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1

症例は60歳代女性.卵巣癌stageⅢcの診断にてパクリタキセルとカルボプラチンの投与による化学療法(TC療法)が施行されたが,投与10日後より腹痛・下痢が出現し,投与12日後に入院となった.入院時に施行した造影CT検査では全結腸の拡張および腸液の貯留を認め,大腸内視鏡検査では横行結腸から下行結腸にかけて縦走する潰瘍性病変が散見され,虚血性大腸炎と診断した.成因としてパクリタキセルによる血流障害が疑われ,絶食および抗癌剤再投与中止により症状は改善した.発症機序として,薬剤による上皮細胞の分裂・増殖停止に伴う粘膜障害や,血管平滑筋細胞の増殖・遊走・新生内膜集積の阻害に伴う血管障害の関与が考慮されている.タキサン系抗癌剤を含む化学療法の導入後に出現した腹部症状においては,虚血性大腸炎の発症に留意し診断を行う必要がある.
著者
林田 真梨子
出版者
武庫川女子大学
巻号頁・発行日
pp.1-40, 2016-03-20

本研究では, 濾紙や水溶紙を利用してDNA未精製の生体サンプルを用いたSNPタイピング法を開発した。迅速かつ正確な検査法を確立出来たことから、本検査法を利用しアルコールリテラシー教育を実施した.さらに遺伝子型から想定される体質とエタノールパッチテストとの一致率を明らかにした。本検査法はさまざまな研究に利用可能であり、今後遺伝子情報を用いた研究を活性化する方法論として重要な成果である。将来薬剤師が本検査法を遺伝子解析のツールとして利用し、個別化医療の発展の一助となることを望む。
著者
谷本 忠明 佐藤 明子 林田 真志 川合 紀宗
出版者
広島大学大学院教育学研究科附属特別支援教育実践センター
雑誌
広島大学大学院教育学研究科附属特別支援教育実践センター研究紀要 = The bulletin of the Center for Special Needs Education Research and Practice, Graduate School of Education, Hiroshima University (ISSN:18835406)
巻号頁・発行日
no.15, pp.33-41, 2017-03

平成25(2013)年度より,特別支援学校(聴覚障害)高等部に現行学習指導要領が学年進行で施行された。その際,それまでの教科内容が大きく変わったのが外国語(以下,英語科)であった。他方で,近年のグローバル化を踏まえて,中央教育審議会は,平成34年度からの新たな教育課程の施行に向けて,「審議のまとめ」(2016)の中で,高等学校英語科の新たな科目案を示した。しかし,聴覚障害教育においては,「聞く」,「話す」ことに困難のある生徒に対する英語科指導の教育的手立てについて,これまでも課題が指摘されてきている。他方で,「読む」,「書く」ことについても,基礎となる日本語習得の手立てを考慮しながら進めていく必要があることや,生徒の状態の多様化を踏まえた指導方法の工夫などの対応も求められている。本稿では,現行学習指導要領が施行された初年度において全国の特別支援学校(聴覚障害)高等部において開設された英語科に関して行った調査の概要を報告するととに,そこから得られた結果を踏まえて,次期学習指導要領に向けて何が求められるのかについて検討した。本稿は,平成26年度広島大学大学院教育学研究科博士課程前期特別支援教育学専攻の課題研究報告書の内容の一部に基づき作成されたものである。
著者
川久保 尚徳 林田 真 松浦 俊治 田口 智章
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.931-936, 2012
参考文献数
21

症例は3歳男児,墓石の下敷きになっている所を発見された.腹部造影CT検査で高度肝損傷と膵損傷を認めたため,加療目的に当院に搬送された.出血コントロールのため緊急transcatheter arterial embolization (TAE)を行い保存的に経過をみたが,その後肝内胆汁性嚢胞と膵仮性嚢胞を合併したため,経皮的肝嚢胞ドレナージ術および経皮経胃膵嚢胞ドレナージ術を施行した.肝嚢胞および膵仮性嚢胞はともに縮小した.ドレナージチューブ抜去後も肝嚢胞および膵仮性嚢胞の再形成を認めず,受傷後39日目に退院となった.小児における肝外傷および膵外傷の治療方針に関しては一定の見解は出ておらず,若干の文献的考察を加え報告する.
著者
林田 真志 河野 そらみ 河原 麻子
出版者
広島大学大学院教育学研究科附属特別支援教育実践センター
雑誌
広島大学大学院教育学研究科附属特別支援教育実践センター研究紀要 = The bulletin of the Center for Special Needs Education Research and Practice, Graduate School of Education, Hiroshima University (ISSN:18835406)
巻号頁・発行日
no.16, pp.1-8, 2018-03

小学校の難聴特別支援学級で指導を担当している教員を対象として、自立活動の実態と課題を明らかにすることを目的として質問紙調査を実施した。回答者のうち、特別支援学校教諭免許状(聴覚障害教育領域)保有者は11.8%にとどまった。先行研究でも報告されたとおり、多くの学級内で使用されている主たるコミュニケーション手段は音声言語であった。在籍児童が抱える学校生活上の困難として多く回答されたのは、「語彙について」「やりとりの確実さ」であった。回答者が在籍児童と関わる際に苦慮することについては、「自身の難聴に関する知識が十分でないと感じる」「手話や指文字を使いたいが十分に使えない」「児童間の人間関係が十分に形成できていない」という回答が多くみられた。回答者が自立活動において指導経験のある内容については、読み書きや発音・発語、人間関係の形成に関するものが多かった。自立活動の指導内容を精選及び指導する際に苦慮することについては、「指導したい内容に関する知識や技量が追い付かない」という回答が最も多く、難聴特別支援学級担当教員の専門性に関する課題が改めて示された。
著者
樋口 照男 木村 明 林田 真和 舘百 合子
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.1455-1460, 1986-09-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
14

当科では1980年1月より1985年8月までの間に685例の患者に対し計1, 194回の経直腸的超音波断層検査を行い, 得られた断層像より前立腺重量, 前後径左右径比, 仮想円面積比等を計測してきた。前立腺癌症例19例, 手術適応となった前立腺肥大症症例42例, 前立腺炎症例145例, 正常例180例の計測結果を集計し, 以下の知見を得た.1) 前立腺炎症例では正常例に比べ, 重量は低値, 前後径左右径比, 仮想円面積比は高値を示したが, いずれも有意ではなかった.2) 前立腺癌症例, 前立腺肥大症症例とも, 正常例, 前立腺炎症例に比べ, 重量, 前後径左右径比, 仮想円面積比がいずれも有意に増加していた。3) 前立腺癌症例では前立腺肥大症症例に比べ, 前後径左右径比, 仮想円面積比の増加の割に重量があまり増加せず, また仮想円面積比が同程度であっても前後径左右径比がより増加していた.
著者
林田 真梨子 鎌田 由佳 大田 智子 児島 沙由梨 増見 恭子 村田 成範 木下 健司
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.134-138, 2015 (Released:2015-05-21)
参考文献数
15
被引用文献数
2 7

Objectives: The purpose of this study was to identify associations between ALDH2 and ADH1B genotypes and ethanol-induced cutaneous erythema and assess the accuracy of an ethanol patch test in young Japanese women. Methods: The subjects were 942 female Japanese university students. They were given an ethanol patch test and examined for ethanol-induced cutaneous erythema both immediately after removing the patch and 10 minutes after removing the patch. A saliva sample was used to determine the ALDH2 and ADH1B genotype of each subject by realtime PCR. Results: The sensitivity and specificity of erythema immediately after removing the patch as the marker for the presence of inactive ALDH2 were 69.6% and 87.7%, respectively, and the sensitivity and specificity of erythema 10 minutes after removing the patch were 85.2% and 85.1%, respectively. The sensitivity of erythema after 10 minutes was markedly lower in the ADH1B*1/*1 carriers than in the ADH1B*2 carriers (8.3% vs. 89.7%, p<0.0001), and the specificity was significantly higher in the ADH1B*1/*1 carriers than in the ADH1B*2 carriers (96.9% vs. 84.3%, p<0.05). Conclusions: Overall, both sensitivity and specificity were satisfactorily high, but having the ADH1B*1/*1 genotype prevented a positive reaction for inactive ALDH2 and caused false-negative results. The data also suggested that having the ADH1B*2/*2 genotype caused a positive reaction in subjects with the ALDH2*1/*1 genotype. Despite these exceptions, the ethanol patch test has enough accuracy and can be used easily to subjects who don’t drink alcohol. This is a valuable tool for improving the health literacy of younger generation subjects.
著者
村田 成範 木下 健司 増見 恭子 林田 真梨子
出版者
武庫川女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究における教育活動として、当初の高等学校での出前講義・実験および大学での初年次教育に加え、小学生とその保護者、飲料関連企業、薬局などで、遺伝子検査を含むゲノム科学リテラシーセミナーを実施し、遺伝子に関する教育方法および解析技術を改良した。アルコール遺伝子検査を行った大学では3年次以降での追跡調査も開始した。教育方法の改善に加えて、高校での遺伝子実験法の改良により、生徒自身が実験を主導できる実験系プロトコールを開発し、個人情報取り扱いを含めた高校生主体プロジェクトの開始に向けた検討を行った。また大学でのアドバンス科目用として遺伝子情報取り扱いのための基礎技術も開発した。