著者
瀬藤 乃理子 丸山 総一郎
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.395-405, 2004-06-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
53
被引用文献数
3

本論文では,日本でも社会的ニーズが高まっている遺族のブリーフケアの今日的意義を見直し,特に喪失悲嘆が強いとされる「子どもとの死別」を取り上げ,死別後に生じる心理・社会的問題とそのグリーフケアのあり方について,国内外の文献から考察した.子どもを亡くした家族のグリーフケアにおいては,当事者の喪の過程における心理的問題だけでなく,喪失によって引き起こされる家族システムの問題や,遺された兄弟姉妹への影響,悲嘆の重症化や慢性化に関連する心身医学的問題などにも対応していく多角的な視点が必要である.グリーフケアとは何か,ブリーフケアを行う際の注意点,今後の死別研究の課題について言及した.
著者
瀬藤 乃理子 坂下 裕子 黒川 雅代子 井上 ひとみ 山田 至康 森島 恒雄
出版者
甲南女子大学
雑誌
甲南女子大学研究紀要. 看護学・リハビリテーション学編 = Studies in nursing and rehabilitation (ISSN:18825788)
巻号頁・発行日
no.1, pp.87-93, 2008-03-20

子どもの突然の死は,その家族にとって極めて外傷的な喪失体験であり,回復に向かう悲嘆過程は非常に困難なものとなる。その影響は,両親の感情面や世界観,生活や人生そのもの,家族システム,遺された子どもたちなど,多方面に多大な影響を与える。本稿では,小児救急における家族援助の重要性について述べ,子どもの死が予測された時点から死後まで継続的に行われることが推奨される医療従事者によるグリーフケアについて考察した。特に,インフルエンザ脳症のグリーフケアガイドラインの中で提唱した具体的な援助方法と,遺族に手渡す「グリーフカード」を紹介した。
著者
黒川 雅代子 青木 聡 瀬藤 乃理子
出版者
龍谷大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

あいまいな喪失とは、喪失そのものが不確実であるため、解決することも終結することもできない喪失のことをいう。認知症の人を介護している家族は、現実的には存在していても、認知症のため以前のその人とは異なってしまっている人を対象としているため、不完全な喪失感を体験することになる。離婚を経験した家族の中には、親や子どもは存在しているにも関わらず、会うことが出来なくなる場合がある。こういった家族が体験する喪失をあいまいな喪失という。認知症の人を介護する家族と離婚家族が体験するあいまいな喪失に焦点を当てて支援プログラムを検討するのが、本研究の概要である。
著者
濱田 裕子 藤田 紋佳 瀬藤 乃理子 木下 義晶 古賀 友紀 落合 正行 賀来 典之 松浦 俊治 北尾 真梨 笹月 桃子 京極 新治 山下 郁代
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

子どもを亡くした家族の悲嘆に関するケアニーズを明らかにし、アクションリサーチによって悲嘆に対するサポートプログラムを作成することを目的に研究を実施した。子どもを亡くした家族に個別インタビューを行った結果、子どもの疾患や年齢によって、家族のケアニーズの特徴は異なったものの、共通していたのは【子どものことをなかったことにしたくない】、【子どもの事を知ってほしい】、【ありのままの自分でよいことの保証】、【気持ちを表出できる場がほしい】などであった。グリーフケアプログラムの試案として、フォーカスグループインタビューを4回、グリーフの集いを1回実施するとともに、グリーフサポートブックを作成した。
著者
瀬藤 乃理子 岡崎 伸 鍋谷 まこと 藤井 美和 山田 美智子 多田羅 竜平
出版者
甲南女子大学
雑誌
甲南女子大学研究紀要. 看護学・リハビリテーション学編 = Studies in nursing and rehabilitation (ISSN:18825788)
巻号頁・発行日
no.5, pp.187-192, 2011-03-18

2010年2月に世界初の子どものホスピスであるイギリスのヘレンハウス(現ヘレン&ダグラスハウス)を訪問した。そこでは、成人まで生きることが難しいと予測されるLTC(Life-threatening conditions)の子どもたちとその家族に対し、看護師による1対1の手厚いケアと、多領域の専門職やボランティアによる多くの楽しいプログラムが提供されていた。イギリスの子どものホスピスの機能は終末期だけでなく、家族の休息の提供(レスパイト)、緊急ステイ、病状管理、24時間の電話相談などが、子どもに死が訪れるまで、長期間にわたって継続されていた。また、死別後の家族に対するサポートプログラムも充実していた。ここでは、視察で得たイギリスの子どものホスピスの実情と、その理念や運営について紹介する。