著者
井上 正純 竹内 裕也 松田 祐子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

食道扁平上皮癌切除例における癌組織中のIL-8とCXCR2の発現を検討したところ、IL-8/CXCR2共発現例で有意に術後無再発生存割合及び全生存割合が不良だったことからIL-8/CXCR2シグナルが食道扁平上皮癌細胞動態に関与していることが示唆された。食道扁平上皮癌細胞株を用いた実験ではin vitroにおいてIL-8/CXCR2シグナルを外因的・内因的に刺激すると細胞増殖は亢進し、外因的・内因的に抑制すると細胞増殖が抑制された。ヌードマウスを用いたin vivo実験でも同様の結果を得たことから、IL-8/CXCR2シグナル伝達が食道扁平上皮癌の細胞増殖に関与していることが示唆された。
著者
北郷 実 板野 理 中塚 誠之 松田 祐子 大西 彰 淵本 大一郎
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

膵腫瘍疾患に対する最も治療効果の高い治療法は切除による外科手術であるが、膵臓の外科手術は高侵襲かつ術後合併症の頻度が高いことで知られる。そこで我々は治療効果が高くかつ低侵襲である局所療法として期待される凍結融解壊死療法を膵臓に応用するため、その安全性と有効性を検討し、臨床応用に向けた基礎的エビデンスの創出を目的として実験を行った。ブタを用いた実験により、本手法は開腹または腹腔鏡手技で安全に実施可能であり、有効な膵組織の壊死が得られること、少なくとも膵炎を含めた重篤な合併症を引き起こさないことが示され、実臨床における治療選択肢に応用しうる可能性が示唆された。
著者
板野 理 松田 祐子 清水 宣明 荻野 千秋 藤村 智賢 佐谷 秀行 大島 正伸
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

悪性腫瘍による閉塞性黄疸に対しての金属性ステントを用いた姑息的減黄術はtumor ingrowthによるステント閉塞の問題が増加している。本研究では、チタン合金ステントに超音波を照射し、ラジカルの産生を利用したステント内再閉塞を予防・改善するための無侵襲的治療法の確立を目的とした。チタン合金に対し1MHzの超音波を30秒0.3 W/cm2照射し超音波のみと比較したところ、チタン合金で高いフリーラジカルの発生が確認され殺細胞効果も最も高かった。悪性腫瘍ステントモデルでは、1MHz、0.3W/cm2、10分の超音波照射を行った。超音波照射群でステントへのingrowth抑制が確認された。