著者
林 ひろみ 林 まゆみ
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.667-672, 2012 (Released:2013-08-09)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

The purpose of this study is to explain how the lifestyle of residents in a traditional fishing village in the Awaji island affects landscape. I examined the structure and features of the landscape, and the differences in evaluation on the landscape between the residents in this area and people living outside the island. The method used in this study was questionnaires. I also asked about the background of culture and lifestyle at the interview in this area, being surrounded by the mountains and the sea, this area is densely populated in the very narrow strip. Many narrow alleys are splendid from the harbor to the mountain. Between the alleys we can see the sea, and the mountain at many points. Besides, we can see various components of the landscape including fishing, boats at the same time. The residents don’t place importance on the surrounding landscape that forms residents’ usual life. That means people don’t evaluate on familiar places as appealing. During the hearing survey there, I found out residents’ life in this village. By keeping a traditional community like this village for such a long time through fishing rich landscape and scenery would have been kept by keeping the historical lifestyle.
著者
李 樹華 林 まゆみ
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.385-390, 2000-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
9

唐代は中国文化・芸術が大発展を遂げた時代であったが, 同時に庭園事業も全盛の時期でもあった。唐の時代は中国庭園史上に極めて重要な位置を占めている。本研究では,「唐詩類苑」,「古今図書集成」草木典など8文献資料を調べ, 唐代における庭園植物や植栽形式について考察を試みたものである。成果としては、当時の庭園に植えられた針葉樹類, 広葉樹類, 花木類, 竹・ヤシ類, 草花類及び果樹類, 薬草類の種類を明らかにした上で, それらの庭園植物の植栽形式と植栽場所も同時に検討し, 更に唐代における中国庭園の伝統的な植栽法の「松竹梅」,「桃紅柳緑」,「玉堂春富貴」及び「梅蘭竹菊」に関しても考察を行った。
著者
坂井 謙介 林 まゆみ 平田 富士男
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.217-222, 2003

Recently the tourism for the purpose of exchange and experience has gained attention, However this tourism is not so popular. It is because of the negative hospitality and the shortage of tour information of tour hosts, the feeling of comparatively high hotel charges, and a tour program that does not fit a tourist's needs, The aim of this study is to clarify the difference the consciousness of tourist and tour hosts to the tour program and to suggest the way this tourism should be in the future. The method of study is by interview, questionnaire, and monitor tour. As the result, the difference between the consciousness of tourist and tour hosts became clear. In order to improve it, We suggest the necessity of the system to coordinate between tourist and tour hosts.
著者
林 まゆみ
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.17-20, 1995-03-31
参考文献数
31
被引用文献数
3

世民衆社会における被差別民であった「散所」, 「河原者」等の民は, 一方で造園土木や作庭の分野でその職域を広げ, 技術を確立していった。あいまいな点の多い彼等の社会的背景について事例を挙げて分析することによって, 何故「河原者」等がすぐれた作庭家として輩出しえたかを考察した。そのために, 賃金体系の変遷や彼等の集団としての行動や主張に眼を向けた。さらに, 中世社会における特殊な価値体系一触積思想にも言及することにより, 「河原者」の果たした清めの職能が土木, 築地, 作庭技術とどのように結び付き得たかを検討した。また彼等の触穢思想の中での役割や, 呪術との関わりを考証した。
著者
林 まゆみ 李 樹華
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.403-408, 2000-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
17

中世後半にかけて活躍した善阿弥とその周辺の山水河原者に関する再検討を行い造園職能を論じた。従来の論では善阿弥が優れた庭者として重用されたのは彼の卓越した才能と, 卑賎視されたことがばねとなったという精神論に重点が置かれていたが, 本論では『蔭涼軒日録』などの詳細な検討から, 善阿弥の若年期における活躍や, 盆山と枯山水などの関連性を検証しつつ, 善阿弥がこの時代に将軍から重用されたのは, 彼の非凡な才能と共にその背後に控える技能集団の形成に負うところが大であることを様々な事例から考察した。その技能集団とは, 善阿弥を中心とする血縁集団やその配下と考えられる地縁'職能を共有するものであり, 善阿弥が不在の時も, 或いは2代目善阿弥を支えて, 技術的に相応の集団が形成されていた。これらの集団は各権門に固有に従属する形をとりながら, それぞれの技能と地歩を固めていったことが考証された。
著者
林 まゆみ
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.435-438, 1999-03-30
参考文献数
26

中世末期から織豊期にみられる寺院や城郭の石垣普請には技術水準の高い土木,造園的職能の形成が示唆されている。本研究では,これら石垣普請の職能形成に関して,当時の日記や史料などからの検討や,土木作業にあたっていた散所といわれる階層を含む民や寺社の座の分析,また,現存する石垣の遺構を考察することなどを通じて,石垣普請に携わった職能の発展過程を検討した。その結果,石垣普請に関わる職能は大工や河原者などの職能形成には遅れるものの,権門寺社の石垣構築や佐々木六角氏や浅井氏などの戦国大名の居城建設等を契機として,散所の民や権門寺社お控えの職人層が各地で石垣を積み,技術力を高めそれらが安土城で集大成された後,秀吉の時代に棟梁化して石垣積みの穴太としての地位を高めていく過程が考察された。
著者
東海林 まゆみ
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

水の波の分岐問題に関し、従来の研究でやり残したいくつかの間題を再度取り上げてみた。その結果本研究では、渦あり流れの数値シミュレーションにおいて下記のような成果を得た。渦度分布を種々に変化させて分岐解を数値計算し、以前の研究結果と合わせて極限波形状を調査・分類することが目的である。自由境界領域における渦あり問題を数値計算するのにはZeidlerの方法を用いた。しかし数値実験を進める過程で、この方法では計算できない(closed eddyが生じる)場合があることがわかった。現在までに渦度一定の場合にclosed eddyが存在することはわかっているが、一般の渦度分布でも発生し得るのか、またその場合にはどのような解決策があるか、は今後の課題である。ここでは計算可能な場合について差分法で数値シミュレーションを行い、いくつかの結果を得た。深さは有限の場合のみを扱った。無限深さの場合にはプログラミング上の問題が解決できていない。これも今後の課題である。本研究で得た計算結果は、下記の通りである。以下、渦度関数は常に正または負で、定数あるいは水深とともに減衰するような関数を考えた。たとえ僅かでも表面張力が働く場合には、渦度分布をどのように与えても極限波はすべてoverhanging typeあるいはoverlapped typeになった。一方重力波で渦度が水深とともに減衰する場合には、cornerあるいはcuspを持つ極限波となる。また重力波で渦度一定の場合には、極限波に至る途中でoverhanging typeの波形が現れ、その後cornerを持つ極限波に至る。これまでの数値実験によると、重力波においてこのようなoverhanging typeの波形が現れるのはこの渦度一定の場合のみであった。これは注目すべき現象であり、今後更に検討していきたいと考えている。以上の研究成果は、2004年11月台北の科学院数学研究所で開催された研究集会において発表した。更に2,3のデータを揃えた上で論文としてまとめる予定である。
著者
林 まゆみ
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.829-834, 2009
被引用文献数
3

国内では、成熟社会を迎える中、地域の活性化を目指した公園の利活用や地方自治法の改正による指定管理者制度の導入を踏まえた管理運営のあり方等について、各地で模索が続いている。公園の管理運営を目的とした管理運営計画(以下PMPとする)は、現在では一元化した制度による位置づけはまだなされていない。PMPに関しての先進的事例として、筆者はニュージーランド(以下NZとする)に着目した。NZは日本の約3分の2(270,500平方km)の広さの国土に、2008年9月21日現在、人口が約427万87百人と我が国と比べると少なく、緑豊かな国である。人口密度は15.8人/平方kmであるが、オークランド、ウエリントン、クライストチャーチの3都市を合わせると約197万人になる。国全体としての入口密度は低いが、大都市に集中している。本論ではNZ独自の風土や背景のもと、多層的な法制度上に成り立つ『参画と協働』の仕組みによるPMPの策定を有用な情報として示し、今後我が国でもPMPの策定がより進展するための指針となることが重要な目的の一つである。