著者
高村 仁知 山口 智子 林 恵里奈 藤本 さつき 的場 輝佳
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.1127-1132, 1999

スパイスと野菜・肉類を調理して, カレーライスを作るまでの各過程におけるラジカル捕捉活性の変化をDPPH-HPLC法により解析した.カレーに用いられる15種類のスパイスのスクリーニングを行った結果, すべてにラジカル捕捉活性がみられ, 特に, クローブ, オールスパイス, シナモンに高い活性がみられた.野菜類と比較してもその活性は同等以上であった.カレーの調理過程では, 野菜・肉を合わせた具では加熱により活性が増加した.一方, 調合スパイスでは加熱により活性の減少がみられた.カレーではスパイスだけでなく野菜もその活性に大きく寄与していた.本研究のカレーライス1食分は363μmol Troloxeqの活性を有し, カレーライスの全ラジカル捕捉活性に対するスパイスの占める割合は, およそ45%であった.
著者
長谷 博子 林 恵里奈 平尾 竜馬 野浪 亨
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 62回大会(2010年)
巻号頁・発行日
pp.99, 2010 (Released:2010-10-15)

<目的>公共施設などでは禁煙化が進んでいるが,飲食店などで喫煙者が近くに居ると,衣服などにたばこ臭が付着することがあり,不快に感じることがある.そこで本研究は,たばこ臭の生地への吸着および放散量を明らかにすることを目的とする. <実験方法>たばこに火を点けて1Lのフラスコ内に吊るし,アルミホイルで密封し3分後にシリンジで10ml採取した.無臭空気を満たした3Lのにおい袋に注入し,これを原臭とした.生地試料は,100%の綿,ポリエステル,ウールの平織りを使用した. たばこ臭の吸着は,5×5cmの試験片1枚とたばこの原臭を30倍希釈してにおい袋に入れ,1時間室温で静置した.たばこ臭の放散は,におい袋に24時間たばこ臭を吸着させた試験片と無臭空気を入れて室温で静置した後,においを評価した.たばこ臭の評価は,におい識別装置(島津製作所製)を使用した. <結果および考察>においの強さは,におい識別装置によって算出される臭気指数相当値によって評価した.たばこ臭の希釈倍数と臭気指数相当値との相関係数は,0.942と強い相関が見られたため,たばこ臭の測定が可能であると判断した.30倍希釈のたばこ臭は12であった.生地自体のにおいは,1時間後には,綿:14,ポリエステル:16,ウール:11であった.生地とたばこ臭を入れたにおい袋内の値は,綿:21,ポリエステル:20,ウール:22であった.たばこ臭の放散は,綿:19,ポリエステル:13,ウール:17であった.よって,におい識別装置で評価した結果,たばこ臭はポリエステルに最も吸着し,生地からはウールが最も放散することが分かった.