著者
黒田 晃平 東 和生 村端 悠介 大﨑 智弘 柄 武志 伊藤 典彦 今川 智敬 岡本 芳晴
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.303-306, 2018-06-20 (Released:2018-07-20)
参考文献数
16

11歳のミニチュアダックスフントが全般発作を主訴に来院し,MRI検査で髄膜腫と診断された.抗がん剤等の治療を希望されなかったため,病変に対し温熱療法の1つであるラジオ波誘導温熱療法(オンコサーミア)を実施した.本症例は治療開始より1,065日で亡くなった.その間,てんかん様発作は認められたものの,一般状態は良好に維持されていた.今回の症例では,オンコサーミアによって長期間の生存が可能であった(33.1カ月).これは,手術及び放射線を併用した場合と同等の生存期間である.さらに,その期間は大きな副作用もなく,症例のQuality Of Lifeは良好に維持されていた.この結果から,オンコサーミアは犬の髄膜腫の進行を抑える効果がある可能性が示唆された.
著者
岡本 芳晴 大﨑 智弘 東 和生 伊藤 典彦 柄 武志 今川 智敬 菅波 晃子 田村 裕
出版者
Japan Society for Laser Surgery and Medicine
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.46-50, 2014-05-15 (Released:2015-09-09)
参考文献数
9
被引用文献数
1

我々はインドシアニングリーン(ICG)をリン脂質成分に結合させたICG修飾リポソーム(ICG-lipo)を開発した.今回は深部腫瘍15例に対し,ICG-lipo(抗がん剤等内包)を点滴投与後,近赤外線光源装置または半導体レーザーを用いて患部に20-60分間光照射した.照射間隔は毎日~週3日で実施した.Response Evaluation Criteria in Solid Tumors (RECIST)に基づく判定結果はCR:1 例,PR:8例,SD:5例,PD:1例であった.PR,SD症例は全例QOLの改善がみられた.15例いずれも重篤な副作用は確認されなかった.
著者
岡本 芳晴 山下 真路 大﨑 智弘 東 和生 伊藤 典彦 村端 悠 柄 武志 今川 智敬 菅波 晃子 田村 裕
出版者
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.408-412, 2020-01-15 (Released:2020-01-16)
参考文献数
12
被引用文献数
1

2010年,我々はインドシアニングリーン(ICG)をリン脂質成分に結合させたICG修飾リポソーム(ICG-lipo)を開発した.今回,動物の自然発症腫瘍38症例に対して治療成績を評価した.治療はICG-lipo(抗がん剤等内包)を点滴投与後,半導体レーザー装置を用いて患部に10~20分間光照射した.照射間隔は毎日~週3日で実施した.Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST)に基づく判定結果は,CR(Complete response):3例,PR(Partial response):13例,SD(Stable disease):18例,PD(Progressive disease):4例,だった.奏効率(CRおよびPRの割合)および有効率(CR,PR,SDの割合)は,42.1%および89.5%だった.特にリンパ腫の奏功率は85.7%と高値を示した.2症例以上ある腫瘍で,リンパ腫,血管肉腫以外は有効率が100.0%を示した.本治療を実施することにより,約半数の獣医師が一般状態の改善を認めた.このことは本治療法の有効性を示すものと思われる.
著者
岡本 芳晴 畠 恵司 荻原 喜久美 南 三郎 柄 武志
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

今回の研究により、細胞レベルでのルパン型トリテルペン(ルペオール)のメラノーマ分化誘導の機序を解明することができた。また遺伝子解析により、細胞周期に影響を及ぼすことも判明した。マウスを用いたin vivo実験より、ルペオールを腫瘍局所あるいは全身に投与することにより、メラノーマの増殖を抑制することが明らかとなった。さらに犬の自然発症例メラノーマに対しても十分有効なことが示された。