著者
鈴木 貴博 近藤 啓文 柏崎 禎夫
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.184-191, 1989-04-30 (Released:2009-01-22)
参考文献数
16
被引用文献数
3 3

膠原病としてRA 82例, PM-DM 35例, PSS 31例の合計148例,およびウイルスなどの感染症36例を対象とし,抗中間径フィラメント抗体として抗ビメンチン抗体と抗サイトケラチン抗体の各々を, western blotting法で測定することを試みた.前者の検出率は, RAでは24例29%, PM-DMでは19例54%, PSSでは12例39%,後者の検出率は, RAでは25例30%, PM-DMでは16例46%, PSSでは14例45%で,間接螢光抗体法による検出率と比較し高かった. 36例の感染症ではそれぞれ21例58%, 8例22%に検出された.免疫グロブリンクラスは両疾患ともIgG優位であった.本抗体陽性膠原病の臨床像を検討したところ,抗ビメンチン抗体単独陽性RAおよびPSSでは,肺線維症がそれぞれ50%, 83%と有意に高率に認められた.本抗体が膠原病およびウイルス,マイコプラズマ感染症の両者で検出され,正常人で認められなかったことは,膠原病と感染症との間に何らかの関連が存在するものと考えられた.
著者
立石 睦人 谷口 敦夫 森口 正人 原 まさ子 柏崎 禎夫
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 = Japanese journal of clinical immunology (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.152-158, 1997-06-30
参考文献数
19
被引用文献数
4 1

ループス腎炎以外の膠原病難治性病態に対するシクロホスファミド大量静注療法(CYパルス)の有用性を検討した.対象はステロイド薬をはじめとした従来の治療法に抵抗性を示した各種膠原病35例であった.著効ないし有効と判定し得たのは35例中20例(57.1%)であり,その病態は全身性エリテマトーデス(SLE)の中枢神経症状2例,血管炎2例,慢性関節リウマチ(RA)の間質性肺炎2例,血管炎2例,関節炎2例,血小板減少症1例,多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)の筋炎2例,間質性肺炎2例,強皮症(PSS)の間質性肺炎1例,抗リン脂質抗体症候群(APS)の血小板減少症2例,若年性関節リウマチ(JRA)の皮膚血管炎1例,ベーチェット病(BD)の中枢神経症状1例であった.一方,副作用は35例中9例(25.8%)に認められた. CYパルスは膠原病の難治性病態,特に中枢神経症状,血管炎,間質性肺炎,自己免疫性血小板減少症などに対して試みる価値のある治療法と考えられた.
著者
穂坂 茂 間中 久美 岡田 純 近藤 啓文 柏崎 禎夫
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.52-57, 1993-02-28 (Released:2009-01-22)
参考文献数
11

&全身性エリテマトーデス(SLE)は男性にはまれな疾患である.今回,われわれは男性SLE 17例を対象に,その臨床像,血清学的および内分泌学的検討を行った.発症年齢,観察期間を一致させた女性SLEと比較して,男性例では日光過敏症が有意に多く(p=0.04),リンパ節腫脹と中枢神経障害がやや多かった.腎障害は同率であったが,ネフローゼ症候群が男性に多かった.白血球減少は女性例に有意に多かった(p=0.07)が,血清学的検査で男女間に有意差は認められなかった.治療内容では,男性例により多くのステロイドホルモンが必要とされた,われわれの男性SLEは女性例に比してやや重症である傾向がみられた.血中性ホルモン値では,従来報告されているestrogenの上昇を示す症例はなく,一部の症例で大量ステロイド剤や免疫抑制剤による精腺障害,視床下部-下垂体機能障害が疑われた.
著者
吉井 昭夫 北村 磨知子 古明地 智 近藤 啓文 柏崎 禎夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.1380-1387, 1981-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

多発性筋炎や皮膚筋炎(PM-DM)における問質性肺病変は,近年注目されてきたが,その病態はほとんど不明である.そこで本症の間質性肺病変の病態を臨床的ならびに免疫学的に解析した.なお,肺の間質性肺病変は厚生省肺線維症研究班・診断の手引きを用いて抽出した. 1)間質性肺病変は29例中15例(52%)にみられ, overlap群を除いた24例については11例(46%)に認められた. 2)間質性肺病変はその出現様式で2群に分けることが出来た,すなわち,肺病変が筋炎とほぼ同時期に発症したもの(5例),遅れて発症したもの(5例)および不明1例であつた.前者ではステロイド療法で肺病変が改善したものは, 4例中3例であつたのに対し,後者では改善例が1例もみられなかつた. 3)肺病変有り群は無し群に比べ, %VCおよびDLco値は低下していたが,肺病変無し群でも半数例以上は異常値を示した. 4)肺病変を有するPM-DMは,関節症状,心症状などの出現頻度が高く,多臓器障害性の性格がみられた.しかし,間質性肺病変と筋炎の程度との間には,相関は得られなかつた. 5)抗核抗体を家兎胸腺抽出物を抗原とし,二重拡散法で検索したところ, Tk抗体(Jo-1抗体)が肺病変群の36%に検出され,無し群では全くみられなかつた.したがつて,本症における間質性肺病変の発症に免疫学的機序の関与が推測された.
著者
小竹 茂 佐藤 和人 柏崎 禎夫
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.1094-1094, 1991-12-25

第11回学内免疫談話会 平成3年7月6日 東京女子医科大学臨床講堂I