著者
柳瀬 敏彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.4, pp.640-646, 2016-04-10 (Released:2017-04-10)
参考文献数
9
被引用文献数
4 5

急性副腎不全症(副腎クリーゼ)は,急激に糖質コルチコイド(glucocorticoid:GC)の絶対的または相対的な欠乏が生じ,致命的状況に陥る病態である.既知・未知の慢性副腎不全症患者に種々のストレス(感染,外傷など)が加わり,ステロイド需要量が増加した場合と治療目的で長期服用中のステロイド薬が不適切に減量・中止が行われた場合の発症が多い.症状は非特異的であり,消化器症状や発熱が前面に出る場合があり,急性腹症などと誤診される場合もある.副腎クリーゼが疑われる場合は,ACTH(adrenocorticotropic hormone),コルチゾールの測定用検体を採取後,躊躇なく治療を開始する.治療は生理食塩水,ブドウ糖液とヒドロコルチゾンの静脈内投与を基本治療とする.
著者
柳瀬 敏彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.4, pp.772-776, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

わが国の副腎皮質機能低下症患者に対する副腎ステロイド補充療法はヒドロコルチゾン15~20mgの補充量が多く,原発性(副腎性)よりも続発性(間脳-下垂体性)で少なめに補充されている現状である.血中コルチゾールのkineticsから検討した理論的必要補充量はさらに低めに見積もられており,長期的な視点からは,患者個人の副腎予備能やQOL(quality of life)に応じた至適補充量の模索努力は重要と思われる.また自験例の検討範囲では選択的なコルチゾール分泌障害に伴うヒドロコルチゾンのみの補充療法による副作用発現頻度は,複合ホルモン欠損症の病態を呈する続発性副腎皮質機能不全症の場合に較べて明らかに少なく,続発性の場合には他のホルモン欠落(GHや性腺ステロイド)に伴う副作用発現の可能性にも配慮することが重要である.
著者
岩本 晃明 柳瀬 敏彦 高 栄哲 堀江 均 馬場 克幸 並木 幹夫 名和田 新
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.95, no.6, pp.751-760, 2004-09-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
28
被引用文献数
22 24

(目的) 日本人成人男子の血清総テストステロン (総T) および遊離テストステロン (遊離T) の基準値を設定すること.(対象と方法) 健常に日常生活を営んでいる年齢20歳から77歳の男性1,143例を対象とした. 採血時間は総Tおよび遊離T共に日内リズムを認めたことから高値で比較的安定に推移する午前中に実施し, 分離した血清検体は測定まで-20℃保存した.(結果) 総Tの基準値は加齢の影響が小さかったことから全データを一括して2.01~7.50ng/mL (平均±2SD) と設定した. 一方遊離Tは加齢の影響を強く認めたことから10歳毎の年齢階層別に群別して, その基準値 (平均値±2SD) を求めた. 20歳代は85~27.9pg/mL, 30歳代は7.6~23.1pg/mL, 40歳代は7.7~21.6pg/mL, 50歳代は6.9~18.4pg/mL, 60歳代は54~16.7pg/mL, 70歳代は4.5~13.8pg/mLと設定した.(結論) 日本人成人男子の総Tおよび遊離Tの基準値を設定した. また, 遊離Tについては, 基準値とは別に20~39歳の若年成人平均 (YAM: Young Adult Mean) 値を求め, このYAM値の80% (124pg/mL) および70%値 (10.9pg/mL) を, 男性ホルモン補充療法の参考適用値として提示した.
著者
柳瀬 敏彦 野見山 崇 田邉 真紀人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.4, pp.690-696, 2015-04-10 (Released:2016-04-10)
参考文献数
11

内分泌性肥満症は,Cushing症候群のようにコルチゾールの過剰分泌に起因するものや甲状腺ホルモン,成長ホルモン,性ホルモンの分泌不全症のようにホルモン欠落によって生じるものまで様々である.その多くはインスリン抵抗性を基盤とするメタボリックシンドローム(MetS)様病態を呈し,動脈硬化症の発症リスクとなる.可逆性の二次性肥満症であることから早期発見・早期加療が重要である
著者
柳瀬 敏彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.9, pp.1768-1774, 2016-09-10 (Released:2017-09-10)
参考文献数
10
被引用文献数
2
著者
高柳 涼一 河手 久弥 柳瀬 敏彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.4, pp.941-948, 2012 (Released:2013-05-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

副腎偶発腫の多くは非機能性副腎腺腫であるが,20~30%にホルモン産生腫瘍や悪性腫瘍が含まれるので,画像検査と内分泌検査が必要である.わが国の疫学データでは腫瘍径が3cm以上のものは副腎癌のスクリーニングをすべきとしている.サブクリニカルクッシング症候群(SCS)は2型糖尿病や高血圧,骨粗鬆症の病因ないし増悪因子となる例があるので,手術対象症例の適切な判定が今後必要になると考えられる.
著者
中島 直樹 杉村 隆史 小野 恭裕 江崎 泰斗 柳瀬 敏彦 梅田 文夫 名和田 新 本村 正治
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.8, pp.521-529, 1997-08-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
16

副腎アンドロゲンは抗糖尿病作用を有すとされるが, その詳細な機序は明らかでない. 今回, 非インスリン療法中の成人男性糖尿病患者59名および非糖尿病者32名の計91名について早朝空腹時に血中dehydroepiandrosterone (以下DHEA), DHEA-sulfate (DHEA-S), testosterone, estradiol, cortisol, 空腹時血糖, HbA1c, IRIを測定した. 全対象において, 血中DHEA-S濃度はHbA1c (p<0.05) や空腹時血糖値 (p<0.05) と有意の負相関を示した. 比較的高IRI血症群 (IRI10μU/ml以上群, n=25) では, 正IRI血症群 (n=66) に比して血中DHEA濃度が有意に低下していた (1.91±1.32ng/ml vs. 2.42±1.12ng/ml, p <0.01).糖尿病群から抽出した28名で6カ月後に再検をしたところ, HbA1c値1%以上改善群 (n=6) では血中DHEA-S濃度は有意 (p<0.05) に増加した. また, 血中IRI低下群 (n=12) では血中DHEA濃度が有意に (p<0.05) 増加した. 以上, 成人男性においては, 糖尿病コントロール状態と血中DHEA-S濃度が関連し, 一方血中IRI値と血中DHEA濃度が関連することが示唆された. これらの関連は経時的観察においても認められた.
著者
柳瀬 敏彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.8, pp.1557-1563, 2006-08-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
12

副腎皮質クローン化細胞からの副腎組織の再生の報告やES細胞でのSF-1の恒常的発現によるprogesterone産生の報告を認める. 骨髄細胞のステロイド産生細胞への分化能については未知数であったが, 我々は長期培養骨髄細胞へのアデノウイルスによるSF-1の強制発現により, 副腎皮質刺激ホルモン (ACTH) に反応しde novo に多様なステロイドホルモンを分泌するステロイド産生細胞の創出に成功した. この発見は, ステロイドホルモン欠損症に対する自家細胞移植療法の第一歩となる可能性がある