著者
千田 郁実 西東 秀晃 草壁 信輔 吉田 好機 柴田 久美 紀田 修平 戸田 淳 日野 彬央 上田 智朗 藤田 二郎 福島 健太郎 横田 貴史 柏木 浩和 保仙 直毅
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.35-41, 2023 (Released:2023-02-11)
参考文献数
15

後天性血友病Aは,悪性腫瘍や膠原病等を契機として第VIII凝固因子に対するインヒビターが出現し,第VIII因子活性が低下する結果,出血症状を呈する稀な疾患である。今回我々はCOVID-19 mRNAワクチン接種後に後天性血友病Aを発症した症例を経験した。症例は86歳女性。COVID-19 mRNAワクチンであるBNT162b2 mRNA COVID-19ワクチンの1回目接種後に四肢の紫斑が出現し,2回目接種後に四肢の紫斑が再度出現し増悪したため当院紹介された。受診時の血液検査所見ではAPTT 110秒,第VIII因子活性1%未満,第VIII因子インヒビター51.6 BUであり後天性血友病Aと診断した。Prednisolone(PSL)による治療を開始したところ凝固能的完全寛解を達成した。本症例のようにCOVID-19 mRNAワクチン接種後は後天性血友病Aを発症しうるため,出血症状の出現に注意する必要がある。
著者
永田 雅彦 柴田 久美子 入交 眞巳 Luescher Andrew U
出版者
Japanese Society of Veterinary Dermatology
雑誌
獣医皮膚科臨床 (ISSN:13418017)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.13-16, 2001

アレルギー性皮膚疾患と診断されていた猫2例に精神的要因の関与を認めた。1例目は10カ月齢, 雌のラグドールで, 3カ月齢より舐性行動や過敏症候群がみられた。アレルギーが疑われたが種々のアレルゲン回避で改善がなく, 精神療法と塩酸フルオキセチンなどで略治したことから精神的要因の関与が示唆された。2例目は4歳齢, 避妊雌の雑種猫で, 1年前より非定型的な好酸球性肉芽腫がみられた。初発時にノミ寄生と皮膚炎がみられたがノミ防除で改善せず, 複数のアレルギーを考慮した。除去食も有効であったが腹部の対称性脱毛が持続し, 精神療法と塩酸フルオキセチンなどで略治したことから精神的要因の関与が示唆された。
著者
柴田 久美子 永田 雅彦 田上 久美 石野 孝 佐藤 常男 南光 弘子
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13418017)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.10-13, 1999

6歳齢, 去勢雄, ビション・フリーゼに, 沈うつ, 嗜眠とともに, 抗生物質で改善しない発熱と排液を伴う多発性の皮膚結節が生じた。血液検査および血液化学検査で貧血, 総白血球数増加, ALPの上昇がみられた。病理組織学的検査で細菌を認めない, 激しい小葉性皮下脂肪織炎が認められた。組織の細菌培養検査および真菌培養検査は陰性であった。以上より, ヒトでこれまでウェーバー・クリスチャン病と呼ばれていた特発性結節性脂肪織炎と診断した。
著者
永田 雅彦 柴田 久美子 入交 眞巳 Luescher Andrew U.
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医皮膚科臨床
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-4, 2000
被引用文献数
3

アトピー性皮膚炎と診断されていた犬に精神的要因が関与していた2症例に遭遇した。第1例は6カ月齢, 雄の柴犬で3カ月前より四肢の舐性行動がみられた。臨床像よりアトピー性皮膚炎が疑われたが, アレルギー検査は陰性で, 生活歴より強迫性障害と診断し, 行動矯正により略治した。第2例は6歳齢, 雌のシー・ズーで3年前より皮膚病がみられた。臨床像はアトピー性皮膚炎に合致し, アレルギー検査でコナヒョウヒダニ陽性であった。治療により改善を認めたが, エピソード的な掻破行動が反復。生活歴より強迫性障害と診断し, 行動矯正およびクロミプラミンにより略治した。
著者
柴田 久美子
出版者
全国障害者問題研究会
雑誌
障害者問題研究 (ISSN:03884155)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.32-40, 2010-11

北海道には知的障害高等養護学校が14校あり,職業教育を行っている.12校ある寄宿舎併設校は,働く力とともに生活する力を育てる1日24時間の教育を行い,学校から社会への移行支援と卒後支援に力を注いでいる.ここ数年,高等養護学校への進学希望者の著しい増加で,大規模化の一途をたどっている.新入生の実態も変化し,発達障害や精神疾患を抱える生徒が増え,通常の高校を中退してくるケースもある.生徒の多くは,いじめや不登校を経験しており,子ども時代を子どもらしく生活できておらず,遊びや友だち関係を十分体験することがないまま育ち,主体性や自己の確立という点で弱さがみられる.しかし,親元を離れ,様々な他者と深くかかわる日々の生活の営みの中で,徐々に自己の形成へと向かう姿がみられる.高等養護学校の寄宿舎は,青年期に必要な自分づくりと自立への力を育てる可能性があり,特別支援教育においては,通学保障や生活保障だけではない新たな現代的役割を担っている.