著者
柴田 修子
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
ラテンアメリカ・レポート (ISSN:09103317)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.18-31, 2022 (Released:2022-07-31)
参考文献数
19

2018年に就任したドゥケ政権下では、コロンビア国民の分断を象徴するかのような大規模な抗議行動が展開され、多数の死者を出してきた。本稿ではまず、ドゥケ政権下で広がった全国ストや大規模デモなどの抗議行動の経緯と争点を整理する。つぎに、それらはドゥケ政権下で高まった国民の漠とした不安が政策への不満と結びついた結果起きたものととらえ、抗議行動の背景として政治不信があることを指摘する。そして政治不信を生み出すものとして、汚職問題、選別的殺人の増加、和平合意の進展状況を分析する。
著者
柴田 修子
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
ラテンアメリカ・レポート (ISSN:09103317)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.17-29, 2023 (Released:2023-01-31)
参考文献数
2

2022年に行われたコロンビア大統領選挙で、グスタボ・ペトロ候補が当選した。コロンビア初の左派政権誕生であることや副大統領候補がアフロ系女性であること、従来の伝統的政党の潮流を汲んでいないことなどから、今回の選挙は歴史的転換ととらえられている。そこで本稿では、歴史的転換がなぜ起こったのかを分析する。まず選挙制度改革によって左派勢力が参加する余地が生まれたことを概観し、選挙プロセスをたどりながらペトロの勝因を分析する。勝因として既成勢力への批判、左派勢力の一本化、社会運動の影響があったことを明らかにし、おわりに今後の展望を述べる。