著者
柴田 隆史 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.212-221, 2019-10-15 (Released:2020-12-22)
参考文献数
17
被引用文献数
2

教育の情報化に伴い,学校の教室でタブレット端末を利用する機会が増えている.教室でのタブレット端末の利用は,明るい室内環境の中で決められた自分の座席で用いるなどと日常生活での利用とは異なるため,学校での児童の利用について人間工学的視点により検討することは重要である.そこで本研究では,小学校でのタブレット端末利用における,児童が抱えるユーザビリティの問題と身体疲労に着目した検討を行った.本研究の目的は,児童のタブレット端末利用の実態を明らかにすることであり,そのために,小学校でタブレット端末を1年以上使用した小学1年から6年までの児童830名を対象として,タブレット端末の使いやすさと児童の身体的側面への影響に関するアンケート調査を実施した.その結果,児童の約57%がタブレット端末の画面に蛍光灯が映りこんで見にくいと感じていることや,3人に1人の児童が眼や首,肩などに身体疲労を感じていることが明らかになった.それにより,ICTを活用した学習環境の構築のためには,児童がタブレット端末を無理なく使える対策を講じる必要性が示唆された.
著者
柴田 隆史
出版者
社団法人 日本印刷学会
雑誌
日本印刷学会誌 (ISSN:09143319)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.72-77, 2023 (Released:2023-05-15)
参考文献数
24

A major change in school education in recent years has been that each student now utilizes a digital device to learn. Although the use of digital devices is expected to have positive effects on learning, there are also concerns about the negative effects of increased opportunities for children to utilize digital devices and the increased time spent using them. Therefore, it is necessary to consider children from an ergonomic perspective, such as improving the ease of use of digital devices and reducing the fatigue caused by their use. This paper introduces the use of digital devices in the classroom and discusses considerations for children's health regarding the use of Information and Communication Technology (ICT) in school education, focusing on the environment in which digital devices are used and the differences between digital devices and paper media.
著者
渡邉 光浩 佐藤 和紀 柴田 隆史 堀田 龍也
出版者
鹿児島女子短期大学
雑誌
鹿児島女子短期大学紀要 = Bulletin of Kagoshima Women's College (ISSN:02868970)
巻号頁・発行日
no.58, pp.127-132, 2021

日本語入力スキルの指導について,国内外のタイピングや日本語入力スキルの実態・指導に関わる論文の調査等の結果をレビューした.これらのレビューから示唆される日本語入力スキルの指導方略を(1)教科等の授業において練習時間を設ける(2)ホームポジションの位置と各キーの位置を覚えさせることから始め,後から速度や精度を高める(3)ローマ字での入力について①濁音・拗音②訓令式・ヘボン式にこだわらないこと③かな・英数,半角・全角の切替・変換を指導する(4)意図的に活用する機会を設けたり,主体的に活用できるようにしたりする,の4点に整理した.
著者
柴田 隆史
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.79-84, 2019 (Released:2019-12-25)
参考文献数
26
被引用文献数
1

学校教育ではICT活用が推進され,子どもたちが教室でタブレット端末を利用する機会が増えている。しかしその一方で,子どもの視力低下や視覚疲労などの健康面への影響が懸念されている。実際に,学校保健統計調査によると,小学生の裸眼視力における1.0未満の割合は毎年増加している。本稿では,学校教育における情報化の状況や,児童のタブレット端末利用による身体疲労,学校でデジタル機器を安全安心に用いるために検討されている指針について解説した。
著者
柴田 隆史 原田 みや子
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.35-45, 2017 (Released:2017-05-29)
参考文献数
21

本研究では,学校や非常災害時において多様に応用できる三角巾法に焦点をあて,その基本となる本結びを自己学習により習得するための方法を提案し,その有効性を検討した。三角巾法の自己学習は自分の大腿部を使って行うことが多い。そこで,実際の風景に映像を重ねることができる光学透過型HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を用いて,映像教材を学習者の膝付近に表示する方法を考案した。評価実験では,教職課程を履修する大学生を対象として,試作した教材による学習効果を従来の映像教材および教科書と比較した。その結果,提案するHMD教材は,三角巾の結びの形や両端の位置関係の理解において,ビデオ映像よりも分かりやすいと評価されたが,教科書との差異はみられなかった。しかし,一人称視点による分かりやすさに加えてアニメーション映像を用いていることで,提案するHMD教材は手技の手順に間違いがあった場合に気付きやすく,正しい手技の習得を自己学習できることが示唆された。