著者
藤原 寛 栗原 直嗣 太田 勝康 平田 一人 松下 晴彦 金澤 博 武田 忠直
出版者
社団法人 日本呼吸器学会
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.469-475, 1994

症例は48歳女性で福岡出身. 咳嗽および微熱を主訴として当科に来院し, 胸部レントゲンにて多発性の辺縁不明瞭な結節影が認められ, 血液検査では成人T細胞白血病ウイルス関連抗体が×1,024と高値を示した. 気管支鏡検査にて確定診断がつかず, 開胸肺生検が行われた. 組織は異型性のないリンパ球, 形質細胞, 組織球を中心としたリンパ系細胞が浸潤した肉芽組織で, 壊死を伴わず, 結節病変の内部および周辺の血管はこれらの細胞が浸潤している所見が認められた. 以上の所見より Jaffe の提唱する angiocentric immunoproliferative lesions (grade I) と診断し, プレドニゾロン, サイクロフォスファミドの併用療法を行い寛解が得られた. 本疾患はリンパ腫様肉芽腫症を悪性度により3つに分類したもので, 近年, EBウイルスとの関係が注目されている. 本例ではATLウイルスが発症に関係した可能性があると考えられた.
著者
小林 茂 辻 英次 西本 勝夫 金尾 顕郎 大谷 真由美 大久保 衞 藤本 繁夫 栗原 直嗣
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法のための運動生理 (ISSN:09127100)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.3-8, 1994 (Released:2007-03-29)
参考文献数
11
被引用文献数
2

慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)患者では歩行時の移動動作以外にも,腕を挙上位で使う日常生活活動において障害を訴えるものも多い。そこで今回我々は,COPD患者6例に対し,定量的腕エルゴメーター負荷訓練を実施した。そして,同負荷訓練がCOPD患者の自覚症状,体幹機能およびKraus-Weberテストなどの評価で検討した結果,背筋持久性,体幹の柔軟性,さらに分時換気量の改善に伴って呼吸困難度が有意な改善を示した。以上のことにより,COPD患者にとって,定量的腕エルゴメーター負荷試験は,体幹の柔軟性,背筋の機能を改善することによって,呼吸困難度を軽減する有効な方法であると考えられた。