著者
栗島 英明
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.69-87, 2002-02-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

本稿は,昨今の分権化に関する議論を踏まえ,名古屋圏における家庭系一般廃棄物収集サービスを事例として,市町村が供給する公共サービスの地域的差異と要因を考察し,そうした差異と市町村の持つ性格を対応させることで,公共サービスにおける地域特性の影響について検討を行った.収集サービスの供給体制においては,コスト削減を目的とする民間委託が進展する中で,一部の市町村では直営職員の数や業者の有無を要因とした広域収集や直営・収集の残存がみられた.収集サービスの供給内容のうち分別数の差異は,排出量の差異や地域コミュニティの不在,コストの高騰に起因する.収集頻度は,一般的に1人当たり排出量の少ない町村では収集頻度も低いが,腐敗性を有する可燃ごみは頻度に差異があまりみられない.ごみ減量化や収集コストの補完を目的とする有料化が多くの市町村でみられたが,県によって進展に差異がみられた.最後に,供給される収集サービスによって市町村を類型化し,市町村の地域特性を測り得る統計指標との関係を検討したところ,これまで指摘されてきた都市部と農村部における収集の委託化や多分別や有料化といった減量化政策の進展度の差異とともに,これまで指摘されてこなかった地域の中心都市での収集サービスの効率化や合理化,さらにはリサイクル・排出抑制政策の遅れという特徴を確認することができた.
著者
森口 祐一 工藤 祐揮 松八重 一代 福島 康裕 醍醐 市朗 中島 謙一 栗島 英明 菊池 康紀 中谷 隼 田原 聖隆 井原 智彦 兼松 祐一郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究課題では,国内産業および輸入原料を含む国産製品のサプライチェーンを対象として,それが産み出す社会価値と,地域レベルおよび地球レベルで発生する環境・資源ストレスの統合的ホットスポット分析の枠組みを確立することを目的とした。輸入資源の国際サプライチェーン分析,地域における再生可能エネルギー供給システム,産業廃棄物の地域間分析,サプライチェーンの地震リスクといった数多くの事例分析を実施し,それぞれ潜在的なストレス・リスク要因のホットスポットを特定した。さらに,分析方法のアルゴリズムおよび原単位のデータベースをソフトウェアに実装することで,ホットスポット分析の枠組みの汎用化を目指した。