著者
長瀬 文昭 田中 靖郎 石田 学 高橋 忠幸 満田 和久 井上 一 宇野 伸一郎 HOLT S. 伊藤 真之 SERLEMITSOS P. 松岡 勝 北本 俊二 WHITE N.E. 林田 清 MADJSKI G. 田原 譲 CANIZARES C. 大橋 隆哉 MUSHOTZKY R. 紀伊 恒男 PETER R. 国枝 秀世 山内 茂雄 堂谷 忠靖 村上 敏夫 常深 博 牧島 一夫 小山 勝二 山下 広順 三原 建弘 小川原 嘉明 吉田 篤正 槙野 文命 HUGHES J. 宮田 恵美 鶴 剛 粟木 久光 石崎 欣尚 藤本 龍一 上田 佳宏 根来 均 田代 信 河合 誠之 RICKER G. HELFAND D. MCCAMMON D.
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

「あすか」は、日米共同で製作されたX線天文衛星であり、1993年2月に打ち上げられた。そして、その後の観測運用も両国の緊密な協力によって遂行されている。これまで衛星は順調に運用され、装置は正常に稼し、所期の性能を発揮しており、試験観測・公募観測とも順調に行われてきた。本研究の目的はこの衛星の観測・運営を日米協力の下で行い、中性子星やブラックホールを含むX線連星や、超新星残骸、活動的銀河核、銀河団等からのX線放射、宇宙X線背景放射等の研究を行うことであった。この目的に沿って研究を進め次の各項目に述べる成果を挙げた。(1) 専門科学者グループの会合を定期的に開催し、観測計画の評価・ターゲットの選択、衛星の運用、適切な検出器較正等の衛星観測運営上の基本方針について討議をおこなった。(2) X線望遠鏡および各測定装置の精密な較正を行うとともに、各検出器の諸特性・応答関数の時間変化を明らかにし、すべての観測に対し正確な解析を可能とした。(3) データ解析ソフトウエアーの改良・拡充、科学データの編集、管理を両国研究者が協力し且つ継続的におこなった。(4) 観測から得られたデータを共同で解析、討議を行って、その科学的成果をまとめた。さらにこれらの得られた成果を各種国際学会・研究集会において発表し、また学術専門誌に公表した。(5) 観測者の占有期間を過ぎたデータを統一的に編集・管理し、またその観測記録を整備して、これらの観測記録、アーカイブデータを広く公開し、世界中の研究者の使用の便に供した。特に、「あすか」によるX線観測では、その高感度、高帯域、高分光撮像特性により、宇宙論研究に重大な寄与をするX線背景放射の解明、遠方のクエーサーや原始銀河からのX線放射の発見、銀河団の進化および暗黒物質の解明、活動銀河核、ブラックホール天体、ジェット天体、強磁場中性子星等の特異天体の解明、激変星、高温白色わい星、超新星残骸等における高温プラズマ状態の研究等において重要な成果を得ることが出来た。これら「あすか」の成果は国際的にも高く評価されている。以上、本研究課題に対する科学研究費補助金により、国際協力の下での「あすか」衛星の観測・運営が円滑に行われ、また十分な科学的成果を挙げることが出来た。
著者
三原 建弘 杉崎 睦 磯部 直樹 牧島 一夫 根来 均 林田 清 宮田 恵美 上野 史郎 松岡 勝 吉田 篤正
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

全天X線監視装置MAXIは2009 年8 月15 日から観測を開始した。本科研費により地上解析計算機と地上ソフトウエアの整備を行い、2009 年12 月から観測データの自動世界公開を行っている。MAXI は3 年9 か月を経た現在でも順調に観測を続けている。3 年間の観測で|b|>10°の高銀緯領域において0.6mCrab 以上の502 個のX線源を検出した。14 個のセイファート銀河からも有意なパワースペクトルを得たが、検出器数が予定より半減、観測時間が半減したため統計負けし、精度の良いブラックホールの質量推定には至っていない。