- 著者
-
上田 佳宏
- 出版者
- 京都大学
- 雑誌
- 特定領域研究
- 巻号頁・発行日
- 2005
ROSAT、「あすか」、HEAO1、チャンドラ、XMM-Newtonで得られた軟X線選択および硬X線選択サンプルに対して、昨年度に開発した解析手法を用い、同時解析を行なった。その結果、1型と2型を含む全活動銀河核の光度関数を、赤方偏移5までの範囲で過去最高の精度で制限することに成功した。この結果はプラハで行なわれた国際天文連合総会にて口頭発表した。また、すばるXMMディープサーベイのX線カタログと電波カタログを比較し、遠方宇宙での非常に強い吸収をうけた活動銀河核の存在量について制限をつけた。この結果は、マンスリーノーティスオブロイヤルアストロノミカルソサイエティ誌に論文として発表した。また、「あすか」で発見された2型AGNの母銀河の研究を行なった。活動銀河核の母銀河の研究は従来、ほとんど1型活動銀河核を用いて行われてきた。しかし、1型では中心核が極めて明るいため母銀河の研究は困難を極めていた。2型のサンプルを用いればこの問題は回避でき、母銀河の構造を詳細に探ることが可能となる。この解析の結果、赤方偏移が1以下の範囲では母銀河のスフェロイド光度とその中心に存在するブラックホール質量の関係(マゴリアン関係)が、現在の宇宙にみられるそれと同じであることを見出した。つまり、赤方偏移1以下の最近の宇宙ではブラックホールと銀河は共進化してきたと考えて矛盾しない。この結果はアストロフィジカル・ジャーナル誌に論文として発表した。