著者
理化学研究所 編
出版者
理化学研究所
巻号頁・発行日
vol.第4回(大正9年度), 1921
著者
橋本 翔子
出版者
理化学研究所
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 ACT-X
巻号頁・発行日
2020

ミクログリアは、神経変性過程において重要であることが明らかにされています。しかし、「棍棒型」といわれる突起を長く伸ばした形態のミクログリアは、神経変性を呈するモデルマウスの神経変性領域において現れるものの、その実体は全く明らかにされていません。本研究では、棍棒型ミクログリアの遺伝子発現プロファイリングをベースとしたキャラクタリゼーションと、棍棒型ミクログリアの神経変性における機能解析を行います。
著者
石井 俊輔 田中 信之 浜田 博司 影山 龍一郎 山本 雅之 平井 久丸 安田 國雄 鍋島 陽一 垣塚 彰 佐竹 正延
出版者
理化学研究所
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1997

多細胞生物における高次生命現象の分子的基盤を理解するためには、転写因子レベルでの遺伝子発現調節機構を解明することが不可欠である。個体発生や細胞系列の分化などを分子レベルで理解するために、本研究では発生・分化を時間軸に沿った遺伝子発現カスケードの流れとして捉え、転写因子がそれぞれの細胞系列、発生時期で細胞増殖・細胞死・分化などにどのように関与しているかを検討した。具体的には、以下のような研究結果を得た。1.コリプレッサーSkiの関連遺伝子産物Snoの変異マウスを作製・解析し、もともと発がん遺伝子産物として見い出されたSnoががん抑制因子としても機能することを明らかにした。2.促進性bHLH型転写因子Math3とMash1はニューロンへの分化決定因子として機能することが明らかになった。両者はお互いに補いあって幹細胞からニューロンへの運命決定を行うことが明らかとなった。3.転写因子Pitx2の発現は左側でのみ発現するが、この左側特異的なな発現はNodalシグナル伝達経路によって誘導され、転写因子NkxZによって維持されることが明らかにされた。4.lRF-1は新規の高発がん感受性遺伝子であるが、癌抑制に関わるlRF-1及びp53の標的遺伝子の同定を進め、その過程でp53依存性に転写誘導される新規遺伝子Noxaを単離した。5.遺伝子制御領域内のGATA配列を認識するDNA結合蛋白GATA-3はそのアセチル化状態が変化することにより生体内でのT細胞の生存およびホーミングを制御することが示された。6.転写因子小Maf群因子が,その存在量により,MAREを介する転写を正にも負にも制御し得ることが,トランスジェニックマウスと遺伝子破壊マウスを用いて巨核球における小Maf群因子の発現量を操作することにより,証明された。
著者
丹羽 仁史
出版者
理化学研究所
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

昨年度構築したインスレーター活性を検出するためのレポータープラスミドpTIA(tester of insulator activity)を用いて、マウスゲノム断片からインスレーター活性を含むものを単離することを試みた。しかしながら、ゲノム断片挿入によるスペーサー効果と明瞭に区別しうるインスレーター活性の検出には至っていない。この過程で、他施設からの報告により、インスレーター配列のエンハンサー活性遮断効果は、当該エンハンサーの両側にインスレーターがタンデムリピートとして配置されることにより増強することが明らかになったので、現在これを踏まえたベクターデザインの改良を検討している。一方、昨年度の検討でES細胞においてインスレーター活性が検出できたニワトリβ-globin LCR(locus control region)由来CTCF結合配列を用いたインスレーターカセットに、比較的強力な活性を示すhuman β-actin promoterないしは極めて弱い活性しか示さないhCMV^*-1 promotorの制御下にβ-geo(β-galactosidase+neomycin耐性遺伝子の融合蛋白をコードする)を接続したレポーターカセットを組み込んで、これらをES細胞に導入した。この結果、インスレーターは弱いプロモーターがゲノム上の挿入部位近傍のエンハンサーから受ける活性化は遮断できるが、クロマチン構造に起因すると考えられるプロモーター活性への抑制効果は遮断できないと考えられた。今後、これらの結果をさらに種々の異なる方法で検討するとともに、より有用な外来遺伝子発現のためのカセットの構築を進めていきたい。
著者
丹羽 仁史 宮崎 純一 田代 文
出版者
理化学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

我々は、無血清無フィーダー状態でのES細胞の未分化コロニー形成を支持する活性を、ES細胞自身が産生していることを見出し、これをKSRSと名付けて、当初発現ライブラリースクリーニングによるクローニングを試みたが、活性を示すクローンの同定には至らなかった。また、種々の既知サイトカイン・成長因子の効果も検討したが、明確にKSRS様活性を示すものは存在しなかった。しかし、このKSRS活性は血清中にも存在することに着目し、次に血清から無血清無フィーダー状態でのES細胞の未分化コロニー形成支持能を指標に分画を進め、最終的に逆相クロマトグラフィーで単一画分に活性を認めるに至った。現在、スケールアップの上、活性を担う蛋白の同定を進めている。一方で、血清からの分画過程で得られた粗画分を用いて129系統由来EB3 ES細胞を無血清無フィーダー状態で約1週間培養し、その後ブラストシストインジェクションを行った。この結果キメラマウスが得られることは確認され、現在germline transmission能を検討している。また、同様の条件でC57BL6系統由来胚盤胞をフィーダー細胞存在下に無血清状態で培養し、ES細胞の樹立を試みたところ、約20%の胚盤胞からES細胞株を得ることに成功した。現在、これらの細胞の分化能を検討するとともに、培養皿をコートする基質を最適化して無フィーダー化することを試みている。これらの解析と平行してES細胞の増殖を制御するシグナル伝達機構の解析も行った。特に、TGF-βファミリーの因子がES細胞の増殖に及ぼす影響を検討するために、抑制Smad蛋白をコードするSmad6とSmad7を発現ベクターに組み込んで、ES細胞に導入して過剰発現させた。この結果、Smad7の発現はES細胞の増殖を顕著に抑制した。この効果は、細胞のpluripotencyには影響を与えず、またSmad2の共発現によって解除されることから、ES細胞における生理的な役割を反映したものと考えられ、現在さらに詳細な検討を進めている。以上の結果は、今後ヒトES細胞を再生医学に応用する上で、異種動物成分を排除した培養系を確立するための基礎研究として、今後さらに発展が期待できるものと考えている。
著者
桜井 成 藤岡 昭三
出版者
理化学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

1.ブラシノステロイドの新たな生合成経路ニチニチソウ培養細胞の内生ブラシノステロイドとして、これまでに同定された6位にケトン基をもつ一連のブラシノステロイドのほかに、6-デオキソ系のブラシノステロイドの存在を見い出した。このことは、先に我々が実証した6位がまず酸化されてからブラシノステロイドが生成する経路、"早期C6酸化経路"、とは異なる新たな経路も、この培養細胞で働いていることを示している。重水素ラベルの6-デオキソ系ブラシノステロイド中間体を培養細胞に与え、その代謝をGC-MS分析により追究した結果、6-デオキソティーステロンが、3-デヒドロ-6-デオキソティーステロン、6-デオキソティファステロールを経て6-デオキソカスタステロンに変換された後、6位が酸化されてカスタステロン、ブラシノライドが生成する'後期C6酸化経路"が明かとなった。2.シロイヌナズナ(アラビドプシス)のブラシノステロイド生合成変異株最近、ブラシノステロイドを欠損したアラビドプシスの矮性変異株が見い出され、det2変異株については、DET2遺伝子が哺乳動物のステロイド還元酵素とホモロジーのあることが明かにされている。J.Choryのグループと共同研究により、det2変異株と野生株との内生ステロイドを調べたところ、det2ではカンペスタノールのレベルが野生株に比して著しく低く、det2変異株は、ブラシノライド生合成の最初の前躯体であるカンペステロールをカンペスタノールに変換する段階が欠損しているものと推定された。今後、これら変異株を用いた解析により、ブラシノステロイドの生合成酵素やその発現調節に関して分子レベルでの追究へ展開を図りたい。
著者
理化学研究所 編
出版者
理化学研究所
巻号頁・発行日
vol.第1回(大正6年度), 1921
出版者
理化学研究所
巻号頁・発行日
vol.昭和18年, 1943
出版者
理化学研究所
巻号頁・発行日
vol.第32回, 1937
著者
児島 伸彦
出版者
理化学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

神経可塑性の長期変化や長期記憶に重要な分子の候補ICERを中心に遺伝子発現変化を調べ以下の結果を得た。(1)キンドリングおよび恐怖条件づけにおける扁桃体でのICER(inducible cAMP early repressor)発現変化。キンドリング刺激後のICER mRNAの発現変化を調べ、ICER mRNAが電気刺激による神経活動の賦活によって脳で一過性に増加することがわかった。また、ICER mRNAはc-fosと同様に恐怖条件づけ後の扁桃体で増加することがわかった。この発現増加は条件づけ後の条件刺激の再提示によっても観察された。したがって、ICERは条件づけや条件反応後、扁桃体の神経活動の賦活に伴って増加すると考えられた。ICERは負の転写調節因子であると考えられているので、神経活動によって発現誘導される他の最初期遺伝子の転写抑制因子として働いている可能性がある。(2)PC12細胞におけるICERの強制発現。テトラサイクリン制御下でICER-IIを高レベルに発現するPC12細胞を作成した。その細胞にジブチリルcAMPを投与してその後の突起伸長に影響あるかどうかを調べ、ICERの突起伸長抑制効果をみとめた。(3)恐怖条件づけにおける扁桃体での遺伝子発現変化。ICERはCREBの活性化によって発現増加する。CREBの活性化はCRE配列をその転写調節部位に持つ多くの遺伝子の発現を誘導するので、条件づけによって扁桃体でICERが増加することは、条件づけによって他の様々な遺伝子の転写がダイナミックに調節されている可能性がある。そのような遺伝子産物をDNAチップによって系統的に探索し、複数種の遺伝子が条件づけ後の扁桃体で増加することを見い出した。
著者
松岡 勝 大野 洋介 戎崎 俊一 清水 裕彦 吉田 篤正 河合 誠之
出版者
理化学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

本研究の目指すものは、超広視野光学望遠鏡システムの基礎開発を行うことである。この装置を使った科学的な意義は、短時間で変動する天体・天体現象を連続的にモニター観測をして予測のできない天体現象を捉えることである。この研究で鍵となるのは「広視野望遠鏡」と「画像データの連続短時間読出し」の2点である。このため、本研究では(1)「広視野望遠鏡」ユニットを設計・製作し、(2)市販のCCDを焦点面にセットした試験観測を実行した。5度の視野をもつ望遠鏡は、通常の天文学用としては考えられない大きな視野である。このような広視野の天文観測用望遠鏡が実際実現され得るかどうかが、広視野トランジェント天体監視用望遠鏡システム実現の最初の試験項目であった。この試験観測のため、八ケ岳南麓天文台で試験観測を行った。散開星団M45(すばる)の観測を行い、測光制度0.1の限界等級が12等級であった。アナログ回路のノイズが60e相当であったが、現在は30e相当まで抑える見通しがつき、引き続き試験観測を行っている。CCD読み出し回路は、汎用CCD駆動・読み出しシステムを開発した。これを使って「連続短時間読み出し」に関して鍵となる技術であるTDI(ドリフトスキャン)方式による試験観測を野外で実施し、10秒間、望遠鏡固定の状態で鮮明な星像を捉えることができ、初期の目的が達成された。本研究の最大の目的であった望遠鏡システムの基礎開発は、ほぼ初期の目的を達成した。今後は、引き続いてこの望遠鏡の詳細な特性を試験観測で行う予定である。また、大量にこのような広視野望遠鏡を安価で製作する方法についての検討が必要である。さらに、大量の画像データを速やかに処理するソフトウヱアも将来の問題として残されている。
著者
白石 陽子
出版者
理化学研究所
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

Cupidin(別名Homer2a/vesl2Δ11)は、後シナプス肥厚部(PSD)に局在する蛋白質であり、代謝型グルタミン酸受容体1α/5型、イノシトール三燐酸受容体、リアノジン受容体などと結合し、またShankとの結合を介してGKAP-PSD95-NMDA受容体とも複合体を形成することから、細胞内情報伝達経路に関わる蛋白質群を局所的に集める役割を担っていると考えられている。さらに、Cupidinは細胞骨格因子である繊維状アクチン、アクチン結合蛋白質であるdrebrin、そして細胞骨格制御因子である活性型Cdc42とも相互作用することから、後シナプスの情報伝達だけでなく形態形成という観点からもCupidinの生理的役割を検討する必要がある。そこで本研究ではCupidinおよび上記蛋白質群との結合能を欠失した変異型Cupidinを発現するアデノウイルスベクターを作成し、初代培養系海馬神経細胞にシナプスが形成される時期に感染させ、後シナプスであるスパインの形態を観察すると共に、シナプス分子を免疫組織学的に検出することによりシナプス形成に及ぼす影響を解析した。その結果、野生型Cupidinを強制発現させた場合、より成熟したシナプスに見られるマッシュルーム型形態を持つスパインの出現頻度が高くなり、またシナプス分子の免疫組織学的シグナル強度が増大した。反対に種々の変異型Cupidinのなかには、それらを強制発現させた場合、異常なスパイン形態と共に未成熟なシナプス形成が誘導されるケースが観察された。すなわちCupidinと複合体をなす分子群の組み合わせのなかにはスパイン形態に影響をおよぼす分子間相互作用が存在し、PSDにおけるCupidinの存在はスパインの成熟にともなうシナプスの成熟にも関与することが示唆された。
著者
小川 正晴 仲嶋 一範
出版者
理化学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

リーラーミュ-タントマウスの原因遺伝子産物Reelinを特異的に認識し、かつその機能を阻害する効果をもつ抗体CR-50を分取し、皮質ニューロンの配置がReelinによって制御されていることを明らかにしてきた。Reelinは分泌性のタンパク質で、Reelin同士がCR-50認識部位を介して会合体を作ること、この会合体形成がReelinの機能に重要であることを示した。突然変異マウスヨタリの解析からDab1遺伝子の変異によってもリーラーとほぼ同じ表現型を示し、L1レトロトランスポゾンがDab1遺伝子内に挿入された結果スプライシング異常がおこってDab1蛋白質が完全に欠損することを明らかにした。ReelinがCajal-Retzius細胞で作られ分泌されるのに対して、Dab1はこの細胞に隣接するニューロンに発現し、非受容体型のチロシンリン酸化酵素に結合してシグナル伝達に関係する蛋白質である。同じ表現型を示すことから、Dab1はReelinシグナル伝達の下流の要として細胞移動/配置に直接に関係している。細胞外分子のReelinを感知し、細胞内のDab1のリン酸化に連結するような機能をもつReelin受容体の存在が予想された。先にチロシンリン酸化酵素Fynと結合する新規カドヘリン型受容体(CNRs)が八木らによって見い出されていた。またFynの欠損マウスにおいても皮質構造に異常が認められていた。そこで、CNRsがReelinの受容体に該当する可能性が予想され、この点を検討した結果、CNRsが、Reeinの受容体であること、またその結合サイトを明らかにした。CNRsに加えて、膜蛋白質であるapoER2およびVLDLRもReelin受容体であることが明らかにされている。このような複数のReelin受容体がどのように協調して機能しているのか、またDab1の下流において、細胞の移動/配置に関わる要因について現在検討している。