著者
柘植 あづみ 菅野 摂子 田中 慶子 白井 千晶 渡部 麻衣子 石黒 真里 井原 千琴 二階堂 祐子
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

女性の妊娠と出生前検査をめぐる知識と経験を把握するために、妊娠と出生前検査の経験について自由記述を含めて詳細に尋ねた首都圏でのアンケート調査(2013年実施、有効回答数 378票、有効回収率39.5%)と、全国の妊娠経験のある女性を対象に妊娠と出生前検査の経験に焦点をあてたインターネット調査(2015年1月~2月実施、有効回答数 2,357、有効回収率26.9%)を実施し、結果を分析した。さらに出生前検査を受検した女性、医師、遺伝カウンセラー、助産師、当事者団体等にインタビュー調査を行い、出生前検査をめぐる情報提供、夫婦の意思決定の過程と要因、医師の検査を提供することの考えなどを分析した。
著者
藤原 花 (鷲谷 花)
出版者
明治学院大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

今年度は主に関西方面のアーカイヴスでの資料調査を行い、京都文化資料館で、戦時期の南京親日政権の成立を題材とする「大東亜映画」の未映画化シナリオ(東宝、1943年頃)の所蔵を確認したほか、戦時期・占領期日本映画に関するいくつかの未公開資料を発掘した。資料調査の傍ら、青弓社より2012年に刊行予定の単著『戦争と《コスチュームプレイ》-《他者》を扮演する日本人-』(仮)の執筆準備を進めた。2011年2月12日にソウル・漢陽女子大学にて開催された韓国日本学会第82回学術大会にて口頭発表「日本戦争映画における「兵士の歌声」-『五人の斥候兵』から『ビルマの竪琴』まで-」。戦時期から戦後に至る日本の戦争映画における「合唱する日本兵」のイメージの反復について、戦時期から戦後にかけての国民歌運動との関連性を含めて論じた。また、2011年3月に米合衆国・ニューオーリンズで開催されたThe Society for Cinema and Media Studies 2011 Conferenceにて、パネル"Recycling the 'War Propaganda Apparatus' : Rethinking the (Dis-) Continuity of Wartime Film Genres in Japan"に参加、口頭発表"Soldiers in the Performing Arts' in Wartime and Postwar Japanese Cinema"。ここでは大戦期にルース・ベネディクトをはじめ米国戦時情報局調査等によって指摘された戦時期日本映画の「反戦的傾向」と、戦後日本の「反戦映画」との連続性を、日本の戦争映画に登場する兵士の「犠牲者としての英雄」像に注目しつつ論じた
著者
藤川 賢 片岡 直樹 除本 理史 石井 秀樹
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

大規模な環境汚染からの地域再建には自然・社会関係の回復が必要であるが、とくに放射能に関しては、そのリスク評価をめぐる揺らぎなどが影響を及ぼす。他方で、産物や芸能などを含めた地域固有の伝統や文化の役割も大きい。これらの作用と過程には事例ごとの差があるものの、時代や国を超えた共通点も指摘される。本研究は、福島原発事故後の地域を中心に自然・社会関係の回復に向けた長期的過程を検討するものである。福島での調査では、阿武隈高地とその周辺を主対象とした事例調査等により、自然と人との関係、人と人との関係の回復を模索する。並行して、国内外の事例と比較総合しつつ、知見の国際的共有に向けた検討を行う。
著者
杉田 由仁
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、タスクに基づくライティングテストに特化した「コンピューターによる自動評価採点システム」の開発を進めた。ライティング評価を予測する言語的特徴として抽出された客観的評価指標 (特徴量) により、総合評価を61~69%予測できる回帰式を作成することができた。しかし、予測精度をより向上させるために、1) Accuracy タスクの「言語的正確さ」の評価において、語彙や文法、スペル句読法などにおける誤りを特定し、統計指標化する方法を考案すること、2) Communicability タスクの「情報伝達効果」の評価において、課題との関連性を判定し統計指標化する方法を考案する必要性が示唆された。
著者
越智 英輔 中里 浩一 石井 直方
出版者
明治学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、スポーツ現場において頻発する肉離れ損傷のメカニズムを解明することを目的とした。ラットエキセントリック筋収縮装置を用いて様々な条件下で筋損傷を誘発した結果、骨格筋萎縮を伴う比較的重度の肉離れ損傷モデルを作成することができた。さらに、タンパク質・遺伝子発現を検討した結果、修復に伴いミオスタチン・タンパク質分解系シグナル発現が増加し、骨格筋萎縮・結合組織瘢痕化への関与が示唆された。
著者
THOMAS P. Gill
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

2002年夏、ホームレス自立支援法が成立した。これは初めて日本政府が野宿者問題の存在を明確に認め、具体的な対策に取り組み始めたことを意味する。この研究プロジェクトの目的の一つは、こうした動きを受けて、日本の大都市におけるホームレス事情を調査し、各地のホームレス対策と施設の運営を比較し、さらに当事者レベルでの対策のインパクトを考察することにあった。もう一つの目的は、ホームレス問題に関して日本に比べ長い歴史と経験を有するアメリカとイギリスのホームレス対策を調べて、各国と都市のホームレス対策の共通点・相違点を確認した上で、日本のホームレス対策の特徴を抽出し、問題点を明らかにすることである。本プロジェクトにおいては、日本では東京、横浜、名古屋、大阪等で、アメリカではロサンジェルスとニューヘーブン、イギリスではリバプール、ロンドンとオックスフォードでフィールドワークを行った。結論として言えるのは日本に関しては、まず(1)地方による差異が大きく、「大阪モデル」、「東京モデル」、「横浜モデル」と呼ぶことが出来る、少なくとも三つの対策のパターンが見られることである。同じ「自立支援センター」という名称を用いながらも、各地の施設の滞在期間・入所と退所の条件設定・運営方式・再利用のルールはさまざまで、流行語になった「自立支援」は各都市で独自の解釈をされている。さらに(2)各都市では試行錯誤の過程で対策の内容と実施が常に変化しつつある。ホームレス対策は日本では比較的新しい社会問題であることから、行政の対応は現段階ではまだ確定していないといえよう。海外との比較に関しては、(1)イギリスでは2000年から集中的な対策を行われ、路上生活者の人口を数値的には激減させることに成功したが、その一方、ホームレス支援は一大事業に膨張し、シェルター運営の現場を検証すると根強い問題が多く、必ずしも成功例とは言いがたい。(2)アメリカでも各種の大規模なホームレス支援事業が活発に行われているが、これは行政・NGO・キリスト教等の教会がそれぞれ独自の理念、基準で実施しているもので、新鮮なアプローチも見られるがホームレス人口は相変わらず日本のそれよりずっと大きく、総合対策がないというのは致命的な問題に見える。
著者
合場 敬子
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

プロテストに合格すると、一応一人前のレスラーとなる。その時の自分の体について、自覚的にその変化を捉えているレスラーは少なかった。これは、デビューして数年までは、先輩との厳しい上下関係の中で、日々の雑用や練習に追われてしまい、自分の身体やプロレスのことをあまり考える余裕がない状況にあったからと推測できる。自分の身体のあり方に自覚的になっていたのは、デビューの後、キャリアを積む過程においてであった。多くのレスラーは、女らしい身体とレスラーとして目指す身体を対立するものとして捉えていた。レスラーであることを優先して、そのための身体をまず第一に考え、女らしい身体の獲得をあきらめている。しかし、そのあきらめに悲壮感はない。なぜなら、レスラーとしての身体を持ち、プロレスができることの方が彼女たちにとって重要だからである。プロレスでは、相手も自分の技を受けてくれる、自分も相手の技をうけるという信頼関係が必要である。したがって、プロレスの闘いは相手をとにかく打ち倒すことではないので、レスラーは自分を「強い」と意識することが希薄になっている。レスラーのジェンダー・アイデンティティの核はレスラーになる以前から形成されたように思われる。自分の体をレスラーの体に変容させることは、彼女たちのジェンダー・アイデンティティにはそれほど影響を与えていないと思われる。一方、ファンのジェンダー・アイデンティティへのプロレスの影響も、確認できなかった。多くの男性ファンは、女性として魅力ある身体とレスラーの身体を区別して把握している。多くの女性ファンは自分がなりたい身体のイメージを、自分の好きなレスラーの体型とは別に持っている。多くのファンは、リングを降りた選手に、「女らしさ」を見ている。対称的に、プロレスをしている女子レスラーは、ファンの視点の中では、ジェンダーを越えた存在として捉えられている傾向があった。
著者
三和 治 平岡 公一 松原 康雄 小林 捷哉 遠藤 興一 濱野 一郎
出版者
明治学院大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

本研究は、高齢化社会の進行に伴ない今後、一層、必要とされるであろう在宅サービスを中心とする社会福祉供給システムにおいて、福祉行政機関とりわけ福祉事務所が、どのような組織機構をもち、またどのような運営方針の下に日常業務を遂行し、他の行政機関や民間社会福祉組織・団体などとどのように協力連携しているのか、また福祉事務所の現業員等の職員の専門性の水準がどの程度であり、その職員の行う援助活動にどのような問題があるのか、などを課題に、それらの状態、問題の把握と要因を実証的に調査研究し、それらへの対応に資することを目的に設定され実施された。わが国社会福祉行政機関の中核を占める福祉事務所の動向は、文献資料、現地調査によって、全体的に依然、社会福祉行政の重要部分を占めているものの、生活保護中心のもの、6法担当のものなどと多様化を示し、名称も同様に多様化している。専門性の指標としての社会福祉主事資格の取得率も停滞傾向を示している。所の運営方針も上級庁のそれによっている場合が多いように見られている。福祉事務所改革を行った岡山県、青森県、新潟県の各福祉事務所或いは福祉部門及び社会変動の激しい千葉県、市福祉事務所現業員を対象とした現業員の意識調査は、福祉事務所活動を現業員の立場からみようとしたものであるが、現業員の専門性に関わる意識、資格取得率に県、市による差が見られ、これらの関連性は今后の検討課題として残された。また福祉処遇についても県、地域による差があるが、それが現業員の状況に依拠するか、どうかは尚、慎重に例えば事例研究などを開いて検討したい課題である。福祉事務所改革は、積極的な意図、管轄地区の人変動などによる影響も少なくないなど単純ではない。それらは今後、他の地方自治体を対象として検証を要する課題としたい。
著者
加藤 秀一
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

生物学的とジェンダー研究との相互理解を促進する試みは1970年代から繰り返し行われてきたが、現在においても極めて不十分な成果しか挙げ得ていないことが明らかになった。本研究では、この膠着状態を乗り越えるために、両陣営が共に理解すべき理論的方向性を提示した。それは、一方が他方を包摂しうるという幻想を捨て、適切な役割分担をするという(一種の反自然主義的な)方向性である。そのためには、ヒト=人間の精神生活に特有の「規範性」に関する因果的説明と正当化という二つの文脈を区別することが肝要である。
著者
吉野 一 太田 勝造 西脇 与作 原口 誠 松村山 良之 加賀山 茂 宮本 健蔵
出版者
明治学院大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1990

本研究は、実定法の言語分析を通じて法的知識の論理構造を明らかにするとともに、それに基づいて、実際に即して法的正当化の推論を行なう法律エキスパートシステムの基礎を確立することを目的とする。原理と方法の解明と実証を行なうために、AIワークステーション上に知識ベースと推論機構ならびに最小限のインターフェースからなる実験用のプロトタイプを作成する。三年間の研究において上記の研究目的はほぼ達成された。すなわ、(1)法的知識の構造については、ウィーン売買条件(一部)および民法(一部)の条文を法規範文単位に要件・効果の内的構造において解明するとともに、諸法規範文間の論理的結合関係を明かした。その際とくに法の適用を制御する推論の知識構造を法規範文とその効力を規定しているメタ法規範文の関係として解明した。(2)法律知識ベースとしては、上記分野において、上記原理に基づいて、法規範文とメタ法規範文を複合的述語論理式で表現し、サンプルシステムをAIワークステーションPSI-II上に作成した。(3)法的推論機構としては、a)適用すべき法規範文を決定する推論を、上記法的メタ法規範文を適用した演繹的正当化の推論として構成し、そのための法的メタ推論機構を完成した。また、b)この推論過程を理解・説明するためのユーザフレンドリーな説明機構を作成した。さらに、c)有限なルールを用いて多様な事件に対して法的解決を与えるための拡大解釈や類推適用の工学的モデルを、法的シソ-ラスの構造にしたがった仮説生成の推論として計算機上実装し、その有効性および問題点を検討した。また法的概念辞書の基礎を明らかにした。上記の研究に関連する論理学的、法哲学定、法社会学的、民法学的および情報・知識工学的的基礎付けを行った。本研究によって本格的な法律エキスパートシステムの開発研究の基礎が提供されたと言える。
著者
浪岡 新太郎
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本年度はコロナ禍のために現地調査ができなかったので、これまでの調査のまとめと比較のための日本での調査を行なった。具体的には、フランスにおけるムスリムの経験する、人種差別と宗教上の差別という差別の経験を、フランスの法律、政策、制度がどのように対応しているのかを検討した。その際に、これまでは別々に扱われることが多かった、人種差別と宗教上の差別を、同じレイシズムの異なった現れとして検討することで、両者の関連性を明らかにした。また、日本との比較においては、フランスのムスリムの依拠する社会保障制度との比較の観点から、日本の生活困窮者自立支援法の成立過程について検討した。その際に、特に、2008年の派遣村に注目することで、いわゆる生活困窮者がどのように社会運動の当事者として政治的に自分たちを表現することができたのか、その際の政治的、社会的、経済的条件とはどのようなものかを論じた。
著者
犬飼 佳吾 中村 友哉
出版者
明治学院大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

本研究では行動経済学、実験経済学分野における主要知見について、大学生を対象とする追試に加えて、一般人市民を対象にも同様の追試を行う。同時に、実験報酬単位、実験プラットフォーム(実験室実験やweb実験)の違いという観点からの検証も同時に行い、行動経済学・実験経済学分野の研究知見の頑健性の検証を通じて、同分野の基礎的手法の精査検討を行う。