著者
森 清和 島村 雅英
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.575-578, 2002-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
9

横浜市域のエコロジカル・ネットワーク計画の基礎研究として, 水田及び池の特質と推移について検討した。約100年前, 水田は谷戸田と河川沿い水田がほぼ同面積で約7400haあり, 池は谷戸奥の農業用の溜池を中心に約140ヶ所あった。現在では, 水田は約600haに減少するとともに, 池は溜池がほとんどなくなり, 53ヶ所が公園化等により残されているに過ぎない。その保全再生が今後の大きな課題である。
著者
森 清和 島村 雅英
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.631-634, 2000-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
24
被引用文献数
2 6

自然共生都市の重要な生態的拠点となる谷戸に関する基礎研究として, 横浜市域における谷戸生態系の成立過程, 谷戸地形の分布と特徴及びその現況について検討した。横浜市域の谷戸地形は, 縄文海進期に概成される。谷戸の農業開発による二次自然としての谷戸生態系の成立は中世以降である。○○谷戸と呼ばれる小字地名も数多く残されている。1次谷戸数は3751か所で全市に分布する。横浜は「谷戸の発達した都市」といってもよい。近年住宅開発等によって谷戸地形そのものや土地利用に大きな変化が見られる。現在の1次谷戸は, 2467ケ所である。そのうち, 自然的土地利用の多い谷戸は944ケ所となっている。
著者
長田 光世 森 清和 田畑 貞寿
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.151-156, 1993-03-24
被引用文献数
1 3

本研究は,生態学的な水辺緑地計画の視点から,計画指標となりうるトンボの種の把握を目的に,トンボの生息環境としてきわめて良好な環境である桶ケ谷沼におけるトンボの優占種の検討を行い,それを基礎とした複数の池の比較考察を行ったものである。その結果,トンボ科の広域分布種について,環境復元の段階的な発展に伴い種を4段階に分類し,それぞれ有効と推定できる指穏種を提示した。また,特にチョウトンボは,池を中心とする水辺緑地の多様な構造に対応して個体数密度を増加させ,さらに最もトンボ相が豊かになるような多様な構造をもった水辺緑地では,夏期調査時のトンボ科全体に対して最大の優占種となる指標性をもつことが把握された。