- 著者
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森本 洋介
- 出版者
- 弘前大学教育学部
- 雑誌
- 弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
- 巻号頁・発行日
- vol.120, pp.137-148, 2018-10-12
本稿では教科書会社発行の教材(副読本)を用いた授業と,同テーマにおける自作教材を用いた授業実践の検討を通じて,その編成の在り方,特に教材の選定と発問の設定の方法を明らかにするため,実践を通じて検証作業を行った。その結果,教科書会社発行の教材(副読本)では副読本に記載された発問を扱わなかったにもかかわらず,副読本に記載された発問に対する答えのような記述をしている児童も少なからず見られた。一方で自作教材を用いた授業では教材を発問について考えるための知識や情報を与える資料として位置づけることで,児童は話し合いや「道徳ノート」のなかで綺麗事ではない意見を出すことにつながった。教材のつくり方,さらに言えば教材の内容が子どもの実感に則したものであるかということと,発問がその実感を問うものになっているかどうかが「考え,議論する道徳」を実現するためのポイントになると考えられる。