著者
柳原 正治 植木 俊哉 明石 欽司 岩本 禎之 三牧 聖子 丸山 政己
出版者
放送大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2019年5月に『世界万国の平和を期して―安達峰一郎著作選』(研究代表者が編者)を出版した。公表された学術論文や随筆のみならず、外交官として書き記した口上書や調書や報告書、日露戦争の捕獲審検所評定官としての調査書や判決、国際連盟や万国国際法学会での報告書、常設国際司法裁判所所長としての報告書や命令・勧告的意見に対する反対意見などを一冊にまとめた、安達峰一郎の最初の著作集である。フランス語を主とする欧文著作(書簡を含む)も巻末に一括して掲載した(100頁あまり)。この著作集の出版によって、安達の業績が内外に一層広く知られることとなることが期待される。また、6月15日には東京で、安達峰一郎記念財団の主催で「よみがえる安達峰一郎―世界が称賛した国際人に学ぶ」という記念シンポジウムが開催された。200名近くの参加者を得て、安達の思想と行動が現在の混迷する国際社会にとって持つ意義について、熱心な討論が行われた。研究代表者が基調報告を務め、複数の研究分担者も個別報告を担当するとともに、パネルディスカッションにも参加した。また、国際法協会日本支部が主催して、2019年4月27日に「日本における国際法学の誕生」という共通テーマでの研究大会が行われた。研究分担者の三牧が「大戦間期の戦争違法化と安達峰一郎」というテーマで報告を行った。海外の史料館の一次史料の収集作業も引き続き行った。ベルギーの外交史料館で再度の一次史料の収集作業を行った。これまでほとんど知られていない、黒澤二郎関連の史料をかなりの数収集できた(“Correspondance politique Japon”や13.584など)。
著者
植木 俊哉
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究では、グローバル化とボーダーレス化が進む現代の国際社会において、国際組織のアカウンタビリティーの確保と向上のために国際法め理論と実務がいかなる貢献をなしうるかについて、国際法協会(ILA:International Law Association)が組織した「国際組織のアカウンタビリティーに関する国際委員会」による国際組織のアカウンタビリティーに関する「勧告的規則・慣行草案」(RRPs:Recommended Rules and Practices)の起草・作成過程への実践的関与や検討を通じて、さまざまな分析と提言を行った。同委員会による勧告的規則・慣行草案は、2004年8月にドイツのベルリンで開催された国際法協会第71回総会において正式にILAの国際文書として採択され、国際組織のアカウンタビリティー確保のための国際的な基準として、世界に向けた提言として具体的に結実した。本研究代表者は、同委員会の日本代表の委員として、RRPs作成過程での議論に積極的に関与を行うと同時に、その成果の分析を行い、論文等の形でこれを公表した。また、その研究成果等を踏まえ、国連本部事務局内での「国連フォーラム」研究会等の場で、国連諸機関に勤務する日本人職員等と意見交換を行い、国際組織の現場におけるアカウンタビリティー向上のための取組み等について実践的な提言を行った。さらに、国際テロリズムとの関係での国連安全保障理事会におけるさまざまな決議採択等の取組みや、21世紀の国際組織の新たな活動の基軸の1つとなる「人間の安全保障」といった概念の展開等の具体的事例との関連で、国際組織の活動のアカウンタビリティーの向上に関する具体的な検討を行い、その研究成果等を公表した。