- 著者
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植木 俊哉
- 出版者
- 東北大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2002
本研究では、グローバル化とボーダーレス化が進む現代の国際社会において、国際組織のアカウンタビリティーの確保と向上のために国際法め理論と実務がいかなる貢献をなしうるかについて、国際法協会(ILA:International Law Association)が組織した「国際組織のアカウンタビリティーに関する国際委員会」による国際組織のアカウンタビリティーに関する「勧告的規則・慣行草案」(RRPs:Recommended Rules and Practices)の起草・作成過程への実践的関与や検討を通じて、さまざまな分析と提言を行った。同委員会による勧告的規則・慣行草案は、2004年8月にドイツのベルリンで開催された国際法協会第71回総会において正式にILAの国際文書として採択され、国際組織のアカウンタビリティー確保のための国際的な基準として、世界に向けた提言として具体的に結実した。本研究代表者は、同委員会の日本代表の委員として、RRPs作成過程での議論に積極的に関与を行うと同時に、その成果の分析を行い、論文等の形でこれを公表した。また、その研究成果等を踏まえ、国連本部事務局内での「国連フォーラム」研究会等の場で、国連諸機関に勤務する日本人職員等と意見交換を行い、国際組織の現場におけるアカウンタビリティー向上のための取組み等について実践的な提言を行った。さらに、国際テロリズムとの関係での国連安全保障理事会におけるさまざまな決議採択等の取組みや、21世紀の国際組織の新たな活動の基軸の1つとなる「人間の安全保障」といった概念の展開等の具体的事例との関連で、国際組織の活動のアカウンタビリティーの向上に関する具体的な検討を行い、その研究成果等を公表した。