著者
植田 晃次 Ueda Kozi
出版者
Graduate School of International Development. Nagoya University
雑誌
Forum of International Development Studies (ISSN:13413732)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.163-178, 2004-03

The D.P.R. of Korea abolished the use of Chinese characters in their orthography in 1949. After that, they have been using only Korean characters in their writing system. Chinese characters had not been taught in its educational system for a while. However Chinese character education started again in the 1950s. Two leaders of the nation emphasize the necessity of reading the materials published in the Republic of Korea and cultural heritage of their ancestors. But true purpose is not to learn Chinese characters themselves but to acquire more Korean words. In this paper, we deal with a textbook of “Hanmun(Chinese characters)” and the articles published in the 1990s, and analyze the actual conditions of Chinese character education in the D.P.R.K. It is considered that the whole curriculum functions as political and ideological education in the D.P.R.K.“Hanmun”can not be treated as an exception, too. But, the textbook and the materials show that the authors exert all possible efforts to make students learn Chinese characters in the limited curriculum, and teachers also do their best in daily classes. While the first purpose for them is to enrich Korean vocabulary of their students, they pay attention to various aspects of Chinese characters.
著者
植田 晃次
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

まず、朝鮮語教育の最大の隘路のひとつである文字教育に焦点を当て、『朝鮮語実物教材(1)』を作成した。授業において、大韓民国・朝鮮民主主義人民共和国のさまざまな「実物」資料に書かれた朝鮮語の語句を実見して読むことは、いわゆる「なまの」朝鮮語に触れる機会となり、学習者の学習モチベーションを維持・向上させる有力な手段となる。しかしながら、これらを「実物」によって示すことは、資料の収集・管理、あるいは教室のクラスサイズなどの諸々の要因のために、困難を伴うことが多い。本教材は、これら「実物」資料をデジタルカメラで撮影し、教室での利用を意図して集成したものである。これを直接あるいは実物投影機などを用いて利用することにより、簡便かつ容易に「実物」資料を提示することが可能となる。資料の収集にあたっては、上記のように南北朝鮮のものを中心としつつ、中国・日本をはじめとする諸国のものをも対象としたことによって、本課題の視点のひとつである「総合的朝鮮観」の涵養にも裨益するものである。つぎに、『日本で学ぶ朝鮮語』を作成した。従来の教材では、表記法・発音に関する事項と文法事項を平行して習得していく必要があるものが一般的であり、とりわけ学習時間数の限られている高等学校の課程においては、両者とも不十分な習得に終わることが少なくない。それを考慮し、基本的な文字・発音の学習の後、前者に関しては可能な限りいったん保留し、できるだけ少ない文字・発音に関する知識の活用により、基本的な文法事項の習得を優先したものである。また、外国語教育のイデオロギー的側面に関する論文「「ことばの魔術」の落とし穴」(山下仁・植田晃次編『「共生」の時代に(仮)』三元社、2005年夏刊行予定)も本研究の一部を成す。
著者
植田 晃次
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

2005年度には、報告書(1)『朝鮮語教育史人物情報資料集』を研究代表者および3名の研究協力者が分担執筆して作成した。本資料集は、19世紀末から21世紀初の日本において、朝鮮語教育・学習に関わった人物に焦点をあて、各種データを採録したものである。具体的には、様々な教育機関の卒業生(在学生)、外務省・文部省・熊本県による留学生、朝鮮語奨励試験等の試験合格者、朝鮮総督府の『朝鮮語辞典』・「諺文綴字法」に関与した人々、NHKの朝鮮語講座の講師等にっいての各種データを収録した。また、巻末には1880年から1945年に至る時期に刊行された、朝鮮語学習書の目録も収めた。2006年度には、前年度の研究成果を踏まえつつ研究を進め、研究成果報告書『日本近現代朝鮮語教育史』を研究代表者および3名の研究協力者とともに編纂した。ここでは、日朝関係に大きな関わりを持つ近代以降の日本人への朝鮮語教育を取り上げ、「教育機関等における朝鮮語教育」、「朝鮮語の講習と試験の制度」、「朝鮮語の研究・教育・通訳に携わった人々」、「朝鮮語の学習書・辞書と規範」、「朝鮮語を考える」の5つの側面(44項目)から考察・総合し、その全体像を実証的に解明した。また、2006年度韓国社会言語学会・国立国語院共同国際学術大会で、各自が研究発表を行った。さらに、各年度に研究代表者・研究協力者が、それぞれ個別の論文等を発表した。この他、本研究の成果発表のひとつとして、以下のウェブサイトを開設した。http://wwwl.doshisha.ac.jp/~tmitsui/collaborating_research/seika.html