著者
楠 義彦
出版者
史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.96, no.1, pp.71-99, 2013-01

一五八○年に発生したドーバー海峡を震源とするロンドン地震はイギリスで最も有名な地震である。当時地震は物理現象ではなく、精神的・宗教的現象であると考えられていた。この地震後に登場する多くの地震関連の著作では地震理論の体系化がはかられるなかで、邪悪な信仰生活に対する神の警告としてこの地震を位置づけていく。キリスト教世界では自然災害を神罰として解釈することが一般的であるが、それは体験に基づく地震理論との調和の上でなされなければならなかった。そのため被害の少ないこの地震の場合、警告ではあっても神罰の実例としては説得力がなかったと思われる。一六世紀後半のイングランドでは、カンタベリ大主教エドマンド・グリンダルを中心として神罰への意識が喚起されていくが、ロンドン地震はまさにその王業の機会であった。
著者
黒川 正剛 小林 繁子 楠 義彦
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要
巻号頁・発行日
vol.20, pp.225-235, 2018

本稿は,科研費の助成を受けた公開シンポジウム「魔女とマス・メディア―ヨーロッパ近世の他者のイメージをさぐる」(2017年11月19日・太成学院大学)の報告である。シンポジウムでは,ヨーロッパ近世社会における他者として魔女と犯罪者を取り上げ,それらと当時のマス・メディア(ビラ,パンフレット,木版画等の図像)の関係について報告した。全体は,黒川正剛「魔女はなぜ信じられるようになったのか?」と小林繁子「犯罪者と悪魔―近世ドイツの印刷メディアから―」の二つの研究報告と楠のコメント「魔女とマス・メディア」から構成される。
著者
黒川 正剛 小林 繁子 楠 義彦
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.225-235, 2018 (Released:2018-04-02)

本稿は,科研費の助成を受けた公開シンポジウム「魔女とマス・メディア―ヨーロッパ近世の他者のイメージをさぐる」(2017年11月19日・太成学院大学)の報告である。シンポジウムでは,ヨーロッパ近世社会における他者として魔女と犯罪者を取り上げ,それらと当時のマス・メディア(ビラ,パンフレット,木版画等の図像)の関係について報告した。全体は,黒川正剛「魔女はなぜ信じられるようになったのか?」と小林繁子「犯罪者と悪魔―近世ドイツの印刷メディアから―」の二つの研究報告と楠のコメント「魔女とマス・メディア」から構成される。
著者
楠 義彦
出版者
西洋史研究会
雑誌
西洋史研究 (ISSN:03869288)
巻号頁・発行日
no.17, pp.p57-78, 1988
著者
楠 義彦
出版者
東北学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

歴史学研究で用いる文書資料を計量的なテキストマイニングにより分析することは、歴史学研究者のみに可能な事柄である。これは文書資料を構成する語の時代的、地域的また文脈による多様性を計量的分析では捉えられず、通常の文書分析と並行して行わなければならないためである。解釈批判の実行は極めて高度な歴史学研究の能力と経験を必須の基礎としており、現状ではコンピュータで人の代わりをさせることはできない。仮にできたとしても、そのための準備作業に膨大な時間と労力がかかり、コスト高となってしまう。今後資料のデジタル化が進展や新たな方策を開発により、テキストマイニングの歴史学研究への利用可能性は高まるものと考えられる。