著者
榎本 雅夫 大西 成雄 嶽 良博 齊藤 優子 池田 浩己 十河 英世 船越 宏子 芝埜 彰 瀬野 悟史 硲田 猛真
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.488-492, 2002-12-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
9
被引用文献数
1

アレルギー性鼻炎における環境調整はメディカルケアへの依存を軽減し, これのみで症状が改善する例もしばしば経験し, 治療を行う上で有意義な方法である0したがって, 鼻アレルギー診療ガイドラインにも室内ダニ除去が推奨され, その具体的方法が示されている。しかし, これらの主要アレルゲンであるDer p (f) 1, Der p (f) 2は水溶性であるにもかかわらず, ガイドラインには洗濯の励行の重要性が記載されていない。本報告では, 洗濯の効果があるのかについて検討した。各種布地による溶出時間とDer 1溶出量, 溶出率, 実際の洗濯によるダニアレルゲン減少度, 漬け置き洗濯の効用などについて検討した。その結果, 布質によってダニアレルゲン吸着度は大いに異なること, 溶出率もそれにより異なること, 漬け置き洗いがより効果的であることなどが明らかになった。これらのことは, 日常の患者指導をする上で直接役立っ事項と考身ている.
著者
齊藤 優子 田中 里江子 硲田 猛真 間 三千夫 船越 宏子 池田 浩己 芝埜 彰 輿田 茂利 夜陣 真司 北野 博也 榎本 雅夫
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.236-241, 2005-08-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
15

Waardenburg症候群は内眼角と涙点の側方偏位, 広く高い鼻根, 正中部眉毛過形成, 虹彩異色症, 先天性感音難聴, 前頭部白髪の6主徴を特徴とする常染色体優性遺伝形式をとることが多い遺伝性疾患である。本邦でも多くの報告がなされているが症状の発現や程度は様々である。今回, 新生児聴覚スクリーニング検査から発見されたWaardenburg症候群1型の2例 (父子症例) を経験し, 遺伝カウンセリング, 聴力所見を中心に難聴の浸透率や難聴の表現型などについて検討した。父子の症例であるが感音難聴, 虹彩異色の発現及びその程度に違いが認められた。父親には難聴はみられなかったが, 患児は暗一側性の高度難聴を認めた。
著者
中村 陽祐 竹内 裕美 福島 慶 横山 裕子 森實 理恵 榎本 雅夫
出版者
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
雑誌
耳鼻咽喉科免疫アレルギー (ISSN:09130691)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.1-6, 2017 (Released:2017-03-24)
参考文献数
13

抗ヒスタミン薬の鼻閉に対する効果を補完するために,第2世代抗ヒスタミン薬のfexofenadineフェキソフェナジンと経口血管収縮薬のpseudoefedrineプソイドエフェドリンの配合剤(F/Pと略す)が臨床で使用されている。F/Pの鼻閉に及ぼす臨床効果は経験的に確認されているが,鼻腔通気性の変化を客観的に評価した研究はほとんどない。本研究では,通年性アレルギー性鼻炎患者17人(男性12人,女性5人,平均年齢28.6歳)を対象として,F/P服用後の鼻腔通気性の変化を鼻腔通気度検査によって検討した。また,F/P服用後の自覚的な鼻閉感の変化についてVASを用いて検討した。鼻腔通気度検査は,F/P服用前は4時間,服用後は8時間,30分毎に測定した。また鼻閉感は,鼻腔通気度検査に合わせて測定した。鼻腔通気性の客観的な指標である総鼻腔気流量は,服用後90分から有意に増加し,服用後8時間まで有意な増加が持続した。一方,鼻閉感は,服用後2時間から有意に低下し,服用後6時間まで有意であり,試験期間の服用後8時間の間,効果が持続した。本研究によって,F/Pの鼻腔通気性に対する速やかな効果発現と持続性を客観的に証明することができた。また,鼻腔通気性の改善に伴い自覚的な鼻閉感も有意に改善することが確認された。
著者
角谷 千恵子 荻野 敏 池田 浩己 榎本 雅夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.554-565, 2006-05-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
32

【目的】第2世代抗ヒスタミン薬7剤について,スギ花粉症に対する初期療法の有効性ならびにcost qualityの比較を行った.【方法】2003年のスギ花粉飛散期に大阪・和歌山地区の耳鼻咽喉科外来において初期療法に関するアンケート調査を行った.【結果】単剤療法を受けていた症例は,アゼラスチン15例,セチリジン15例,エバスチン36例,エピナスチン16例,フェキソフェナジン16例,ロラタジン群60例,オキサトミド群17例であった.無治療群510例を対照群とし,比較を行ったところ,全般症状改善度,くしゃみ,鼻汁および眼の痒みの程度に8群間で有意差が認められた.一方,7薬剤間に有意な有効性の差は認められなかった.各薬剤について「有効例1例を得るために必要な薬剤費」を算出したところ,cost qualityに優れる上位3剤は,アゼラスチン,ロラタジン,フェキソフェナジンであった.【結語】第2世代抗ヒスタミン薬7剤の有効性に明らかな差はなく,そのcost qualityには薬価が大きく関連していた.
著者
亀井 健史 榎本 雅夫
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.148-160, 1996
参考文献数
17
被引用文献数
1

地下水位の上昇に起因する地すべりに対し,効果的な対策工のひとつとして集水井工が挙げられる.集水井工の地下水位低下に及ぼす効果に関しては,経験的な設計値は設定されているものの,その定量的な評価手法に関しては確立されていないのが現状である.本研究では,砂および粘性土から構成される四つのモデル斜面を対象に飽和-不飽和浸透流解析を行い,集水井工が斜面内の浸透流挙動に及ぼす影響を明らかにし,集水井工の地下水位低下に及ぼす効果を検討している.その結果,降雨量,上流側方からの地下水流入量が異なる条件下で集水井工が斜面の安定性に与える効果をある程度定量的に明らかにしている.
著者
亀井 健史 榎本 雅夫
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.10-16, 1996-09-15
参考文献数
12
被引用文献数
3

地すべり発生のメカニズムに関しては, すべり面に作用している間隙水圧の上昇がその主要因の一つとして考えられており, 地すべり斜面の安定性を検討する際には, 斜面内の間隙水圧を定量的に把握することが重要となる。このことから, 本研究では降雨および斜面上流から流れ込む地下水が斜面内の間隙水圧変動に与える影響を調べるため, 砂および粘性土から構成される四つのモデル斜面を対象に飽和-不飽和浸透流解析を行った。その結果, 斜面の土性および地層構成, 降雨量, 上流側方からの地下水流入量が斜面内の間隙水圧挙動に与える影響を定量的な観点から検討している。
著者
榎本 雅夫 横山 道明 新井 宏紀 硲田 猛真
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.219-226, 1991-04-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
16

スぎ花粉症は増加しているといわれている。増加の要因としては様々なことが報告されているが, 自然集団の中でどの程度に増加しているかについての報告は少ない。著者らは和歌山県下無作為に集めた多数例の血清を対象にRAST, AlaSTATによりスギ特異IgE抗体の測定を行い1895年の調査と比較した。その結果は次の通りであった。1.スギRAST1以上の陽性者は22.7%, 2以上は18.3%であった。スギAlaSTATの陽性者頻度は, スコア1以上は33.8%, スコア2以上はRASTとほぼ同じ20.1%であった。2.女性よりも男性の方に陽性者が多かった。3.年齢的には16-19歳台で陽性者がもっとも多く, 加齢と共に陽性率は減少した。4.スギRAST陽性者は, 5年前の同調査と比較して増加していた。また, 好発年齢が若年化していた。5.スギ特異IgE抗体陽性者は針薬樹, スギやヒノキの樹林面積の多いところに多かった。しかし, 増加の要因としての大気汚染の関連は証明できなかった。