著者
武田 健 新海 雄介 鈴木 健一郎 柳田 信也 梅澤 雅和 横田 理 田井中 均 押尾 茂 井原 智美 菅又 昌雄
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.131, no.2, pp.229-236, 2011 (Released:2011-02-01)
参考文献数
42
被引用文献数
5 12 3

In order to discuss the health effects of nanomaterials, we cannot disregard the research on the health effects of airborne particulates. It is said that many of the fine or ultrafine particles in airborne particulates originate from diesel vehicles in metropolitan areas. The results of not only animal experiments but many epidemiologic surveys and volunteer intervention experiments in humans are reported on the health effects of particles. Although the health effects of the particulate matter particle sizes below 10 μm (PM10) were investigated in the initial studies, recently even smaller particles have come to be regarded as questionable and research of the health effects of the minute particulate matter below 2.5 μm (PM2.5) has been done. However, our recent study about maternal exposure to diesel exhaust suggests that health effect study of PM0.1, particles below 0.1 μm (100 nm), namely nanoparticles, is necessary from now on. We are proceeding with the study of the health effects of various types of intentionally produced nanomaterials such as carbon black, carbon nanotube, fullerene and titanium dioxide, examining in particular their influence on next generation. Although there are differences in the sites affected and the seriousness of the damage, basically similar findings to DEPs mentioned above are being discovered in research on nanomaterials. Regardless of dosage and administration method, such as inhalation, endotracheal administration, nasal drip and subcutaneous administration, once nanomaterials enter the bloodstream of a pregnant mother mouse, they move to the offspring and have effects on them. The effects may appear as various symptoms in the process of growth after birth, and can sometimes lead to the onset and aggravation of serious diseases.
著者
尾崎 昭弘 高田 外司 浦山 久嗣 熊本 賢三 榎原 智美 坂口 俊二
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.727-741, 2006-11-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
23

背部の経穴位置決定の基準とされ、歴史的にも論議が繰り返されてきた「大椎」の経穴位置に焦点を絞りシンポジウムを行った。シンポジストからは、 (1) 経穴の位置は、時代や文化と共に治療対象・治療目的・治療用具によって変化していることから、「大椎」の位置が第2頸椎棘突起上部、第6・7頸椎棘突起間、第7頸椎・第1胸椎棘突起間と変遷してきたのも例外ではないとする見解、 (2) 背部取穴法の基準点である「大椎」の位置が異なると、臨床的価値が無意味なものになるので第6・7頸椎棘突起間に統一すべきであるとする見解、 (3) 頸椎のなかで体表臨床学的に重要なのは第6頸椎であり、運動性と脊椎の区分という点では第7頸椎であるが、鍼灸の発達してきた過程を考えると「大椎」の位置は臨床的効果から決めるのが合理的であるとする見解、 (4) 第7頸椎・第1胸椎棘突起間を国際標準化案として作成しているが、この位置については中国・韓国共に異論がないので現行のままで良いとする見解、が寄せられた。本シンポジウムでは、統一見解をみるには至らなかったが、「大椎」は臨床的にも重要な意義を有しており、今後に検討が必要である。
著者
辻森 樹 原 智美 進士 優朱輝 石坂 知裕 宮島 宏 木村 純一 青木 翔吾 青木 一勝
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

Nunakawaite' (strontiojoaquinite) is an orthorhombic variety of strontiojoaquinite [Sr2Ba2(Na,Fe)2Ti2[Si4O12]2O2(O,OH)2·H2O]; it is a rare joaquinite group mineral that is only found in a riebeckite-bearing albitite in the serpentinite-matrix mélange of the Itoigawa–Omi area. The mineral was originally named after 'Princess Nunakawa' (nunakawa hime) in the Japanese Shinto mythology 'Kojiki'.'Nunakawaite' is characterized by remarkably high Ba, Zr, Nb, Zn, LREEs, MREEs, and enriched in U (35.8–721 µg·g-1), Pb (2.2–31 µg·g-1), and Th (7.42–2365 µg·g-1). LA-ICPMS analyses show highly variable U/Pb (238U/206Pb = 9.245–68.98) and Pb (207Pb/206Pb = 0.0758–0.756) isotope ratios, and the scattered trend define an isochron line with a lower intercept at 89.19 ± 1.07 Ma. The 'nunakawaite' U–Pb age confirms that the 'nunakawaite'-hosted riebeckite-bearing albitite formed at late Cretaceous. This implies that the serpentinite-matrix mélange unit with early Paleozoic jadeitites and late Paleozoic blueschist, eclogite and amphibolite was reactivated by a significantly younger tectonic event.In-situ Sr-Pb isotope analyses show two different isotope trends between Sr-rich accessory minerals in riebeckite-bearing albitite ('nunakawaite' and ohmilite) and those in jadeitite (itoigawaite, stronalsite, vesvianite, Sr-rich epidote). The Sr-Pb isotopes also support the idea that the riebeckite-bearing albitite formed by a fluid-induced metasomatic event different from the jadeitite-forming metasomatism at early Paleozoic. The formation of riebeckite-bearing albitite at ~90 Ma is coeval with late Cretaceous granitic intrusion of the Omi area (youngest zircon U–Pb: 90.8 ± 1.1 Ma: Nagamori et al. 2018). The granitic intrusion might have acted an important role in the formation of 'nunakawaite'. In other words, reactivation of metasomatic mineralization in the Paleozoic serpentinite mélange is recorded in the Cretaceous riebeckite-bearing albitite.
著者
藤原 智美 竹下 温子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成25年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.129, 2013 (Released:2013-08-23)

【目的】食品廃棄物である茶殻は旨味成分が茶葉の約80%も流出しており、飲料としての価値はないが、5大栄養素は変化しておらず、カテキン類も60%近くが残存しており、まだまだ多方面で利用可能である。全国の食品廃棄物リサイクルの用途は肥料・飼料化が75%を占めており、茶殻の肥料化は、新たな商品価値を生み出すと考えられた。また高抗酸化能やグルタミン酸が豊富な事で知られる「茶樹きのこ」はお茶の樹に生息するきのこであり、茶殻を利用した菌床開発により茶樹きのこのような付加価値の高いきのこを栽培できるのではないかと考え、菌床開発および収穫後の成分分析を行う事を目的とした。【方法】菌床はおがくずと米糠が1瓶あたり10:9になるように配合し、含水率を80%に調整したものを基本培地として、茶殻を米糠の10、30、60%置換した培地の計4培地を用意した。1瓶あたり15gの菌を接種後、菌糸蔓延→菌かき→子実体形成の工程を踏み、ヒラタケを栽培した。採取後、HPLC法にて遊離アミノ酸、グアニル酸、DPPH法により抗酸化能の測定を行った。【結果】米糠を30%茶殻に置換することで、他の培地より子実体の形成・成長が早く栽培が容易になることが明らかとなったが、60%置換すると菌糸がうまく蔓延できないことが判った。成分分析の結果、遊離アミノ酸は茶殻を添加することで、アラニン、アルギニン、セリン、チロシン、ロイシン、グルタミン酸が有意に増加し、減少する遊離アミノ酸は見られなかったのに対し、核酸関連物質のグアニル酸は有意に低下してしまうことが判った。今回得られた成分値の変化が味に違いをもたらすのか、官能評価によって今後検討していく。
著者
荻原 智美
出版者
国立音楽大学大学院
雑誌
音楽研究 : 大学院研究年報 (ISSN:02894807)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.217-232, 2021-03

本稿では日本人がハワイの伝統舞踊であるフラhulaを踊ることの意義、日本でフラが学ばれる現状を修士論文で考察するための予備考察として、日本におけるフラの受容とその背景を検討した。フラはハワイに西洋文化が本格的に流入したとされる1820年以前から存在し、ハワイ人の宗教観を伴うものであった古典フラの「フラ・カヒコhula kahiko」と、欧米要素を取り入れた娯楽性の高い現代フラの「フラ・アウアナhula 'auana」に大きく分類される。後者はハワイの観光地としての「楽園」イメージを作り上げるために用いられた。つまり商業的な側面ももったフラである。日本でフラが受容された要因として、商業的な面もあるフラ・アウアナが日本に流入したこと、カルチャーセンターにフラのクラスが設置されたことがある。その受容の背景には日本人がハワイに抱くイメージが影響している。本稿では、まず日本人がハワイに抱いたイメージの変化を確認し、次にカルチャーセンターにおけるフラをみていった。結果、終戦後から海外渡航自由化となる1964年前後まで、日本人にとってハワイは憧れの場所で、「楽園」「夢の島」というようなイメージが抱かれていた。そのような状況において「楽園」を連想させるようなフラ・アウアナは日本で受容された。一方、1970年代以降になると比較的簡単にハワイ旅行が可能になったこと、ハワイ全体で日本人観光客を満足させるための取り組みが行われていたことから、日本人のハワイに抱くイメージは新鮮味に欠ける「定番」の観光地に変化した。初期のフラクラスは1970年代末に設立されたが、カルチャーセンターが拡大したのは1980年代で、参加するために十分な資金と時間のある中年の主婦が主な対象となった。その時期にカルチャーセンターでフラを学ぶ女性たちには、フラ・アウアナが人気であった。しかしハワイが訪れやすい観光地になったことで、現地のフラや音楽の演奏に触れる機会が増加し、ハワイの音楽とフラの習得をしたいと考える「本物志向」の日本人が出現した。そして1990年代初頭から、日本人教師は古典フラのカヒコも教え始めた。このようにハワイに近いフラを目指す動きが強まったことで、ハワイで開催される競技会への参加や、ハワイ人教師とつながりをもつクラスも見られることから、日本においてフラは受容の段階から、展開と発展の時期に入ったと考えられた。今回はフラの受容に関して、ハワイへのイメージとカルチャーセンターという視点から検討したが、さらに他の視点からの検討を行うことが必要になる。またカルチャーセンターの生徒や教師へのインタビューやアンケート調査、フラに関する雑誌の調査により、日本でフラが受容の段階を経て展開と発展したその後の状況、そして日本人がフラに求めているものを考察することを今後の課題とする。
著者
佐藤 安沙子 藤田 智子 阿部 睦子 菊地 英明 桑原 智美 西岡 里奈 倉持 清美
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.61, 2018

【目的】<br> 近年、学校現場における安全・衛生面への配慮が期待されている。中学校家庭科の学習指導要領には、「安全と衛生に留意し、食品や調理用具等の適切な管理ができること。」(文部科学省,2008)とある。田中他(2015)は、大学生の食の衛生管理の実施状況は、下準備・調理時、後片付け時で特に意識が低いことを指摘している。さらに、河村他(2006)によると、生徒にとって調理実習は、楽しい時間であると同時に、調理技能の習得を目指すものであることが明らかとなっている。これらのことから、小・中・高等学校家庭科で衛生管理について学んでいるはずであるが実践されておらず、学校での調理実習においても衛生管理に意識が及ぶことは少ないと考えられる。<br> 本研究では、小・中・高校生の食の安全における衛生管理に関する意識を調査する。学校種間の衛生意識の相違と、ICTを活用した衛生管理に関する授業と調理実習での実践前後の衛生意識の変化を明らかにする。それを通し、授業での衛生管理の扱い方を検討する。<br>【方法】<br>(1)調査対象および調査方法<br> 調査は、東京学芸大学附属小・中・高等学校の児童・生徒を対象に、2017年9~11月に2回行った。1回目は、409名(小5:102名、中2:149名、高2:158名)を対象に、無記名自記式質問紙調査を実施した。2回目は、248名(小5:100名、中2:148名)を対象に、食の安全における衛生管理に関する授業実践と調理実習の後、1回目と同様の調査を実施した。なお、高校では2回目の調査は行わなかった。質問紙調査の有効回答率は、全て100%であった。<br>(2)質問紙調査内容<br> 食の安全における衛生管理について、「家庭」と「学校での調理実習時」の2つの状況において気を付けている程度を5件法で質問した。質問項目は、下準備・調理時、食事時、片づけ時などである。<br>(3)授業実践の概要(小・中学校)<br> ICTを活用した衛生管理に関する授業と調理実習を行った。<br>・小学生:衛生を意識した手の洗い方についての授業を行った。蛍光剤入りローションを手に付け、手洗いの様子を撮影し、手洗い方法や洗い残しについて検討した。調理実習は青菜をゆでた。<br>・中学生:バナナケーキの調理を通して、衛生を意識した食材の扱い方と手洗いについて、授業を行った。バナナの皮を触った後、触れた箇所をシールと映像で記録し、食材の菌の繁殖や手洗いの重要性について検討した。調理実習は煮込みハンバーグである。<br>【結果】<br> 衛生管理に関する授業前の学校種間の意識について比較をした。その結果、家庭においてはほとんどの項目において、「大変気を付けている」と回答した者の割合が、小・中・高の順に高かった。学校においては、小・高・中の順に高かった。これは、小学生は保護者や教員からの衛生管理への意識付けが高いことが考えられる。また、生肉の取り扱いに関しては、家庭・学校ともに中学生よりも高校生の方が気を付けている者が多かった。中学生はまだ学校で生肉を扱った経験がなかったことが影響していると考えられる。<br> 次に、授業前後の意識について比較をした。中学校では、ほぼ全ての項目で気を付けている割合が高まった。特に、手洗いに関する項目は大幅に増加していた。これは授業で重きをおいた、食材に触れた後の手洗いに関する学びの効果であることが考えられる。一方小学生では、意識変化があまり見られなかった。小学生は、衛生管理に関する授業前から意識が高かったことに加え、衛生に関する授業において食材を扱っておらず、具体的な調理場面における衛生意識との関連付けが難しかったことが考えられる。<br> なお、本研究は東京学芸大学平成29年度教育実践研究推進経費「特別開発研究プロジェクト」の研究成果の一部である。
著者
桑原 智美 藤田 智子 倉持 清美 阿部 睦子 菊地 英明
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.60, 2017

【研究目的】<br /><br />厚生労働省の2016年食中毒統計資料によるとノロウィルス、カンピロバクター、植物性自然毒などの食中毒の患者総数が多く挙げられている。小学校家庭科の調理実習で作ったカレーのジャガイモのソラニンによる食中毒(2015年読売新聞)や、高校における冷やし中華によるカンピロバクター食中毒(1992年)なども報告されている。後者では鶏肉に付着したカンピロバクターが手指、器具などを介して調理食品を汚染する二次汚染が発生要因として推定(群馬県伊勢崎保健所)されている。このように調理実習で生じる食中毒は度々報告されており、衛生に関する授業開発は喫緊の課題である。学校現場での衛生管理の問題点を明らかにするために調理室や手洗い後の細菌検査を行った研究(石津、大竹、藤田他 2016)はあるが、生徒の食材の扱い方や食材管理上のリスクついては十分に検討されていない。本研究では、まず、調理実習で使用する食材に付着する菌について調べ、教師が食材管理上気を付ける点を整理する。次に、生徒の食材の扱い方の実態を把握し、衛生面についてどのような指導が必要なのかを明らかにする。生徒が衛生を意識した行動をとれているのかも検討する。<br /><br />【研究方法】<br /><br />1.食材調査:小学校、中学校、高校の教員9名に、調理実習時に使用する食材、衛生面で気になる点について調査した。それを基に、頻回に使われる食材について、培地を使用し菌の発生を調査した。<br /><br />2.調理実習時の生徒の食材の扱い方:都内S中学校、第3学年4クラスで、バナナケーキ調理時にバナナの皮を触った手で、そのまま触る場所を調査した。バナナは皮に菌が付着していることが多いため食材として選定した。2016年11月家庭科の授業(50分)で行った。実習グループ4人のうち1人は、バナナの皮を触った生徒が、その後に触れた箇所を、調理器具や調理台など17箇所を写真で示したチェックシートにシールを用いてチェックした。もう1人はバナナの皮を触った生徒の動きをiPadで録画した(アプリケーションソフト「ロイロ・ノート」使用)。バナナの皮を触った生徒が皮を捨てて手を洗った時点で記録の終了とした。<br /><br />【結果と考察】<br /><br />食材管理の観点から、食材配布時のトレーおよび食材について細菌検査を行った結果、肉には細菌が付着していることが明らかになったが、他の食材については結果にばらつきがあった。食材購入時にすでに細菌が付着している可能性があると考えられ、教員は細菌付着の可能性を踏まえたうえで食材管理をすることを再認識する必要があるだろう。また、細菌検査の結果を、他の教員および児童・生徒向けの教材として用いることは有効ではないかと考えられた。<br /><br />調理実習時の生徒の食材の扱い方について、バナナに触れた38名が、手を洗わないまま触った箇所は、17箇所のうち、0~15箇所、平均は6.9箇所であった。触ったのべ回数は、0~68回、平均は22.2回であった。バナナを触った直後に皮を捨てて手を洗った生徒もいれば、手を洗わずに多くの箇所を触る生徒もいるといったように、個人差が大きかった。触る回数が多い箇所は、蛇口、カップ側面、まな板、カップ内側、包丁であった。食材を触った手で様々なものに触れる生徒もおり、食中毒予防には生徒側の衛生に関する理解が必要であると考えられた。生徒の衛生面に関する配慮は個人差があると推察され、安全に調理実習を行うためには、教育の必要性が再認識された。また食材の扱い方調査において、記録をした生徒の衛生意識が高まっていることが授業後の感想から見て取れた。生徒たちの実態把握の方法としてだけでなく、授業方法としても今回のシールと映像を使った記録方法の有効性が示唆された。<br /><br />なお、本研究は東京学芸大学平成28年度教育実践研究推進経費「特別開発研究プロジェクト」の研究成果の一部である。
著者
宇田 一成 樋口 仁美 土井 悠子 今井 則夫 原 智美 杉山 大揮 米良 幸典
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.43, pp.P-246, 2016

【目的】<br>中期皮膚発がん性試験は投与局所(皮膚)における発がん性評価を目的とし、従来の長期発がん性試験と比べ、使用動物の削減(Reduction)、大幅な試験期間の短縮などのメリットがある。近年では従来医薬品の塗布剤や貼付剤への剤型変更、新製剤または効能追加などによる製品寿命(LCM)の延長戦略により、投与局所(皮膚)の発がん性評価が可能な中期皮膚発がん性試験が用いられている。<br>昨年、中期皮膚発がん性試験で用いるICR系マウスのIGS(International Genetic Standard)生産システムへの移行に伴い、同試験において使用している非IGSマウスとの皮膚腫瘤発生に対する感受性の影響について発表した(第42回日本毒性学会学術年会)。今回は雌雄のIGSマウスを用いて皮膚腫瘤発生に対する雌雄差について検討した。<br>【方法】<br>動物は7週齢の雌雄IGSマウス(Crl:CD1(ICR);日本チャールス・リバー株式会社)を用い、全動物の背部被毛を約2×4 cmの広さで剪毛した後、イニシエーション処置として7,12-Dimethylbenz[<i>a</i>]anthracene(DMBA)を100 µg/100 µLの用量で単回経皮投与した。<br>その1週後より、雌雄各20匹に陽性対照物質である12-<i>O</i>-tetradecanoylphorbol-13-acetate (TPA) を4 µg/200 µLの用量で週2回、19週間経皮投与した(TPA投与群)。また、イニシエーション処置1週間後より雌雄各20匹にアセトンを19週間反復経皮投与する群を設けた(陰性対照群)。<br>投与期間中は発生した皮膚腫瘤を経時的にカウントし、各群における腫瘤発生率及び平均腫瘤発生個数を算出した。<br>【結果・まとめ】<br>TPA投与群では、雌雄共に実験7週時より腫瘤の発生がみられ、発生率は実験18週時に100%に達し、腫瘤の発生時期並びに発生率に違いはみられなかった。また、投与終了時におけるマウス1匹当たりの平均腫瘤発生個数は雄で20.0個、雌で18.8個であった。なお、陰性対照群に腫瘤の発生はみられなかった。<br> 現在、背部皮膚に発生した腫瘤の病理組織学的検査を進めており、その結果とあわせてIGSマウスの皮膚腫瘤発生に対する雌雄差について報告する。
著者
山田 純一 高柳 理早 横山 晴子 鈴木 康弘 篠原 智美 山田 安彦
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.134, no.12, pp.1331-1345, 2014 (Released:2014-12-01)
参考文献数
10

We evaluated the effectiveness of small group discussion (SGD) in association with a drug abuse prevention program for junior high school students. The students first received a lecture about drug abuse prevention, then participated in SGD. The discussion focused on how to take action when tempted to abuse drugs. We gave a questionnaire 3 times; before and after the lecture (before SGD), and after SGD. Seventy-seven students replied to these questionnaires. After the lecture, knowledge about drug abuse was improved and all students answered that they had never abused drugs. However, in answer to a different question, a few students noted that they might use drugs in some situations. We consider it necessary to give more consideration to this problem. After the lecture, 35.5% of the students felt that they had definitely acquired skills for drug abuse prevention, whereas after the SGD this was increased to 73.7%. In addition, more than 75% of the students answered that the SGD program was useful since the opinions of other students could be heard. These results suggest that more students acquired skills to prevent drug abuse by participation in SGD. Our findings showed that SGD was useful and that the students were able to more effectively understand important concepts related to drug abuse prevention.