著者
高橋 大輔 檜澤 伸之 前田 由起子 福居 嘉信 西村 正治
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.1071-1078, 2004
被引用文献数
8

喘息における抗原特異的IgE反応性の意義を検討する目的で, 喘息患者275名と非喘息健常者265名を対象とし, 血清総IgE値及び複数の吸入抗原に対する特異的IgE値を測定した. 少なくとも一つ以上の抗原に対する特異的IgEが陽性の場合にアトピーありと定義し, アトピーやそれぞれの抗原に特異的なIgE抗体陽性者の頻度などを比較検討した. 若年齢(41歳未満)及び中高年齢(41歳以上)健常者の76.5%, 35.7%, 喘息患者の92.1%, 53.4%が, それぞれアトピーと判定された. ダニに対する特異的IgE抗体価は喘息患者で有意に高かった. 一方, アトピーのない対象者でも健常人に比べ血清総IgE値は喘息患者が有意に高値であった. ダニなどの抗原に対するIgE応答(アトピー)は喘息発症のリスクと考えられる. しかし, 喘息病態に伴った抗原非特異的なIgE反応性の亢進が, 喘息患者に見られる種々の抗原に対する特異的IgE抗体の上昇に寄与している可能性も考えられた.
著者
檜澤 伸之
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.117, no.1, pp.15-19, 2014-01-20 (Released:2014-02-22)
参考文献数
20
被引用文献数
1

咳嗽は呼吸器疾患の日常診療では最も頻度が高い症候の一つである. 肺炎, 肺がん, 間質性肺炎や喘息, COPDなどの疾患がないことを確認した上で, 慢性咳嗽の原因疾患を考えていく. 身体所見や胸部X線写真, 呼吸機能検査で異常を伴わずに長期に続く咳嗽は, 原因疾患が曖昧なまま漫然と鎮咳薬, 抗炎症薬や抗生剤が投与され, 咳嗽によって生活の質が著しく低下したままで放置されてしまう危険があり, 適切な対応が求められる. 咳嗽は本来, 感染などによって気道内に貯留した分泌物や吸入された外来異物を気道外に排出させるための生体防御反応である. しかしながら, 8週間以上続く慢性咳嗽においては, 感冒を含む気道の感染症に対する生体防御が主体となることは少ない. 喘息/咳喘息, アトピー咳嗽/非喘息性好酸球性気管支炎, 副鼻腔気管支症候群/上気道咳症候群, さらには胃食道逆流などが慢性咳嗽の主要な原因疾患と考えられている. また, 長引く咳を呈する感染症としては, 線毛上皮細胞に感染するマイコプラズマおよび百日咳を考慮する. 日常の臨床では, これらの疾患を念頭に置いて詳細な病歴聴取を行い, 基本的な検査を進めていく. それぞれの病態に特異的な治療を実施し, 効果判定を行った上で治療内容の変更や増減を行う. しかしながら, これらの治療によっても軽快しない難治性の慢性咳嗽が存在し, その割合は20~40%ともいわれ, 中枢性の咳感受性亢進が難治性の慢性咳嗽に一定の役割を果たしている可能性が指摘されている. 難治症例においては咳嗽の原因に対する治療だけではなく, 亢進した咳嗽反射に対する非特異的な治療も重要になってくる. 慢性咳嗽の診療を支援する目的で日本呼吸器学会は咳嗽に関するガイドラインを作成している. 本稿では, 難治性の症例に対するアプローチなど, 慢性咳嗽を取り巻く最新の話題を, 最近改訂されたガイドラインの内容も踏まえながら概説したい.
著者
檜澤 伸之
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.6, pp.1365-1369, 2013-06-10 (Released:2014-06-10)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

最近のGWASはIL33,TSLPやORMDL3などのストレスや傷害に対する気道の一次防御機構にかかわる遺伝子と喘息発症との関連を示唆している.一方,喘息に影響を与える多くの遺伝子は総IgE値とは関連しておらず,喘息の起源としてのIgE反応性の亢進が疑問視されている.複数の遺伝子が喘息とCOPDとに共通した因子として報告されている.β2刺激薬や吸入ステロイドの反応性も個人差が大きく遺伝因子の関与が存在する.
著者
長谷川 大 南須原 康行 真木 健裕 三浦 巧 別役 智子 檜澤 伸之 西村 正治 小野塚 久夫 筒井 裕之
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.7, pp.1362-1364, 2006-07-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
7
被引用文献数
2

症例は70歳男性. 発作性心房細動に対し, コハク酸シベンゾリン (シベノール®) の服用を開始したところ, 15日目ごろより労作時呼吸困難を自覚し, 25日目に胸部異常陰影を指摘された. 抗生剤投与にて改善がみられないため, 我々はコハク酸シベンゾリンによる薬剤性肺炎も疑い, 同剤を中止した上でステロイド治療を施行した. 肺炎の改善を認めたが発作性心房細動が再発したため, 慎重な観察の下同剤を再開したところ肺炎の再増悪を認めた. 以上よりコハク酸シベンゾリンによる薬剤性肺炎と診断した.
著者
檜澤 伸之
巻号頁・発行日
2012

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:基盤研究(B)2009-2011
著者
松田 ひとみ 久野 譜也 檜澤 伸之 増田 元香 橋爪 祐美 奥野 純子 野村 明広
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究は高齢者の睡眠の質を向上させる方法を明らかにするために、一日の生活活動と休息の状態を評価し、昼寝とナラティブ・ケアの有用性を導き出すことができた。また、その効果測定には、活動量計であるアクティウォッチによる睡眠効率と心拍変動パワースペクトル解析による日中の情動変動の評価が有効であると考えられた。