著者
橋本 貴幸 櫻庭 景植
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100032-48100032, 2013

【目的】 我々は、第45回から47回日本理学療法学術大会において、足部内在屈筋を中心とした足趾把持筋力値の測定方法の確立、トレーニング方法の確立、トレーニングによる筋力値向上効果、アーチ形成効果を報告している。本研究の目的は、確立したトレーニング実施前後の運動パフォーマンスの効果について検証することである。【方法】 身体に際立った既往歴のない健常男性12名の左右それぞれ、計24足を対象とした。平均年齢は、29.3±4.6歳、平均身長172.5±7.3cm、平均体重64.9±12.8kgであった。 足部内在屈筋の筋力トレーニング方法は、第46回本学会報告内容同様とし、期間は8週間、頻度は週3回の1日1回、回数は200回、負荷量は3kgで実施した。 運動パフォーマンスの検査項目は、歩行以上の負荷がかかる動的運動を目的に、上方への跳躍力と左右両下肢の同時運動として垂直跳、左右それぞれの前方への跳躍力および推進力として片脚幅跳、疾走力および両下肢の交互運動として50mダッシュタイムの3項目を設定した。計測時は、靴下および運動靴を使用し、各2期測定時は同様のものを着用した。 垂直跳の測定は、測定値0.1cm毎に表示可能な竹井機器工業株式会社制ジャンプ-MD計測器を使用し数値化した。計測は、2回実施しその平均値を採用した。 片脚幅跳は、文部科学省新体力テスト立ち幅跳と同様の計測方法に準じて、計測下肢の爪先から踵までの距離をメジャーにて計測した。計測は、左右それぞれを交互に2回実施し、その平均値を採用した。 50mダッシュタイムの計測として、スタートの合図は、同一検者がスタートラインより掛け声と腕折で実施し、被検者はスタンディングポジションからスタートしゴールラインに胴が到達するまでに要した時間を同一検者がストップウォッチにてタイム計測した。計測回数は2回実施しその平均値を採用した。 統計処理は、トレーニング前後の値を、対応のあるt-testを用い検討した。なお、統計学的有意水準は危険率5%未満とし、統計処理には、SPSS;Version14.0(SPSS JAPAN Inc.)を使用した。【倫理的配慮、説明と同意】 順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科倫理委員会の承認(21-34号)を得たのち、全被検者に本研究の目的、内容について説明し、書面にて同意を得た。【結果】 垂直跳は、トレーニング前が平均54.6±7.3cm、トレーニング後が平均57.9±7.4cmとなり、トレーニング前後で有意な差(p<0.05)がみられた。 片脚幅跳において、左片脚幅跳は、トレーニング前が平均181.6±17.2cm、トレーニング後が平均196.1±13.9cmとなり、トレーニング前後で有意な差(p<0.01)がみられた。右片脚幅跳は、トレーニング前が平均178.7±15.8cm、トレーニング後が平均193.4±16.2cmとなり、トレーニング前後で有意な差(p<0.01)がみられた。 50mダッシュタイムは、トレーニング前が平均7.41±0.52sec、トレーニング後が平均7.08±0.45sec となり、トレーニング前後で有意な差(p<0.01)がみられた。【考察】 動的検査の3項目では、垂直跳高の増大、片脚幅跳距離の増大、50mダッシュタイムの短縮を認め、トレーニング後に運動パフォーマンスの向上が得られた。Rabitaらは、跳躍機能を高める要素は、筋腱構造と内在筋との硬さが重要であり、神経筋機能へのアプローチも重要と述べており、我々が報告している足部内在屈筋の足趾把持力値増大とアーチ形成に伴う足部の剛性を高められた結果であると推察された。Mannらは、全速力で走る場合、内在筋は体重負荷中常に活動していることを報告しており、負荷が高い条件下での足部内在屈筋活動性の向上が推察された。さらに、足関節底屈動作が頻繁に行われ負荷が高い・走、跳動作において、本トレーニングは底屈位での安定性とPIP・MP関節での駆出力を高められた結果、前方推進力および跳躍力の運動パフォーマンスが向上したと考えられた。【理学療法学研究としての意義】 足部内在屈筋は、着目すべき強化部位である。足部内在屈筋筋力トレーニングは、立位・歩行およびそれ以上の負荷の高い運動パフォーマンス向上に有用である。
著者
利光 孝之 牧野 聖也 北條 研一 鈴木 良雄 仲村 明 高梨 雄太 鯉川 なつえ 長門 俊介 櫻庭 景植 竹田 和由 奥村 康 澤木 啓祐
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.161-172, 2023-04-01 (Released:2023-03-13)
参考文献数
30

This study aimed to evaluate the effects of ingesting yogurt fermented with Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus (OLL1073R-1) on the immune function of healthy university men track and field athletes. Study design Randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel-group study. A total of 37 track and field athletes aged ≥18 years were randomly assigned into two groups. For 2 weeks, two bottles of yogurt fermented with OLL1073R-1 and Streptococcus thermophilus OLS3059 or placebo sour milk were ingested daily to the participants. During the intake period, a 1-week training camp was held and participants were subjected to strenuous exercise. Natural killer (NK) cell activity, which is the primary endpoint, was significantly lower in the placebo group after ingestion than that at baseline; however, it remained unchanged during the pre-exercise level of the yogurt group. The two-way repeated measures analysis of variance showed an interaction effect in the NK cell activity change (P=0.018) and a significant difference between the groups after the 2-week ingestion (P=0.015). Among the secondary endpoints, cytokines and chemokines levels involved in activating innate immunity maintained or enhanced only in the yogurt group. ALT, LDH, and CK significantly elevated only in the placebo group. Furthermore, amino acid levels were significantly lower in the placebo group after ingestion than that at baseline; however, it remained unchanged during the pre-exercise level in the yogurt group. Consuming yogurt fermented with OLL1073R-1 prevents the decline in immune function associated with strenuous exercise. Additionally, the yogurt may contribute to stable physical condition.