著者
殿岡 裕樹
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.2_1-2_6, 2022-06-30 (Released:2022-08-02)
参考文献数
18

わが国の大学等研究教育機関にリサーチ・アドミニストレーター(University Research Administrator,以下URAと呼ぶ)が導入されて,十年あまりが経過した.文部科学省による育成事業(2011~2012年度),その後の各大学等への展開を経て,現在URAは多くの大学において「研究支援を業務とする専門人材」として認知も進んでいる.一方,URA職の導入に先立ち,大学においては産学連携コーディネーター,ライセンスアソシエイト等の名称で研究支援の専門人材が活動しており,これらの専門人材の育成と定着を目的とした支援事業(2008~2012年度)も文科省により実施されている.現在,社会からの要請に応え自分たちのあり方を自分たちで決める必要が生じた国立大学においては,種々の施策やモデル事業で提示された中から自分たちの大学に適した人材を育成し活用してきたところである.こうした背景に鑑み,本特集では,国立大学の中で特に地方国立大学に焦点を当て,産学連携とURAをキーワードにどの様な人材がどの様に活用されているか,鹿児島大学,佐賀大学,福井大学に所属するURAの事例に基づいて紹介する.
著者
磯村 尚子 殿岡 裕樹
出版者
沖縄工業高等専門学校
雑誌
独立行政法人国立高等専門学校機構沖縄工業高等専門学校紀要 (ISSN:1881722X)
巻号頁・発行日
no.8, pp.1-9, 2014-03

高等教育の現場において,バイオテクノロジーの有用性と社会的な影響を学ぶため,遺伝子組換え技術を活用した実験が広く行われている。その実施に当たってはカルタヘナ法に則った厳しいルールが定められるが,カルタヘナ法は,生物多様性条約(CBD)の一部であり,組換え生物の拡散防止は生物多様性の保護という大きな国際的合意に包含される考え方である。そこで本稿では,生物多様性条約の目指す3つのゴール,すなわち1.生物多様性の保護,2.生物多様性の要素の持続的な利用,3.公正で衡平な利益配分,についてこれまでの議論をふまえて全体を俯瞰し,研究や教育上重要と思われる視点と論点を述べる。生物多様性がわれわれ人類にとってかけがえのない財産であるという考え方(エコロジー),人間生活と生物多様性とを両立させるためのマネジメントの観点(ポリシー),更には生物多様性から生じる利益をどの様に共有するかといった論点(エコノミー)のそれぞれについて,近年の動向を紹介し,全体把握の一助としたい。また遺伝資源をめぐるいわゆる南北問題について,利用国と保有国の中間に位置する沖縄のポテンシャルについても簡単に述べる。
著者
西田 睦 昆 健志 高橋 そよ 羽賀 史浩 殿岡 裕樹
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1_30-1_40, 2019

<p>昨今, 世界と日本社会は大きくかつ急速に変化しつつあり,大学が社会で大きな役割を果たすことへの期待がますます大きくなっている.琉球大学は創立時から「地域の発展に貢献する」ことをミッションとしてきたが,期待に応えるためにさらに様々な取組を強化する必要がある.そのための一環として,本学にリサーチアドミニストレーター(URA)が導入された.このURAが所属する研究企画室は,案件によって様々な部署と柔軟に連携を取ることによって,少人数でも効果的な活動を実現してきた.本稿では,4年近くにわたって進めてきた研究企画室の活動を,学内外セクターとの連携強化の試みに焦点を当てて紹介する.</p>
著者
城間 康 安富祖 仁 諏訪 竜一 金城 篤史 殿岡 裕樹 加賀 武史 長山 格 玉城 史朗 マハラジャン ガウリ
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌. D, 産業応用部門誌 (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.139, no.2, pp.166-173, 2019
被引用文献数
1

<p>Mango is a popular seasonal fruit in summer, and mango production in the Okinawa prefecture is the largest in Japan. However, the growth process of mangoes is susceptible to changes in sunshine, temperature, and other factors. In this research, to produce mangoes without being influenced by the natural environment, we will develop a production system that can positively realize environmental measurement and control by using an IoT sensing system. Specifically, we introduced local CO<sub>2</sub> application technology and a supplemental LED lighting system with the aim of activating photosynthesis by mango trees.</p>
著者
磯村 尚子 殿岡 裕樹
出版者
沖縄工業高等専門学校
雑誌
独立行政法人国立高等専門学校機構沖縄工業高等専門学校紀要 (ISSN:1881722X)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.19-26, 2013-03

ネギ属植物のうちタマネギとネギはわが国の農業における主要な野菜品目であり、両者を合わせると年収133万トン、年商2,000億円の市場価値を有している。沖縄県でも伊平屋島や伊是名島でタマネギの産地化が試みられるなど、ネギ類に関する取り組みがなされているが、生産量は年間539トン、生産効率は全国平均比で半分程度とふるわず、この原因としては本州に適したタマネギやネギの栽培品種が沖縄の気候風土に合致していない可能性が考えられた。タマネギには従来栽培されているものの他に、主として熱帯〜亜熱帯域で栽培されているシャロットと呼ばれる分球性のグループが知られており、高温・多湿に強く土壌病害にも抵抗性を持つことから沖縄の気候風土に合致した新たな品目になりうると考えられた。本研究では、シャロット及びシャロットとネギの雑種を用いた栽培試験を行い、その特性を調査した。栽培の結果、シャロットは分球を形成し雑種はネギ様の成長を示すことなどを明らかにした。これらの結果は沖縄におけるシャロット栽培の可能性を示すものであった。