著者
江口 徹
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.774-775, 2001-10-05 (Released:2019-04-12)
参考文献数
2
著者
上野 健爾 加藤 文元 川口 周 望月 新一 高崎 金久 桂 俊行 木村 弘信 山田 泰彦 江口 徹 森脇 淳 加藤 和也 吉田 敬之 三輪 哲二 丸山 正樹
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2002

上野のグループは複素単純リー代数をゲージ対称性に持つ共形場理論(WSWN モデル)とアーベル的共形場理論を使ってモジュラー函手を構成し、このモジュラー函手から構成される位相的場の理論の性質を解明した。また、共形場理論で登場するモジュラー変換を記述するS行列が種数0のデータから完全に決まることを示した。さらに共形場理論の応用として4点付き球面の写像類群のNielsen-Thurston分類を考察し、この分類が正整数n≧2を固定したときに量子SU(n)表現から決定できることを示した。加藤文元のグループはこれまで提案されている中では一番広い意味での剛幾何学の建設を推進し、モジュライ空間の幾何学のもつ数論的側面を代数幾何学的に極限まで推し進めた。望月新一は代数曲線とその基本群との関係およびabc予想の定式化を巡って、代数曲線のモジュライ理論に関する今までとは異なる圏論的なアプローチを行い、函数体や代数体の被覆や因子の概念の圏論的に一般化して捉えることができるFrobenioidsの理論の構築、エタール・テータ函数の理論の構築など、今後のモジュライ理論のとるべき新しい方向を示唆する重要な研究を行った。さらに、モジュライ空間の代数幾何学的・数論幾何学的研究で多くの新しい成果が得られた。無限可積分系の理論に関しては、高崎金久のグループは種々の可積分系を考察し、モジュライ空間がソリトン理論でも重要な役割をしていることを示した。また、パンルヴェ方程式とモジュライ空間との関係、無限次元代数と関係する統計モデルの考察、旗多様体の量子コホモロジーに関して種々の重要な成果が得られた。本研究によってモジュライ空間が当初の予想以上に深い構造を持ち、また数学の基礎そのものとも深く関わり、その理解のためには、さらに数学的な精緻な道具を作り出していく必要があることが明らかになった。また、そのための準備やヒントの多くが本研究を通して明らかになった。
著者
江口 徹
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2006-02

制度:新 ; 文部省報告番号:甲2224号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2006/3/15 ; 早大学位記番号:新4245
著者
中島 光一 水道 裕久 江口 徹 中村 正一 杉原 邦夫 村山 洋二
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.463-471, 1987-06-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
45
被引用文献数
8 5

歯周病の化学療法をめざし, 歯周病原性細菌に有効な抗生物質を選択する目的で, 6菌種の歯周病原性細菌に対する10種の抗菌物質の最小生育阻止濃度, および歯肉縁下プラーク細菌に対する感受性を検討した。その結果, 被験抗菌物質の中でミノサイクリン (MINO), テトラサイクリン (TC), ペニシリンG (PCG), セフメタゾール, クリンダマイシン (CLDM), メトロニダゾール (MD), が黒色色素産生性Bacteroidesに強い抗菌性を示した。さらにMINOはほかの被験菌種に対しても強い抗菌作用を示した。また, 縁下プラーク細菌に対しては, MINO, PCGが強い抑制効果を示し, 1μg/mlの濃度で95%以上の細菌を抑制した。CLDM, TCは5μg/mlで同様の抑制効果を示したが, MD, クロルヘキシジンの抑制効果は低かった。以上の結果より, 歯周病原性細菌に対して強く幅広い抗菌活性を有するMINOは歯周病治療に用いる抗生物質として優先される薬剤であると考えられた。
著者
金銅 誠之 江口 徹 伊藤 由佳理 伊山 修 馬 昭平 菅野 浩明 長尾 健太郎 向井 茂 島田 伊知朗 小木曽 啓示 吉川 謙一 宮本 雅彦
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2010-04-01

いくつかの方程式の共通零点の集まりとして定まる図形(代数多様体)の構造や対称性および図形のある種の分類(モジュライ空間)を行うことが代数幾何の大きな問題である。楕円曲線の2次元版としてK3曲面と呼ばれる代数多様体が19世紀に発見され、現在、数学および数理物理でも興味を持たれている。本研究において、K3曲面のモジュライ空間の構造の解明や、K3曲面の対称性を表す自己同型群の記述などの成果を得た。またK3曲面の対称性とマシュー群と呼ばれる有限単純群との間の不思議な関係を示唆するマシュームーンシャイン現象と呼ばれるものが関心を集めているが、この方面での研究においても成果をあげた。
著者
金銅 誠之 島田 伊知朗 小木曽 啓示 伊山 修 馬 昭平 菅野 浩明 江口 徹
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2015-05-29

研究代表者は標数2、Artin 不変量1の超特異K3曲面を標準被覆に持つエンリケス曲面は3種類に限ること、およびそれらの具体的な構成を与えた。分担者 馬はジーゲルモジュラー多様体上の普遍アーベル多様体やそのコンパクト化上の多重標準形式とジーゲルモジュラー形式の対応を与え、久我族の小平次元の評価を得た。分担者 菅野は複素 Chern-Simons 理論の正準量子化から導かれる U(1) 同変な変形 Verlinde 代数とある種の 4 次元超共形場理論の超共形指数が定める2次元位相的場の理論の対応関係に関して研究を行った。分担者 島田は超越格子のディスクリミナントが小さい特異K3曲面上のエンリケス対合を分類し、さらに階数10の双曲的ユニモジュラー偶格子の交点形式を2倍にしたものから階数26の双曲的ユニモジュラー偶格子への埋め込みを分類した。分担者 小木曽は複素Enriques曲面の自己同型の正エントロピーの最小値を決定し、さらに素体上超越次数が正である任意の奇素数標数の代数閉体上、K3曲面と双有理な滑らかな射影代数曲面でその全自己同型群が非有限生成であるものの存在を示した。また、素体上超越次数が零である任意奇素数標数の代数閉体上では、K3曲面と双有理な滑らかな射影代数曲面の全自己同型群は常に有限生成であることも示した。近年のCohen-Macaulay表現論は、導来圏・三角圏を制御する傾理論の影響を大きく受けて発展していが、分担者 伊山は主要な研究成果に関するサーベイをICM 2018のproceedingsに執筆した。

1 0 0 0 OA String Duality

著者
江口 徹
出版者
The Mathematical Society of Japan
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.293-306, 1998-07-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
43
著者
太田 淳也 深谷 千絵 笠井 俊輔 赤松 真也子 森川 暁 田子森 順子 江口 徹 税所 芳史 河合 俊英 伊藤 裕 中川 種昭
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.336-345, 2013-01-16 (Released:2013-04-24)
参考文献数
24
被引用文献数
1

本研究は糖尿病患者の歯周病罹患状況,ならびにその他の合併症との相互関係を明らかにすることを目的に行われた。被験者は,2010 年 7 月から 2011 年 12 月までに内科に教育入院した 2 型糖尿病患者 105 名(平均年齢 55.4±11.3 歳)とした。評価項目として,現在歯数,プロービングポケットの深さ(PPD),プロービング時の出血(BOP),動揺度を測定した。また,背景因子として年齢・性別・体格指標(BMI)・糖尿病罹患期間・血圧・既往歴,糖尿病合併症に関する評価として網膜症の有無(SDR:単純性網膜症・PPDR:前増殖性網膜症・PDR:増殖性網膜症),腎症の有無,神経障害の有無,動脈硬化性疾患の有無,血液指標を評価し比較検討した。今回の結果から糖尿病合併症である網膜症患者での残存歯数は PDR 患者で他のステージの網膜症患者に比べ有意に少なく(p<0.01 vs SDR, p<0.05 vs PPDR),4〜6 mmPPD 率や 7mm以上 PPD 率では SDR<PPDR<PDR と PPD が深い部位の割合が高くなる傾向を示しているため,網膜症の進行が歯周病の病態悪化になんらかの関与をしている可能性が考えられる。重度の歯周病(最大ポケット深さ 7 mm 以上)を有する患者の割合は腎症以外で有意に高く,糖尿病合併症の有無と歯周病の進行度には相関があることが示された。日本歯周病学会会誌(日歯周誌)54(4):336-345, 2012
著者
猪木 慶治 ZWIRNER Fabi ALVAREZーGAUM ルイス VENEZIANO Ga ELLIS John 加藤 晃史 小川 格 川合 光 風間 洋一 江口 徹 NARAIN Kumar SCHELLEKENS バート ALTARELLI Gu MARTIN Andre JACOB Mauric ALVAREZ Gaum 北沢 良久
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

1.現在、素粒子物理学の中で最も重要な課題の一つに電弱相互作用の自発的対称性の破れの起源という問題がある。標準模型においてはSU(2)×U(1)ゲ-ジ対称性の破れは、素のヒッグス場によって起こるとされているが、本当に正しいかどうかの実験的な確証は得られていない。ゲ-ジ対称性の破れを調べるための鍵として、W_LW_L散乱(W_Lは縦波のW)の研究が重要と考えられる。それは高エネルギ-(E≫m_W)においては、W_Lが等価定理によって南部ーコ-ルドスト-ン(NG)ボソンのようにふるまうからである。標準模型においてはヒッグスの自己結合定数はヒッグス質量の2乗に比例するのでヒッグス粒子が1TeV以下に存在しなければ摂動論は適用できない。猪木は日笠(KEK)と協力して、W_LW_L散乱の分部波振巾を、ヒッグス粒子ドミナンスと破れたカイラル対称性に基づく低エネルギ-定理という一般的要請をつかって、ユニタリティ-を満たすように決定した。すなわち、W_LW_L散乱においてtー、uーチャネルにヒッグス粒子を交換することによってsーチャネルに同じ量子数をもったヒッグス粒子があらわれるという要請をおき、低エネルギ-定理をつかって、I=J=0振巾をヒッグス粒子の自己結合定数λのみであらわすことができた。そしてλ→小のときは標準模型に一致し、λ→大になると標準模型からのずれが大きくなることが分かった。このような理論的予測をLHC/SSC、更にはJLC等の加速器で調べることにより、標準模型をこえた理論をさぐるための突破口としたい。2.LEPの実験結果は、超対称性を持った理論が統一理論の候補として有望であることを示唆しているが、これまでの超対称理論の予言は、摂動の最低次の計算に基づいていた。Zwirner等は近似を進めて中性Higgs粒子の質量および混合角を1ーloopでのふく射補正まで計算し、LEP IおよびLEP IIでのHiggs粒子生成の可能性を分析した。3.Wittenは昨年度、2次元のブラックホ-ルのモデルが可解な共形場の理論の一種で記述される事を示した。こうして得られる2次元のブラックホ-ルは、中心にある特異点においても理論は整合的で破綻せず、特異点と事象の地平線を入れかえるduality変換をもつ、という特有の性質をもっている。2次元ブラックホ-ルを記述するゲ-ジ化されたWessーZuminoーWitten模型は、特異点付近で平坦なU(1)ゲ-ジ場を記述する位相的場の理論に近づく。江口はこの事情をより詳しくみるためにWessーZuminoーWitten模型を超対称化し、これを更にtwistして位相的場の理論を作りその性質を調べた。位相的場の理論はBRS不変性をもつために、経路積分がBRS変換の固定点からの寄与で支配される。ブラックホ-ルのモデルでBRS変換の固定点は中心の特異点に一致する。従って時空の特異点が位相的場の理論で書き表される事がわかった。4.Wittenによって始められた位相的な場の理論は、多様体の位相的構造を調べるための新しい強力な手段であるにとどまらず、2次元量子重力理論が共形不変性を持った位相的な場の理論とみなしうるという発見にともない、物理理論としても非常に重要な性格をおびてきている。通常位相的共形不変理論は、風間・鈴木モデルを代表とするN=2超共形不変理論から江口・梁のtwistingによってえられる。風間は最近、位相的共形代数の一般的構造を調べることにより、今まで知られていなかった新しい位相共形代数を見いだし、位相共形代数の枠を広げた。さらにこの代数が隠れたN=1超共形対称性をもった理論のtwistingにより得られることも示した。5.川合は福間(東大)、中山(KEK)と協力して2次元の重力理論を連続極限として持つようなランダム面の理論を考え、その母関数が満たすべきSchwingerーDyson方程式を調べた。その結果、2次元量子重力や紐の理論の背後にはW_∞という大きな対称性が隠されており、その帰結として、SchwingerーDyson方程式がVirasoro代数やW代数の形式的真空条件として統一的に記述されることがわかった。
著者
江口 徹 佐々木 節 杉本 茂樹 白水 徹也 高柳 匡 向山 信治 細道 和夫
出版者
京都大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2007

宇宙の創成やブラックホールは現代物理学の最大の謎である。これらの謎に挑戦する学際的、先進的な研究を日本の超弦理論と宇宙論分野の研究者が協力して行なった。ブラックホールの量子状態、インフレーション宇宙における非ガウス的揺らぎの生成、ゆらぎのスペクトルのスケール不変性等について非常に興味のある結果が得られた。また、合宿形態の勉強会を持つ事により、素粒子、宇宙論料分野の研究者の連携が強まった。