著者
水野 悠紀子
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.241-248, 2002-05-15 (Released:2010-02-05)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

氷の圧縮実験と光電子増倍管を用いた光(フォトン)の同時計測を行なった.それぞれの時間分解信号から,氷が破壊する時,または,クラックを形成する時に可視光領域(300~650nm)の光を出すことを検証した.さらに,測定波長域が近紫外域(200~320nm)と近赤外域(300~850 nm)を含む光電子増倍管を用い,それぞれ可視域と近紫外域,可視域と近赤外域の同時測定を行った.同時測定の相関から,発光強度が強い光には短波長成分が,発光強度の弱い光には長波長成分が多いことを明らかにした.可視域(300~650nm)の全スペクトルを含む発光強度は破壊時の歪エネルギーの増大とともに増す傾向を示した.しかし,同一の歪エネルギーにおける強度のばらつきは大きく,このことは発光強度が個々のクラックの特性にも大きく依存することを示唆する.氷の破壊時に可視域の光を放出するという事実はクラック表面,または先端で約1.9eV~4.1eVのエネルギーの電荷が形成されると考えられる.
著者
水野 悠
出版者
東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻
巻号頁・発行日
2012-03-22

報告番号: ; 学位授与年月日: 2012-03-22 ; 学位の種別: 修士 ; 学位の種類: 修士(工学) ; 学位記番号: ; 研究科・専攻: 工学系研究科電気系工学専攻
著者
黒田 雅利 島崎 智憲 岩本 達也 秋田 貢一 小林 祐次 水野 悠太
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.154-160, 2023-03-15 (Released:2023-03-20)
参考文献数
13

In order to develop the technique to predict the surface characteristics of fatigue specimens of austenitic stainless steels by controlling finishing processing of lathe turning and shot peening, the applicability of the response surface models formerly created by the present authors using experimental design of experiments approaches to the fatigue specimens with different types and/or rolling conditions of austenitic stainless steels have been investigated. The conclusive remarks could be summarized as follows: (1) The predicted surface residual stress obtained by the response surface model of the lathe turning created for the round bars of SUS304 agreed with the observed surface residual stress of the fatigue specimen of SUS316. (2) The response surface model of the shot peening created for the flat plate of SUS316 was applicable to the prediction of the surface roughness RSm, the surface hardness and the surface residual stress of the fatigue specimen of SUS316 in spite of the different processing of the shot peening and the rolling conditions of the material.
著者
水野 悠紀子 若浜 五郎
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科學. 物理篇 (ISSN:04393538)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.133-145, 1978-03-25
著者
堀口 薫 水野 悠紀子
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

着氷力の評価としては、半世紀以上もの間、低い温度(例えば-5℃や-10℃)での付着面のセン断凍着力が採用されてきた。そして、水との接触角の大きい物質がセン断着氷力が小さいことから、難着雪氷材料として撥水性材料の開発研究が行われ、現在接触角が150度以上の塗料が存在する。我々は氷が付着するメカニズムを解明するために、セン断着氷力の温度依存性を詳しく調べた。その結果、次のことが明らかになった:(1) 撥水性材料(テフロン)の場合、氷の付着面でのセン断着氷力は、温度が高くなると僅かに減少するが、付着面での破壊の型はbrittle failureであった。(2) 親水性材料(ガラス)の場合、撥水性材料に比べて、セン断着氷力の温度依存性は大きく、破壊の型は低温領域(マイナス数度以下)ではbrittle failureであるが、マイナス数度以上の温度領域では破壊はviscou failureであった。(3) セン断着氷力の値自身は、低温領域ではテフロンの方がガラスよりも小さかった。しかし、高温領域では逆にガラスの方がテフロンよりも小さかった。(4) 界面での破壊に必要なエネルギーは、同じ温度では、viscous failureの方がbrittle failureよりも多い。以上の結果から、着氷力のメカニズムは材料と温度に依って異なることが分かった。したがって、着氷防止対策も状況に合わせて異なる。例えば、融点に近い温度での着雪氷の除去を例に取ると、小さな力で除去したいときには親水性材料を用いた方が経済的であるが、少ないエネルギーで除去したいのであれば撥水性材料を用いた方がより経済的であることが分かった。