著者
谷郷 力丸 永井 聖剛 西崎 友規子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第15回大会
巻号頁・発行日
pp.30, 2017 (Released:2017-10-16)

運転行動は,歩行者や他車両とのインタラクションなど社会的な情報処理が必要であり,日常生活において他者に対する共感性が低いドライバは,運転時においても他者/他車両へ配慮する割合が低いことが明らかになっている(西崎ら,2012).本研究では身体化された認知(Embodied Cognition)の概念を用い,運転姿勢を変えることにより,信号のない横断歩道上の走行など社会的な配慮を要する運転場面において,運転行動に変化が見られるか否かドライビングシミュレータを用いた実験によって検討した.また,共感性の個人差が姿勢に及ぼす影響についても検討を加えた.その結果,社会的な行動を要する運転場面のうち,近くに歩行者や他車両が存在する運転場面において,拡張姿勢が収縮姿勢よりも速度が高くなるなど,他者への配慮が低下した運転となることが分かった.しかし,共感性の個人差による差異についてはさらなる検討が必要である.
著者
永井 聖剛 山田 陽平 金谷 英俊 川上 直秋 西崎 友規子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第14回大会
巻号頁・発行日
pp.6, 2016 (Released:2016-10-17)

刺激の大小や速遅などの物理的性質と運動反応の強弱との間にみられる刺激—反応適合性は,オブジェクトに関する概念的性質に対しても生じる。したがって,刺激や運動反応についての性質は抽象化された単純情報次元(例えば,大—小)で共有されるものと考えられる。本研究では,刺激が示唆するパワーと発揮される握力という刺激-運動反応間での適合性について検討した。実験では乳幼児画像,レスラー画像,またはブランク画面が提示され,実験参加者には人物が提示されたき,事前に練習した最大筋力の50 %の出力で握力計を握るように求めた。結果から,非利き手に限り,レスラー画像に対して乳幼児画像よりも大きな握力が発揮されることを明らかにした。利き手では筋力のコントロールが非利き手に比べ正確にできるために,非利き手で大きな効果が出現したものと考察された。
著者
永井 聖剛 山田 陽平
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第11回大会
巻号頁・発行日
pp.27, 2013 (Released:2013-11-05)

創造性には,広範かつ新しい枠組みから物事を捉え新規かつ独創的なアイデアを産み出す「拡散的思考」,制約や状況に基づきアイデアを産出する「収束的思考」の2成分が存在する。創造性を促進する要因として“気分状態”は主要な研究対象であるが,本研究では,認知情報処理は身体の状態や動作に影響を受けるとする“身体性認知(Embodied Cognition)”の枠組みに基づき,「腕を大きく回す動きが(小さく回す動きよりも)広範で拡散的な思考を導き,拡散的思考が促進されるか否か」を検討した。「実在しないコメの名前」を考えるという創造性課題を課し,事前に「○○ヒカリ」という典型的回答を5例提示した。実験の結果,腕回し動作の大小は回答総数には影響を与えなかったが,大きく回す群では小さな群よりも典型例に縛られない非典型的なアイデアの回答比率が高く,拡散的思考が促進されることが明らかとなった。