著者
久保 克弘 村田 義人 山本 景子 西崎 友規子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第15回大会
巻号頁・発行日
pp.31, 2017 (Released:2017-10-16)

全自動運転走行システムの現実的な到達点として,システムが指示した場合にのみドライバが手動に切り替えて運転するという準自動走行システムが想定できる.ドライバがシステムからの切替案内にスムーズに応じるか否かは,他者受容性や機械への信頼感等,複数の特性によって異なることが考えられる.そこで,普通免許を所持する大学生40人を対象にドライビングシミュレータを用いた実験を行った.自動運転開始と同時に,参加者は運転とは異なる課題(計算課題)に集中することが求められた.一定時間経過後に,音声によって切替案内が提示され,その反応時間と切替後の運転安全性の変化を分析した.その結果,他者受容性が高いドライバは受容性が低いドライバに比べて,切替後の運転安全性が有意に低くなった.切替案内に従順に従うことによって,ドライバ自身で安全走行を確認しにくくなった可能性が考えられる.
著者
高橋 ともみ 久保 克弘 篠原 由美子 野沢 桃世 吉崎 美紗 早川 博章 岡 夏樹 西崎 友規子
雑誌
2016年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集 (ISSN:1884197X)
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016-09-16

本研究は人とエージェントがより良い関係を築くことを目的に、ミラー(同調)効果に着目し、人がエージェントに対して親しみを感じるのに適した同調の割合を調査した。また、個人差を考慮して視点取得による検討も併せて行った。
著者
廣田 敦士 市川 淳 早川 博章 西崎 友規子 岡 夏樹
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.231-242, 2019-06-01 (Released:2019-12-01)
参考文献数
18

Humans and animals prefer immediate reward rather than delayed one. In other words, a future reward is felt discounted. The speed of discounting is expressed with the parameter K, which is called discount rate. Problems related to time discounting often occur in everyday life. For example, if we put up with purchasing a product by impulse, we may succeed in savings as a future reward. On the other hand, if we purchase a product by impulse, we will get a satisfaction and an effect of product as an immediate reward at the expense of a future reward. This study focused on embodied cognition for adjusting discount rate easily and solving problems mentioned above. Our experiment revealed that a high-power posture tended to reduce discount rate, which means that savings will be easier to succeed. This occurred only under condition where the reward is small.
著者
西崎 友規子 苧阪 満里子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.220-228, 2004-08-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

The present study addressed the relationship between an individual difference in the reading span test (RST) and the performance in text comprehension with respect to storage and retrieval systems. In Experiment 1, an effect of the serial recall task on performance in text comprehension was compared between high and low RST score groups. In Experiment 2, an effect of the word fluency task on performance in text comprehension of two groups was investigated. The results of both experiments showed that the performance in text comprehension of the low RST score group was impaired when the serial recall task was the secondary task; in contrast, the performance of the high RST score group was influenced when the word fluency task was used. The results suggested that the high RST score group comprehended text not only by using a temporary storage system but also by using a retrieval system efficiently.
著者
西崎 友規子
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.229-234, 2019 (Released:2020-11-11)
参考文献数
34
被引用文献数
1

ユーザ視点に立つ製品開発場面では,個々のユーザに合致した製品やサービスの提供がのぞまれ,ユーザ特性の分析と 分類が必要とされている.本稿は,自動車運転者を主体とした車載機器や搭載システム,運転支援システムの開発や評価場面 で必要とされる,運転者特性の分類方法を紹介し,運転行動の個人差を特徴づけると想定される心理特性(不安傾向,リスク 回避-志向傾向,認知的熟慮性-衝動性,自尊感情,相互独立性-相互協調的自己感,規範意識),ならびに認知機能特性(ワー キングメモリ,注意機能,距離把握力,大局的処理-局所的処理傾向,社会的認知力)を概観する.
著者
谷郷 力丸 高橋 卓見 廣田 敦士 早川 博章 岡 夏樹 西崎 友規子
雑誌
2016年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集 (ISSN:1884197X)
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016-09-16

本研究の目的は、本来完璧であるはずのエージェントが簡単なミスを犯すことによる影響を検討することである。エージェントが店の広報説明を行う際、ミスを犯すか否かによる、人がエージェント、及び広報内容に対する印象の差異を検証した。
著者
西崎 友規子 永井 聖剛
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

複数の課題を同時遂行するといずれかの課題成績が低下する。しかしながら日常生活では,スマートフォンに代表される機能的な機器の広がりと伴に複数課題同時遂行による問題は避けられない。認知資源の容量,さらに容量の配分スタイルの個人差は,多くのワーキングメモリ研究から明らかにされており,日常的な同時課題遂行による問題にも個人差が生じると考えられる。本研究は,個人に応じた適切な容量配分バランスとその方法を知り,安全に複数課題を同時遂行するためのインタフェース設計に生かす指標の作成を目的とした,基礎的な検討を行った。ワーキングメモリ課題で測定されるHigh span群は,聴き取り課題遂行中,低負荷の書字課題を課した際に聴き取り課題の成績が低下したのに対し,Low span群は聴き取り課題の成績は変化せず,高負荷時のみ低下した。また,これらの結果は日常的な“ながら行動”の程度とは関連がなかった。
著者
光國 和宏 市川 淳 堀 紫 池野 湧太 アレクサンドル ルブロン 河本 徹和 岡 夏樹 西崎 友規子
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

Voice User Interface(VUI)を搭載したスマートスピーカー,対話型スピーカーが家庭へ急速に普及している.母親を対象にした家族や育児に関する調査では育児に不安を持つ母親も多く,子ども向け対話型スピーカーの需要も高まることが予想される.今後の家庭における育児支援を期待した対話型スピーカーの研究が複数行われているが,それらの先行研究では,既存のサービスの利用や対話型スピーカーに対する印象調査に留まっている.そこで,本研究では子ども用対話型スピーカーの開発に向けた基礎的知見を創出することを目的とし,子どもと半自律型スピーカーとの対話遊びにおけるインタラクションを観察し分析を行った.実際の使用環境に近い環境で行ったインタラクションの結果を子どもの性格特性と関連付けて分析した.その結果,情緒が安定している,神経質ではない,あるいは幼稚園や保育園に適応していると母親に評価された子どもは,対話型スピーカーとより良い対話遊びを行うことが確認された.新たな対話型スピーカーの開発には子どもの性格特性に応じた振る舞いやデザインが必要である可能性が示唆された.
著者
谷郷 力丸 永井 聖剛 西崎 友規子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第15回大会
巻号頁・発行日
pp.30, 2017 (Released:2017-10-16)

運転行動は,歩行者や他車両とのインタラクションなど社会的な情報処理が必要であり,日常生活において他者に対する共感性が低いドライバは,運転時においても他者/他車両へ配慮する割合が低いことが明らかになっている(西崎ら,2012).本研究では身体化された認知(Embodied Cognition)の概念を用い,運転姿勢を変えることにより,信号のない横断歩道上の走行など社会的な配慮を要する運転場面において,運転行動に変化が見られるか否かドライビングシミュレータを用いた実験によって検討した.また,共感性の個人差が姿勢に及ぼす影響についても検討を加えた.その結果,社会的な行動を要する運転場面のうち,近くに歩行者や他車両が存在する運転場面において,拡張姿勢が収縮姿勢よりも速度が高くなるなど,他者への配慮が低下した運転となることが分かった.しかし,共感性の個人差による差異についてはさらなる検討が必要である.
著者
永井 聖剛 山田 陽平 金谷 英俊 川上 直秋 西崎 友規子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第14回大会
巻号頁・発行日
pp.6, 2016 (Released:2016-10-17)

刺激の大小や速遅などの物理的性質と運動反応の強弱との間にみられる刺激—反応適合性は,オブジェクトに関する概念的性質に対しても生じる。したがって,刺激や運動反応についての性質は抽象化された単純情報次元(例えば,大—小)で共有されるものと考えられる。本研究では,刺激が示唆するパワーと発揮される握力という刺激-運動反応間での適合性について検討した。実験では乳幼児画像,レスラー画像,またはブランク画面が提示され,実験参加者には人物が提示されたき,事前に練習した最大筋力の50 %の出力で握力計を握るように求めた。結果から,非利き手に限り,レスラー画像に対して乳幼児画像よりも大きな握力が発揮されることを明らかにした。利き手では筋力のコントロールが非利き手に比べ正確にできるために,非利き手で大きな効果が出現したものと考察された。