- 著者
-
永田 玲奈
三上 岳彦
- 出版者
- 公益社団法人 日本地理学会
- 雑誌
- 地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
- 巻号頁・発行日
- vol.85, no.5, pp.508-516, 2012-09-01 (Released:2017-11-10)
- 参考文献数
- 15
- 被引用文献数
-
3
3
本研究では,1901~2000年の100年において北太平洋高気圧西縁部の東西・南北変動を示す指数を定義し,その長期変動について明らかにするとともに,日本の17地点における夏季気温変動との関係について解析を行った.その結果,北太平洋高気圧の西縁部は過去100年に南西方向にシフトしていることがわかった.また100年を前半50年と後半50年に分けて比較したところ,前半50年と比べて後半50年には,高気圧西縁部が北(南)にシフトすると気温が上昇(低下)するという有意な正相関を示す地点が多く見られた.1951年以降,Pacific-Japan (PJ)パターンの励起と関係が深い,南シナ海と熱帯太平洋西部との間の夏季海面水温の東西傾度と,高気圧西縁部の南北変動との関係が強まっており,PJパターンが多く発生することで,高気圧西縁部の南北変動と日本の気温との関係が強まったと考えられる.