- 著者
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増田 智恵
村上 かおり
平林 由果
永野 光朗
- 出版者
- 一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
- 雑誌
- 繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.2, pp.165-174, 2009
幅広い年齢の成人女子に適したITを利用した衣服購入用の情報を抽出するため,3次元人体形状イメージ分類を行い,体形イメージおよびサイズの異なる日本人成人女子のほぼ3世代(20-40-70代)の平均的3次元人体モデルを着衣基体として設定した.幅広い年齢の成人女子が評価可能なデザインイメージ評価用語を抽出し,それによる3次元着装シミュレーションによる実際のデザインイメージ評価を一連の研究として試みた.本報では実際の衣服選択のためのデザインイメージの分類と各イメージの特徴を示すデザイン要素,衣生活スタイル,印象などを抽出し,さらに具体的な服のデザイン要素からデザインイメージを予測した.高齢社会での消費者のためのネットなどを利用した衣服選択支援情報の抽出につながる情報が得られた.<br> 1. 3世代の平均的3次元人体モデルによる20種類の合計60のデザイン服のイメージをクラスタ分類した結果,前報で抽出した2つの主成分に対応したA1. レディ・フェミニン・A5. エレガント,A3. カジュアル,A4. スタンダード・レトロ,A2. シャープ・モダンの4つのイメージに分類された.サイズの異なる年代別でのデザイン服による大差はなく,同じデザイン服は同じ分類のイメージになった.<br> 2. 4つのイメージのデザイン要素,衣生活スタイル,印象などの主な特徴は次のようであった.A1&A5イメージ : スカートスーツやブラウススタイルなど,派手な色や無彩色の薄い素材の上衣でフット性の高い下衣など,背が高く体形カバーのあるデザインで,年上,異性,同年代の印象が良く,フォーマルおよびショッピング用の衣服傾向―A3イメージ : 上衣と下衣の組み合わせでキュロットやパンツにTシャツスタイルなど,柄物で柔らかい上衣,派手な色の下衣,若い年代や同性の印象が良く,家庭着で家族で利用可能な衣服傾向,A4イメージ : スカートスタイルに,柄のある袖やえり付きの上衣に派手な色の薄い素材でフット性のあるデザインの下衣など,家庭着でもフォーマルまた家族での利用も可能な汎用性のある衣服傾向一A2イメージ : パンツスーツやジャケットスタイルなど,明るく濃い色の上衣で,下衣は濃い色のミニ丈のものなど,細い体形に見えるデザインで若い年代での印象が良く,ショッピング用衣服傾向,であった.<br> 3. 4つのイメージを具体的なデザイン要素を用いて,2つの式 {<i>Y3</i>(R=0.98) : A1&A5-A3, <i>Y4</i>(R=0.96) : A4-A2} から精度良く予測可能とした.予測精度の高いデザイン要素でまとめると,A1&A5は主にフット性の高い下衣,派手な上衣,スカートスーツのデザインから<i>Y3</i>の予測値が大きく,逆のイメージのA3は主に鮮やかな色の下衣,柄物やTシャツの上衣で,上衣と下衣の組み合わせなどのデザインから<i>Y3</i>の予測値が小さく予測可能であった.A4は主に袖のある上衣と下衣はスカートのデザインから<i>Y4</i>の予測値が大きく,逆のイメージのA2は鮮やかな色,濃い色でフット性が高い下衣に対して,同じ濃い色,明るい色,無彩色でえりのあるミニ丈の上衣などで,パンツスーツなどのデザインで<i>Y4</i>の予測値が小さく予測可能であった.