2 0 0 0 OA 新年のご挨拶

著者
江藤 文夫
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.19-20, 2005-01-18

新年明けましておめでとうございます 昨年はリハビリテーション(以下,リハ)科専門医の広告に係る申請が厚生労働省により受理されました.日本専門医認定制機構の中では基本領域診療科の一つとしてリハ科の認知度の高まりを感じます.同時に,国民の健康の維持と向上に寄与するリハ医療の充実と普及のために専門医制度をさらに整備し,期待に応えるため一層の努力が必要です.わが国の専門医制度の確立に向けた活動は1981年に学会認定制協議会の発足をもって本格化しましたが,未だ数多くの課題を抱えています.リハ科専門医の社会的認知は,
著者
溝口 環 飯島 節 江藤 文夫 石塚 彰映 折茂 肇
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.30, no.10, pp.835-840, 1993-10-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
14
被引用文献数
17 29 17

痴呆に伴う各種の行動異常は介護者にとって大きな負担となるが, 行動異常を定量的に評価する方法はまだ確立されていない. そこで, Baumgarten らの Dementia Behavior Disturbance Scale (DBDスケール) を用いて, 痴呆患者の行動異常の評価を試み, 評価法の信頼性と妥当性ならびに介護者の有する負担感との関連について検討した.痴呆群27例 (アルツハイマー型21例, 脳血管性6例, 男性9例, 女性18例, 平均年齢77.7歳) および神経疾患を有するが痴呆のない非痴呆群17例 (男性2例, 女性15例, 平均年齢76.8歳) の外来通院患者と施設入所痴呆患者10例 (アルツハイマー型9例, 脳血管性1例, 男性2例, 女性8例, 平均年齢82.3歳) を対象とした. DBDスケールは, 28項目の質問からなり, 異常行動の出現頻度を5段階に分けて介護者が評価した.DBDスケールの信頼性については, 再テスト法の相関係数0.96, Cronbach のα係数0.95, 評価者間信頼性は Intraclass Correlation Coefficient (ICC) 平均0.71と何れも高い値を示した. 妥当性については, DBDスケール得点と簡易知能質問紙法 (SPMSQ) 誤答数との相関係数0.54と知的機能との相関は良好であった. DBD得点とアンケートで評価した介護者の負担感との間に有意の相関を認め (r=0.53), 介護の負担度を反映し得る指標としての有用性も示唆された.DBDスケールは, 痴呆に伴う行動異常の客観的評価や経過観察の方法として信頼性が高く, 介護負担も反映しうる有用な評価法である.
著者
粕谷 大智 山本 一彦 江藤 文夫
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.773-779, 2003-07-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1 4

長期透析患者に起こる合併症の一つにアミロイドーシスを主因として引き起こされる透析性脊椎症がある。これはβ2-ミクログロブリンの異常蓄積を原因とし, 靭帯や関節などの軟部組織に沈着し, 炎症反応と線維化, 靭帯肥厚を伴いつつ, 靭帯付着部を中心に骨・軟骨破壊が進行する。これら軟部増殖性病変と骨・軟骨破壊により脊柱管狭窄を生じ, ついには脊髄, 馬尾の圧迫をきたし, 種々の臨床症状を呈するに至る。今回我々は透析性脊椎症によって腰部脊柱管狭窄を起こし間欠破行を呈した2症例を経験したので鍼治療の効果について検討した。鍼治療は狭窄部位を中心に置鍼術にて週1回の頻度で約3ヵ月行った。その結果, 症例1の神経根型は跛行距離およびJOAスコアの改善が著明に認められ, 症例2の混合型は症例1に劣るものの跛行距離の若干の改善およびJOAスコアの改善 (特に痛みの軽減) が認められた。透析性脊椎症による腰部脊柱管狭窄症を呈する透析患者に対して鍼治療は, 効果が期待できることが示唆された。
著者
粕谷 大智 江藤 文夫
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.12, pp.836-841, 2004-12-18

関節リウマチ(以下RA)は,関節を主症状とする全身性の慢性炎症性疾患である.寛解と増悪を繰り返しながら徐々に進行し,治療しないで放置すると関節の破壊と変形をきたし,日常生活の活動を著しく低下させる.RA患者の病苦は単に患者の身体面のみにとどまらず,広く精神的,社会的,経済的側面を含む生活全体に及んでいる.近年,このようなRA患者の多面的病苦をQOL(quality of life)の視点から総合的に捉え,これを定量的に測定することにより,患者個人の健康レベルの評価や疾患の臨床経過のフォローアップと治療に役立てていこうとする試みがなされるようになった.2002(平成14)年度の厚生労働省の調査によれば,骨関節,リウマチ性疾患は脳血管障害と並んで,肢体不自由の主要を占めており,脳卒中,老衰,転倒骨折に続く寝たきりの原因の第4位を占めている.一方,厚生労働省が毎年行っている国民健康調査によればRA患者の3〜10%は医療機関と併せて鍼灸,マッサージの治療を受けており,臨床上疼痛の軽減や可動域の拡大などを認めており,QOL向上に役立っている.