著者
深津 章子 宮本 佳代子 大久保 研之 池本 真二
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.678-685, 2018-10-30 (Released:2018-10-30)
参考文献数
20

低炭水化物食に伴う脂質摂取量の増加が若年女性の糖質・脂質代謝に及ぼす影響を評価した.クロス・オーバー方式にて,早朝に各試験食を負荷した後,次の食事(セカンドミール)として共通の昼食を摂取させて,摂取前後の血糖値,血清インスリン,遊離脂肪酸,中性脂肪,ケトン体濃度,およびヘパリン静注前血清リポ蛋白リパーゼ量を測定した.試験食は標準(Control)食(炭水化物:C 60 %,脂質:F 25 %),低炭水化物・標準脂質(LCAF)食(C 30 %,F 25 %),低炭水化物・高脂質(LCHF)食(C 30 %,F 45 %)である.LCAF食とLCHF食は朝食後の血糖上昇を抑制したが,昼食後の血糖値はControl食に比し,LCHF食で上昇しLCAF食で抑制した.LCHF食のセカンドミール摂取前後の遊離脂肪酸と摂取後のインスリンは高値を示したことから,LCHF食はインスリン抵抗性を惹起したと考えられた.
著者
深津 章子 宮本 佳代子 諸澤 美里 大久保 研之 池本 真二
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.673-681, 2022 (Released:2022-12-01)
参考文献数
53

低炭水化物食への注目が続く中、その効果と安全性を担保する栄養指導の実践方法は、十分に確立されていない。本ナラティブ・レビューは、低炭水化物食に関する研究結果を見る要点を整理するとともに、低炭水化物食の功罪を概論した上で栄養指導の方法論を提言する。低炭水化物食の研究で用いられる食事の炭水化物量には幅があり、比較対照には種々の食事が用いられる。また、対象者の脱落や食事の遵守度の低下は食事療法の評価を難しくする。低炭水化物食の体重減少や糖尿病管理への効果は、長期的には低脂質食等他の食事に比べて差異は見られない。低炭水化物食は高脂質、高たんぱく質、食塩過多になりやすく、動脈硬化性疾患の危険性が懸念される。食生活に取り入れやすい利点を生かすためには、炭水化物の摂取量を示した上で、植物性たんぱく質や多価不飽和脂肪酸を炭水化物の代替としたり、減塩したりする等の丁寧な指導が不可欠である。
著者
池上 幸江 山田 和彦 池本 真二 倉田 澄子 清水 俊雄 藤澤 由美子 由田 克士 和田 政裕 坂本 元子
出版者
日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.285-302, 2008-12-10
被引用文献数
3 7

食品成分表示・栄養教育検討委員会ではこれまで栄養成分表示に関する調査を行い,報告書として発表し,また栄養成分表示や健康強調表示に関するシンポジウムなどを開催してきた。前期の委員会では栄養成分表示と健康強調表示に関する意識調査を多様な対象者について行った。今期はこの調査結果を以前の調査と比較しながら,報告書としてまとめることとした。また,今後は新たな調査も加えて,栄養教育の観点から栄養成分表示や健康強調表示のあり方について,一定の見解をまとめた。本調査では,栄養成分表示,健康強調表示については,特定保健用食品や栄養機能食品,「いわゆる健康食品」について,認知,利用,情報源などについて調査した。その結果,<br>(1) 栄養成分表示は広く見られており,健康維持や増進のために利用されている。しかし,現状の表示は分かりにくく,また対象食品が限られていることから,消費者は改善を望んでいる。これらの結果は前回調査と同様であった。<br>(2) 特定保健用食品の認知度はきわめて高く,利用もされていた。とくに若い世代,学生での認知や利用が高いが,高齢者や生活雑誌読者での利用は低かった。他方,関心のある保健の用途は「体に脂肪が付きにくい」や「お腹の調子を整える」,「腸内環境を整える」などであった。しかし,保健の用途の関心と成分の関連には十分な認識がなく,消費者への情報提供が十分ではないと思われた。<br>(3) 栄養機能食品に対する認知や利用は特定保健用食品に比べると低かったが,世代間の傾向は(2)の特定保健用食品と同様であった。<br>(4)「いわゆる健康食品」の利用については特定保健用食品の利用とは異なる傾向を示した。すなわち年齢階層による差異が少なく,高齢者による利用も高く,特定保健用食品とは異なっていた。<br> 「いわゆる健康食品」に関する情報源はテレビや知人・友人からのものが多く,科学的な根拠の入手が困難な状況にあることを反映している。今後「いわゆる健康食品」の有用性や安全性の確保についてどのような制度を作るかが課題と思われる。
著者
池本 真二
出版者
Japanese Association for Dietary Fiber Research
雑誌
日本食物繊維研究会誌 (ISSN:13431994)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-8, 2000-07-28 (Released:2011-07-04)
参考文献数
23

There has been increasing reports concerning several physiological responses, such as lowering of plasma cholesterol levels, modification of glycemic response, improving large bowel function, and lowering nutrients availability. According to recent evidences, most isolated fibers that are water soluble will lower plasma cholesterol in humans and animals. These include pectins, psyllium, and various gums such as guar gum, locust bean gum and modified celluloses such as carboxymethylcellulose. Consumption of fiber-rich sources containing water-soluble fibers, such as oat bran, barley (sources of β-glucan fiber), legumes, and vegetables, usually results in a lowering plasma cholesterol. In this review, I will describe two different meta-analysises and some mechanisms of these action including its effects on cholesterol synthesis rates, VLDL secretion rates, LDL turnover rates and susceptibility of LDL to oxidation.