著者
吉﨑 由美子 金 顯民 奥津 果優 池永 誠 玉置 尚徳 髙峯 和則
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.110, no.3, pp.170-178, 2015 (Released:2018-04-16)
参考文献数
16
被引用文献数
3 3

本研究では韓国麹「ヌルク」を用いた焼酎商品化の可能性について検討した。10種類のヌルクの発酵能力を確認したところ,米麹と比べ全てのヌルクで発酵能が弱かった。しかし,その中でも2種のヌルクは比較的高い発酵能力を示した。ヌルクに含まれるα-アミラーゼとグルコアミラーゼは米麹とほぼ同等であり,生デンプン分解活性に関してはヌルクの方が高かった。ヌルクに含まれるデンプン質の糊化度は米麹と比較して低く,糊化度の低さがヌルクの緩やかな発酵に影響していることが強く示唆され,糊化度をもとに発酵能力の高いヌルクを選抜できる可能性が示された。ヌルクを用いて製造した米焼酎の官能評価は,米麹を利用した焼酎より酸臭と酸味がある一方で,華やかであった。さらに,一次仕込み時に焼酎酵母を添加することでヌルクを使用した米焼酎の酸臭および酸味を抑制できる可能性が示唆された。また,ヌルクに含まれる酵母の1つとしてSaccharomyces cerevisiaeを同定し焼酎製造に適した微生物をもつことが確認された。 本研究は韓国RDAとの共同研究(Project No. PJ008600)で実施された。
著者
池永 誠 大島 行彦 清水 正夫 後藤 紀夫 渡辺 龍彦 吉田 勝明 宮内 邦浩 中村 秀夫 朝永 哲弥 比企 能樹
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.1116-1120, 1990-05-01
被引用文献数
15

大腸穿孔21例を対象とし, 穿孔部位, 原因, 臨床症状, 手術時期, 手術術式, 術後経過より検討した. これは虫垂炎を除く消化管穿孔例97例の 21.6%, 大腸手術例173例の 12.1% にあたった. 大腸穿孔の確定診断は, 遊離ガス像の出現率が 33.3% と低い事もあり必ずしも容易ではないが, われわれは発症6時間以内に11例 (52.4%) と早期に手術を施行し全例救命しえた. 大腸癌穿孔は8例にみられ大腸癌手術の 6.1% にあたり, 全例に治癒切除を施行した. 累積生存率は Kaplan-Meier 法にて2年生存率 100%, 5年生存率 75.0% であった. 同期間の全大腸癌例の5年生存率は 65.1%, 治癒切除例の5年生存率は 79.8% であり, 穿孔例, 非穿孔例の間に差異は認められなかった. 穿孔例といえども癌に対する積極的な治療を行うべきと考えられた.