著者
池田 宥一郎 飯塚 博幸 山本 雅人
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

近年の情報科学の発展は,動物行動学の研究に大きく寄与している.我々は札幌市円山動物園において人工知能により動物を管理する負担の軽減を試みを行っている.我々の目標の1つは,健康管理と飼育環境の整備のためにチンパンジーのエソグラムを自動的に作成することである.エソグラムとはある特定の個体や種の全行動パターンの目録であり,動物の行動を研究するうえでもっとも基本的な記録である. エソグラムの作成には個体識別が必要があるため,本研究では画像認識分野で高い精度を出している畳み込みニューラルネットワークを用いて個々のチンパンジーを認識できるか検証した。 実験の結果,我々のシステムはチンパンジーの個体識別が可能であることを示した。
著者
春日 遥 大橋 真智子 山本 将隆 小西 祐輔 北村 春菜 池田 宥一郎 村井 貴
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1_30-1_35, 2021-03-31 (Released:2021-03-19)
参考文献数
11

「アニマルめがねラボ」は小学3年生から中学3年生までを対象にした、バーチャル・リアリティ映像作品を用いたサイエンスコミュニケーションイベントである。子どもには難しい「動物の視覚」を題材に、バーチャル・リアリティによる直感的理解だけではなく、場のデザインにより教育効果を高める工夫を行った。多様な動物に実際に会える動物園という場の相乗効果を狙った開催場所の選定や、架空の研究所「アニマルめがねラボ」としてディティールにこだわった場の演出を行った。イベントに参加した子ども達は「リクガメとヌマガメの視力」、「イヌとネコの色覚」、「ヤモリとカエルの動体視力」の3つのブースを通して、多様性に富む生き物の視覚を学習し、更なる学習への意欲や動物への関心を得た。
著者
春日 遥 池田 宥一郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.1764-1778, 2021-11-15

これまでSiriやAlexaなどのコミュニケーションを主体とするエージェントが家庭に導入されてきた.一方で,家庭においてヒトとより長い間コミュニケーションをとってきた存在として,伴侶動物があげられる.代表的な伴侶動物であるイヌでは,エージェントが会話により飼い主の関心を独占する場合,飼い主の反応の観察から新奇物であるエージェントへの警戒を和らげるというポジティブな反応や,嫉妬行動を誘発するというネガティブな反応が誘発されると考えられる.嫉妬行動は対象の形状にも依存することから,どのような形状のコミュニケーション・エージェントであれば家庭において飼い主ともイヌとも良い関係性を構築できうるか調査する必要がある.本研究ではプリミティブな形状のスマートスピーカ(Google Home),大小の2台のヒト型ロボット(NAOとPepper),イヌ型スマートスピーカの4条件を用意し,飼い主-エージェントの2者間の調査と飼い主がエージェントにポジティブに接するときのイヌの行動観察という3者間の調査を行った.32人のイヌの飼い主の印象評価の結果,ヒト型ロボットが好まれ,イヌ型スピーカはGoogle Homeよりも印象が悪かった.一方で,2名のイヌの訓練士が評価した21匹のイヌの行動分析の結果,飼い主-エージェント間のやりとりの観察後にイヌ型スピーカに対しては臀部の臭いを嗅ぐなど後部の接触を行った個体の割合が他のエージェントよりも有意に高かった.この結果は,イヌの飼い主が好ましいと感じるエージェントとイヌが関心を持つあるいは接触がしやすいエージェントの形状が異なる場合があるということを示唆していた.
著者
池田 宥一郎 飯塚 博幸 山本 雅人
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.1B1OS11a05, 2018 (Released:2018-07-30)

近年の情報科学の発展は,動物行動学の研究に大きく寄与している.我々は札幌市円山動物園において人工知能により動物を管理する負担の軽減を試みを行っている.我々の目標の1つは,健康管理と飼育環境の整備のためにチンパンジーのエソグラムを自動的に作成することである.エソグラムとはある特定の個体や種の全行動パターンの目録であり,動物の行動を研究するうえでもっとも基本的な記録である. エソグラムの作成には個体識別が必要があるため,本研究では画像認識分野で高い精度を出している畳み込みニューラルネットワークを用いて個々のチンパンジーを認識できるか検証した。 実験の結果,我々のシステムはチンパンジーの個体識別が可能であることを示した。