著者
池田 文人
出版者
国立大学入学者選抜研究連絡協議会
雑誌
大学入試研究ジャーナル
巻号頁・発行日
vol.19, pp.95-99, 2009

AO入学者の学力不足を理由に,AO入試の撤廃を含む見直しが各大学ではじまった。本研究では,北海道大学が2005年度から導入したGrade Point Average(GPA) を用いて,2005年度入学者を対象に,AO入学者の学業成績が,一般選抜による入学者に比べて劣るかどうかを検証した。この結果,AO入学者の学業成績は他の入学者に比べて劣っているという確証は得られなかった。今後は,2005年度より前の学業成績を含め,より多くのデータを対象に分析を行って統計的な精度を高める必要がある。また,AO入学者が本来その入試によって求められている資質や適性を評価できる指標を開発する一方で,GPAに基づく学力の分析を継続し,資質や適性が発揮されるまでの学業の支援体制を検討していく必要がある。
著者
池田 文人
出版者
北海道大学高等教育推進機構
雑誌
高等教育ジャーナル : 高等教育と生涯学習 (ISSN:13419374)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.55-61, 2018-05

All universities in Japan are required to evaluate three aspects of academic ability in a multifaceted and comprehensive manner in the entrance examination. The learner’s ability to ask questions is deeply involved in these elements. Therefore, it is necessary to develop a method to evaluate this ability. In this research, I divided the ability to ask questions into (1) the ability to notice implicit information and (2) the ability to express the information without bias in an adequate question form. I then verified the reliability of this method, which contained 12 evaluation viewpoints of the meta-model for each ability. There was insufficient reliability with either point 1 or 2 alone. However, sufficient reliability was obtained when the two were combined. I plan to improve the reliability of each evaluation item and proceed with the verification of each validation point as well.
著者
池田 文人
出版者
知識共創フォーラム組織委員会
雑誌
知識共創 : Knowledge Co-Creation (ISSN:2185971X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.III7-1-III7-10, 2011-03

「思いこみ」とは情報に対する我々の解釈であり,情報と情報を結びつける脳の働きである.人間は,多くの情報があっても,自分に都合のよい,偏った情報だけを強く結びつけてしまう.このような局所的思いこみはその他の情報を排除しがちであり,非創造的思いこみである.そこで,思いこみを持たないコンピュータにより,人間の局所的思いこみを解消し,新しい情報をより多く結びつけた大局的思いこみ=「創造的思いこみ」の形成を支援するHCIモデル“ZERO(Zapping by Encompassing & Reintegration by Orchestrating”とそのための新しい知識表現方法“ GPR(Gestalt Prägnanz Representation)を提案する.被験者を用いた紙媒体による模擬実験によりZEROの効果を統計的に検証した.今後はコンピュータへの実装と実際にそれを使用した場合の評価を進める.
著者
池田 文人
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.271-274, 2006

人間には少ない情報から結果を推論できる能力がある。この能力のために「思いこみ」が生じ、日常生活で様々な「失敗」が生まれる。しかし、「思いこみ」は多様な個性を生み出し、社会の活力になる。こうした「思いこみ」の二面性について企業における事例を紹介するとともに、個々人の「思いこみ」を生かしながら「思いこみ」による失敗を回避するような大学教育における取り組みを紹介する。
著者
池田 文人
出版者
北海道大学高等教育機能開発総合センター
雑誌
高等教育ジャーナル : 高等教育と生涯学習 (ISSN:13419374)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.147-154, 2007-12

Although the background for Finnish PISA (Professional for International Student Assessment) success has been discussed from various viewpoints, Finnish education’s view of knowledge has not been reported yet. Its view makes us aware of fundamental problems in Japanese education. In this paper, Finnish education’s view of knowledge and its knowledge acquisition processes are elucidated by comparing Finnish education and Japanese education. Based on this comparison, an improvement plan for Japanse education is discussed.
著者
池田 文人 鈴木 誠 加茂 直樹
出版者
国立大学入学者選抜研究連絡協議会
雑誌
大学入試研究ジャーナル
巻号頁・発行日
vol.17, pp.51-55, 2007

本学は平成13年度からAO入試を導入し、平成16年度末に学部卒業者を輩出した。そして今年度末には大学院へ進学した学生たちが修士課程前期を修了する予定である。AO入試は一般入試に比べて受験者も大学側も労力がかかる入試である。それだけにAO入学者に対する期待は大きい。本研究では、AO入学者が一般入試による入学者と比較して、(1)各高等学校の優秀な生徒であるか、(2)入学後の成績が良好であるか、(3)大学院へより多く進学している、の三つの指標について検証した。その結果、(1)と(3)については期待通りと言えそうであるが、(2) については期待通りとは言えないこと、しかし、成績のばらつきは一般入学者に比べて大きいことが分かつた。総じて、これら三つの指標については、AO入学者は一般入学者とは異なることが言えそうである。