著者
池田 文人
出版者
国立大学入学者選抜研究連絡協議会
雑誌
大学入試研究ジャーナル
巻号頁・発行日
vol.19, pp.95-99, 2009

AO入学者の学力不足を理由に,AO入試の撤廃を含む見直しが各大学ではじまった。本研究では,北海道大学が2005年度から導入したGrade Point Average(GPA) を用いて,2005年度入学者を対象に,AO入学者の学業成績が,一般選抜による入学者に比べて劣るかどうかを検証した。この結果,AO入学者の学業成績は他の入学者に比べて劣っているという確証は得られなかった。今後は,2005年度より前の学業成績を含め,より多くのデータを対象に分析を行って統計的な精度を高める必要がある。また,AO入学者が本来その入試によって求められている資質や適性を評価できる指標を開発する一方で,GPAに基づく学力の分析を継続し,資質や適性が発揮されるまでの学業の支援体制を検討していく必要がある。
著者
池田 文人 鈴木 誠 加茂 直樹
出版者
国立大学入学者選抜研究連絡協議会
雑誌
大学入試研究ジャーナル
巻号頁・発行日
vol.17, pp.51-55, 2007

本学は平成13年度からAO入試を導入し、平成16年度末に学部卒業者を輩出した。そして今年度末には大学院へ進学した学生たちが修士課程前期を修了する予定である。AO入試は一般入試に比べて受験者も大学側も労力がかかる入試である。それだけにAO入学者に対する期待は大きい。本研究では、AO入学者が一般入試による入学者と比較して、(1)各高等学校の優秀な生徒であるか、(2)入学後の成績が良好であるか、(3)大学院へより多く進学している、の三つの指標について検証した。その結果、(1)と(3)については期待通りと言えそうであるが、(2) については期待通りとは言えないこと、しかし、成績のばらつきは一般入学者に比べて大きいことが分かつた。総じて、これら三つの指標については、AO入学者は一般入学者とは異なることが言えそうである。