著者
軽部 大蔵 深川 義隆 本田 周二 河井 克之
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.665, pp.1-18, 2000-12-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
15

大水深の海域に大規模な埋立地を造成すると, 大きな荷重増加が海底地盤の深所にまで及ぶことになる. このことが造成地の沈下挙動の予測に幾多の問題を引き起こしている. 本論文は, 神戸ポートアイランドおよび六甲アイランドの多くの地点や構造物について続けられている長期沈下測定記録の一部を埋立経歴とともに整理したものである. それによれば, プレローディングは, その撤去後の地表面沈下の軽減に有効であり, このことは, 地震時沈下にも当てはまる. また, 双曲線法の長期沈下予測への適用性も詳しく検討され, その限界が示された.
著者
小谷 稔 飯塚 敦 河井 克之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題) (ISSN:21856621)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.46-57, 2015 (Released:2015-12-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1

災害時の不確実な情報から,意思決定者は災害対応の決断をしなければならない.この決断を下す際に「対応の迅速性」と「情報の正確性」のどちらを優先するかといった意思決定者のジレンマが存在する.この優先度の違いによって,災害対応の結果は異なってくる.そこで本研究では,災害発生後の死亡者数の時間変化をワイブル分布で近似し,逐次得られる死亡者数から最終死亡者数を求めるベイズ推定モデルを構築した.過去の地震災害事例を用いた最終死亡者数を考察することにより,災害対応の決断を下す時間帯を見積もることができ,これは意思決定者のジレンマ軽減に資するものと考える.
著者
河井 克之
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2009

沙漠化の主要因の一つである塩害は,不適切な灌漑などの人為的要因と長期の乾湿繰り返しといった自然要因によって起こるため,地盤に及ぼす複雑な外的要因を考慮した対策が必要となる.本研究では,地盤の変形,地下水流れ,物質移動を同時に表現できるシミュレータの開発を行った.また,解析精度の向上を図るため,ライシメーターを用いた地盤からの蒸発量計測も行い,塩害抑制地盤の提案も行っている.
著者
澁谷 啓 加藤 正司 鳥居 宣之 河井 克之 川口 貴之 齋藤 雅彦
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

中越地震や能登半島地震で発生した地盤災害は, 地下水位の高い盛土に集中していた. 一方, 豪雨による盛土崩壊も後を絶たない. 兵庫県で発生した台風による補強土壁の崩壊事例では, 雨水の浸入により盛土本体が弱体化したことに加えて, 盛土背部で水位が急激に上昇し, 補強土壁盛土全体が押し流された. この種の地盤災害軽減のためには, 盛土内および周辺への雨水の浸入を決して許さないことが肝心である. 本論文では, 盛土を囲むようにジオシンセティックス排水材をL型に配置し, 鉛直に設置した排水材で受けた浸透水を盛土底部に水平に設置した排水材に流すことにより盛土外へ速やかに排水させる方法であるジオシンセティックスを用いたL型排水盛土防水工を新たに提案した.