- 著者
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西岡 孝尚
澁谷 啓
- 出版者
- 公益社団法人 地盤工学会
- 雑誌
- 地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, no.3, pp.397-415, 2014 (Released:2014-09-30)
- 参考文献数
- 30
- 被引用文献数
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特殊土に位置づけられる火山灰質粗粒土のうちスコリアは,これまで十分な報告がなく,その工学的性質に関して十分議論されていないため,地盤材料としての適否の判断が難しい。そこで本論文では,富士山の東部山麓地域に広く分布する「スコリア」と称される火山砕屑物を用いて,盛土や構造物の裏込め材など道路土工への利用を目的として,その土質性状の把握と工学的性質を原位置および室内試験により詳細に検討した。一連の調査・試験の結果から,当該地域に分布する「スコリア」は,透水性,圧縮性,せん断強度のいずれの側面からも砂礫材料と同等あるいはそれ以上の水理・力学特性を示すことが分かった。例えば,スコリアを所定の締固め度で盛土施工すれば,十分な安定性が得られるばかりでなく,飽和化による沈下等の変状は発生しないことが分かった。一方,単位体積質量が1.0Mg/m3前後と小さいこと,粒子の破砕性が顕著なため,施工時の粒子破砕による粒度分布の変化により結果的に所定の締固め度を満足せず,盛土の性能低下が生じる可能性がある。